Amazonが2019年9月18日に、ついにハイレゾ聴き放題サービスに対応しましたね。
これにより「Amazon Music HD」は、音質において業界最大手のSpotifyを含む各社ストリーミングサービスのトップに躍り出ました。

ハイレゾストリーミングといえば日本未上陸の「Tidal」というサービスが有名どころでしたが、業界第2位のAmazonがハイレゾ配信を始めたことは、ストリーミング業界にかなり大きなインパクトを与えるでしょう。
ハイレゾの再生はLTEやWiFi環境下が望ましいですが、今年から5Gの運用が日本でも始まるので、良いタイミングなのではないでしょうか。
さっそく登録して使ってみたので、レビューしていきましょう!
この記事を読めば、こんな事が分かります。
それでは、順にみていきます。
ハイレゾってそもそも何?音質はどのくらい違うのか
日本のハイレゾオーディオの定義に関しては、「JEITA」(日本オーディオ協会)によって明確に定義されています。
「ハイレゾオーディオ」(*注1)と呼称をする場合 ”CD スペックを超えるディジタルオーディオ“ であることが望ましい。
CDスペックとは、CDフォーマットで規定されている 44.1kHzサンプリング、16bit量子化と、DAT/DVDなどのフォーマットで使用されている48kHz サンプリング、16bit量子化のディジタルオーディオを指す。 LPCM換算でサンプリング周波数、量子化bit数のいずれかがCDスペックを超えていればハイレゾオーディオとする。 ただし、いずれかが CDスペックを超えていても、もう一方がCD スペック未満の場合は、非該当とする。
つまり・・・
ハイレゾ音源 = CD(44.1kHz,16bit)、またはDVD(48kHz,16bit)を超えるクオリティ
「CDより少しでも音質が良ければ、ハイレゾ音源と呼んでもいいよ!」というわけですね。
CDを超える音質といってもその種類は一つではなく、「48kHz」「96kHz」「196kHZ」など、情報量の違いによっていろんな種類があります。



この数字は、1秒間にどのくらい細かく音の情報が入っているかという指標で、「サンプルレート」と呼ばれています。
大きければ大きいほど細かくなめらかな表現が可能になりますが、その分必要なサンプル数が増えるのでデータ量も増えていきます。
Amazon Music HD


HD → CD音質(16-bit, 44.1kHz)
ULTRA HD → ハイレゾ(最大24-bit, 192kHz)



このようにULTRA HDなら、CDよりもさらに繊細な表現が可能になります。
「Amazon Music HD」の料金プランは?
料金プランは、こちらの表のとおりです。
プラン | 一般 | Prime会員 | ファミリープラン |
Amazon Music HD |
月額1,980円 | 月額1,780円 | 月額2,480円 |
月額2,480円のファミリープランを使えば、最大家族6人でプランを共有することができます。
これまで行っていたAmazonストリーミングサービス「Amazon Music Unlimited
Amazon Music HDとAmazon Music Unlimitedの違いは音質のみですが、「音質にこだわる人ならこの料金設定でも利用するだろう」という、Amazonの強気姿勢がうかがえますね。
「Amazon Music HD」を最高音質で楽しむコツ
せっかくAmazon Music HDを使うなら、できる限り最高の音質で好きなアーティストの作品を聴きたいですよね。
ここでは、そのための方法をいくつかご紹介します。
パソコンの音質設定を確認しよう
通常Amazon Musicはウェブブラウザ上で聴くことができますが、「Amazon Music HD」だけはブラウザでの視聴に対応していません。
なのでまずAmazon Music HDに登録したら、デスクトップ版アプリをダウンロードすることが必須になります。
パソコンに専用アプリをダウンロードしたら、次にパソコン側で音質の設定をしましょう。
CDのサンプルレートは44,1kHz, 16bitですが「Amazon Music HD」の曲は最高で192kHz, 24bitに対応しているので、パソコン側でも許容サンプルレートを上げてやる必要があります。
アプリ内でハイレゾ音源を流していても、パソコンの出力設定が正しくできていないと通常のCD音質と変わらない音になるので気をつけましょう。
以下の設定先で、サンプルレートを変更することができますよ!
・Windows – コントロールパネル→サウンド→出力先のプロパティ→詳細
・Mac – Audio MIDI設定→出力先→「フォーマット」
iPhoneやAndroidには対応しているの?
iPhoneやAndroidでも、ハイレゾと通常音質の違いを感じることはできます。
ただ、iPhoneなどのスマホに内蔵されている「DAC」と呼ばれるパーツは、専用機器に比べるとどうしても性能が劣ってしまうんですよね。



高音質で再生できるプレイヤーを新たに購入してしまうのも良いですが、せっかくスマホを持っているならスマホでも使える「DAC」または「ポータブルアンプ」と呼ばれる機器を繋いでハイレゾ音源を楽しむことをおすすめします。
「DAC」はパソコンにも接続できる「USB-DAC」というタイプのものがあるので、パソコンを持っているならこちらが良いでしょう。
DAPを使って最高音質を体験する方法
「DAP」というのはDACと似ていてややこしいのですが、「デジタル・オーディオ・プレイヤー」の略で、ソニーの「ウォークマン」のような音楽を聴くための専用機器のことを言います。
参考: SONY ウォークマン Aシリーズ NW-A106(B) – アマゾン
ウォークマンの最新機種だとAndroidが搭載されているので、Amazon Music HDなどのアプリをダウンロードして、オンラインストリーミングを楽しむことができます。
ソニーだけではなく「Fiio」や「HiByMusic」なども人気ですが、製品によってはかなりハイスペックで高額なものもあるので、実際に店舗で試してみてからの購入をおすすめします。
ハイレゾ対応のイヤホンやヘッドフォンは使うべき?
みなさんは、電気屋なんかで「ハイレゾ対応」のイヤホンやヘッドフォンを見かけたことはあるでしょうか?


世の中にはこんな感じのマークがついた機材がたくさんあって、「このマークがないとハイレゾ音源は聴けませんよ」と言われているような錯覚を起こしがちですが、実はこれは正しくありません。



この商標は「日本オーディオ協会」というところが定めたもので、日本独自のルールに基づいているんですね。
例えば、このような規定があります。
・40kHz以上が再生可能
・メーカーや企業が日本オーディオ協会の会員であること
参考: 「ハイレゾリューション・オーディオ(サウンド)の取り組み」
この二つの条件を見れば、決してハイレゾ音源が聴けるクオリティの高い商品のみにロゴが付いているわけではないということが理解できるでしょう。
スペック面に関しては、40kHz以上の高域まで再生されるかという一点のみ!
イヤホンやヘッドフォンの音質というのはいろんな要因によって決まってくるので、40kHz以上出れば良いヘッドフォンという訳では決してありません。
さらに「日本オーディオ協会」の会員でないとハイレゾロゴを使うことが許されていないので、海外の素晴らしいオーディオ機器であってもわざわざ「日本オーディオ協会」の会員にならないとロゴの使用が許可されないんですね。



なので、基本的にハイレゾ音源に対応していないイヤホン・ヘッドフォンというものはないということを理解してください。
自分の大好きなイヤホンに「ハイレゾロゴ」が付いていないからといって、心配する必要は全くありません。
「Amazon Music HD」を実際に使ってみた。対応楽曲や使いやすさはどうか
実際に登録して、試してみました。
Amazon Music Unlimited
端末によっては、超高音質のハイレゾ音源に対応していないこともあるので気をつけましょう。
例えばこちら。


楽曲自体は24bit/96kHzに対応しているのですが、僕のiPhone7は24bit/48kHzにしか対応していませんでした。
お使いの端末によって再生可能なサンプルレートは異なります。
24bit/48kHzなら一応ハイレゾの恩恵は受けられますが、せっかくならできる限り最高の音質で好きな曲を楽しみたいですよね。
Amazon Music HDの90日間お試しプログラム
使いやすさに関しては、Spotifyと比べても似たような感じでした。
Amazon Musicのアプリ内で「Ultra HD」(ハイレゾ)の楽曲を特集しているので、アプリを開けばすぐにいろんな楽曲をハイレゾで聴くことができます。


ハイレゾ音源を一聴しても「違いがあまり分からない!」という人もいるかもしれませんが、よく耳を凝らして聴いてみると、音の柔らかさや粒の細かさなど従来の音質よりかなり豊かなサウンドであることが分かると思います。
良いヘッドフォンやスピーカーで聴くとより違いが分かりますが、iPhoneに付属しているイヤホンなどでも多少の違いはわかります。
僕の自宅のスピーカーは、オーディオマニアの人たちが持っているような素晴らしいものではありませんが、音の違いをしっかり感じることができました!
「Amazon Music HD」は「ギガ」(通信量)をどのくらい消費するのか
最高音質である192kHzの楽曲を再生すると、1分間で約12MBのデータ量を消費します。
仮に1曲7分だとすると、40曲聴かないうちに3GBのデータ量を消費します。
ハイレゾだともっと通信量がかかると勝手に想像してましたが、3GBで数十曲は聴けるんですね。
しかしうっかり再生しっぱなしにすると、すぐに通信制限がかかってしまうので注意が必要です。
「Amazon Music HD」は料金に見合う価値があるのか?登録はこんな人におすすめ
Amazon Music HD
そのため、たまにしか音楽を聴かないという方にあまりオススメできるサービスではありませんが、以下のような方にはぜひオススメします。
1. 普段からCDをよく購入する
2. SpotifyやAmazon Music Unlimited
3. 自宅に音楽用のスピーカーがあって、高音質で音楽を楽しむ環境がある
4. 音楽制作をしているので、いろんな楽曲を研究して音の細部まで聴き取りたい
今まではハイレゾ音源を聴きたければ、CDを買うかネットでハイレゾ音源を購入するしかありませんでした。
ハイレゾ音源はmoraなどの音楽配信サイトで購入することができますが、一曲500円近くするので、ハイレゾでたくさんの曲を楽しむというのはあまり現実的ではありません。






ところがAmazonがハイレゾストリーミングを始めたことで、その裾野が一気に広がったのです。
月額1,980円は一見高いと思われるかもしれませんが、今まで高音質を求めてCDやハイレゾ音源の購入にお金を費やしてきた人にとっては、むしろ安すぎるといえるでしょう。
高音質で自分の好きなあの曲を聴いてみたい!という人は、登録してぜひその違いを体感してみてください😌
※ちなみに無料体験だけしてみたいという方は、登録したその場ですぐ解約手続きをしましょう。
すぐに解約手続きをしても、無料期間いっぱいまでは無料でハイレゾ音源を楽しめますよ。