※現在の最新モデルは「Apollo Twin X」です。
Apollo Twinシリーズを購入するなら、使い勝手はそのままに音質がアップしている「Apollo Twin X」を選びましょう。基本的な機能は変わっていないので、この記事で紹介している内容も購入の参考になるかと思います。
僕は以前、Steinbergの「UR28M」というオーディオインターフェースを使用していましたが、これを3年ほど使った後「Apollo Twin」に乗り換えました。
この乗り換えで音質, 使い勝手ともに大きく向上しましたね。

ところが、このApollo Twinは実は万人にオススメできるオーディオインターフェースではないんです。
今回は購入に至った経緯や、Apollo Twinはどんな人に向いているのかということをお話していきたいと思います。
Apollo Twinは10万円で買える最強のオーディオインターフェースか?
UR28Mから乗り換える時に、予算を10万円に設定しました。
そこで候補に挙がったのが、次のふたつの機種です。
- Apollo Twin – Universal Audio
- Babyface Pro – RME
10万円付近のオーディオインターフェースなら、このふたつは必ず名前が出てくる機種だと思います。
どちらもアマチュアからプロフェッショナルまで、幅広いアーティストに愛用されているオーディオインターフェースです。
このふたつの機種にはずいぶん悩まされました・・・
今回、渋谷の「Rock oN Company」さんの専用リスニングルームに数時間も居座ってひたすら聴き比べをさせていただいたので、まずはその感想からお話しましょう。
Apollo TwinとBabyface Proの音質を聴き比べた結果
渋谷の「Rock oN Company」さんの専用リスニングルームで、みっちり2時間ほどオーディオインターフェースの聴き比べを行いました。
スピーカーは、2017年に発売されたFocal Professional「Shape 65」を使用しました。
当時の自宅のメインモニタースピーカーです。
参考: 「Focal Shape 65」をモニタースピーカーの定番「Genelec」と比較してみた – スタジオ翁
いくつかのWAVファイルを持ち込み、完全密閉されたリスニングルームで試聴しました。
Apollo Twin最大のライバルはBabyface Pro
先ほどお話した通り、Apollo Twinの最大のライバルは「Babyface Pro」です。

Apollo Twinより小型で、シンプルなデザインですね。
付属ソフトを使いこなすのに時間がかかるというレビューもありますし、Apollo Twinのように専用プラグインが付いていないなど、確かに機能面ではApollo Twinに劣るかもしれません。
しかしこのBabyface Pro FS最大の魅力は、なんといってもその音質の良さなんです。
音質を重視するならBabyface Proが圧倒的に有利
RMEは様々なアーティストに使われていますが、実際僕がクラブのエンジニアをしている時も、見る機会の多いオーディオインターフェースです。
RME独自のジッター抑制技術SteadyClockにより、Babyface Proは内部/外部クロックを問わずに完璧なサウンド・クオリティが保証されます。非常に高機能なジッター抑制のため、Babyface Proは外部クロックで動作している場合でも、非常に高精度な内部クロックを用いているのと同じように高いサウンド・クオリティを保つことができます。
リスニングルームで試聴した時も、音質面においてはApollo Twinの方が断然上でした。
音の解像度が素晴らしく、音質だけならBabyfaceの方が有利でしょう。
Apollo Twinが唯一無二のオーディオインターフェースである理由
音質面でより優れた製品があるにもかかわらずApollo Twinを選ぶ理由は、ズバリ「UADプラグイン」が使えるからです。
DSPというプラグイン処理のためのプロセッサーが備わっており、パソコン側にまったく負荷をかけずに高品質なプラグインを使用することができます。
参考: 【解説】UADって何? – 5年以上UADを愛用する僕がおすすめプラグインと共に解説していく – スタジオ翁
さらに数多くのアーティストやエンジニアが使用していることでも知られており、WAVESなど有名なプラグインソフトに比べても高価なものが多いですが、信頼のおけるプラグインであることは間違いありません。
2020年にはUADユーザー専用の無料DAW「LUNA」も解禁して、ますますApollo Twinは魅力的な存在になってきています。
プロのエンジニアも使用するUADプラグインとは?
こちらは著名エンジニア「Mick Guzauski」に行ったインタビューです。
グラミー5冠を達成したモンスターアルバムであるDaft Punk「Random Access Memories」の制作に携わったエンジニアであり、その制作の様子が紹介されています。
参考: Mick Guzauski インタビュー : Daft Punk “Random Access Memories” におけるミックス秘話
このような場所でもUADプラグインは使われているんですね。
そんな贅沢な機材を自宅環境でも使用できれば、ミックスにおいて他の制作者より何歩もリードできるはず。
アーティストでも使用している人はたくさんいて、こちらの動画では著名アーティストである「Christian Loffler」が野外ライブで使用している様子をみることができます。
Apollo TwinはオーディオインターフェースとDSPの一体型なので、持ち運びにもとても便利なのです。
外部機器を立ち上げなくてもUADプラグインが使える
僕は数年前からUADを導入していますが、その頃はまだApollo Twinなんて発売されていなかったので「UAD-2 Sattelite」という製品を使ってUADプラグインを使用していました。(現在は取り扱いが終了しています)

こちらはDSP単体なのでオーディオインターフェースの機能もなく、PCに繋ぐとUADのプラグインが使用できるようになるというだけの製品です。
ところがApollo Twinは、たった一台で「オーディオインターフェース+DSP」の機能をかね備えているので、現在はこのような機材をわざわざ購入して場所をとる必要もなくなりました。
DuoかQuadか、それともSoloか – DSP使用率の違い
Apollo Twinには、「Solo」「Duo」「Quad」という3つの価格帯のラインナップがあります。
これはプラグインを使用するためのDSPプロセッサーが、何基入っているかの違いです。
- Solo – SHARCプロセッサー1基搭載
- Duo – SHARCプロセッサー2基搭載
- Quad – SHARCプロセッサー4基搭載
プラグインによってどのくらいDSPを消費するのかは異なりますが、UADプラグインの中でも一番有名かつDSPを最も消費するであろう「Neve 1073」というプラグインは、SoloだとDSPプロセッサーの60パーセント以上を使ってしまいます。
このDSPプロセッサーというのはパソコンのCPUと似たようなものですが、DSP使用率が100パーセントを超えると動作が遅くなるのではなく、UADプラグインがそれ以上使えなくなります。
なので「せっかく買ったのにプラグインが全然使えない!」ということにならないよう、UADプラグインを使用したい人には最低でもDuoからの購入をおすすめします。
こちらの表にプラグインごとの「DSP消費量」がまとめられているので、使用したいプラグインがある方は参考にしてみてください。
ちなみにこのような製品を購入すれば、DSPは後から追加することもできますよ。

インプットが足りない場合の3つの対処法
Apollo Twinは、標準インプットが2つしかありません。
ソフトウェアを多く使う人や機材をあまり繋がない人にとっては問題ありませんが、「シンセやドラムマシン, マイクなどいろんな外部機材を使いたい」という人には足りないかもしれませんね。
そんな時は、次の3つの方法でインプットを増やすことができます。
①マイクプリを追加する

僕はこの方法でインプットを増やしました。
こちら記事、Apollo Twinのインプットを10chまで増やす方法 – ADATを使ったオーディオインターフェイスの拡張では、Apollo Twinのインプットを10chまで増設する方法を解説しています。
デジタル入力端子を使った方法で、マイクプリを購入する必要があります。
②ミキサーを使う
もっとも手軽な方法で、以前は僕もこの方法を使ってインプットを増やしていました。

各チャンネルをPC内で個別に調整することができない完全にアナログな方法なので、僕にはマイクプリを追加する方法が向いていました。
③上位モデルに買い換える

こちら少々値段はしますが、最大16個のインプットと22個のアウトプットが付いています。
SHARCプロセッサーは6基も搭載、完全にプロモデルですね。
Apollo Twinが気に入ったなら、いずれこのような機種に乗り換えるのも選択肢のひとつです。
「Apollo Twin MKⅡ」を徹底レビュー! RME「Babyface Pro」とも比較してみた | まとめ
10万円ともなると高級オーディオインターフェースなので、なかなか購入には踏み切れないかもしれませんが、よりよい制作環境をつくるためならApollo Twinへの機材投資は十分価値があります。
音質面においてはRME社「Babyface Pro」を絶賛しましたが、Apollo Twinも低価格帯のオーディオインターフェースよりは間違いなく良いです。
いくらUADが使えても、音質が悪ければ絶対に購入しませんからね。
「Apollo Twin」はさらなるモニター環境の向上に確実に貢献してくれる、プロクオリティのオーディオインターフェースですので、気になる方はぜひ検討してみてください。

