音楽制作/DTM

あなたの曲に「生命感」「躍動感」を与える方法 – オートメーションの活用で作品のクオリティは跳ね上がる!

制作も終盤に差し掛かり構成も曲のまとまりも良いのに、なんとなく曲全体が平坦でつまらないと感じることはないでしょうか。

それはミックスにおいてとても重要な「オートメーション」の作業を怠っているからかもしれません。

今日はそのことについてお話しましょう。



サンプル音源とライブ録音の違い

今はPC内ですべての作業が完結する時代です。

ギターなんか弾けなくてもKontaktなどのサンプル音源を使えば、簡単に作曲ができてしまいます。

MIDIなんて便利なものができたからベロシティ(音の強弱)やデュレーション(ノートの長さ)は後から簡単に変更できます。

でも本来ならギターやピアノなんかの楽器を人間の手で弾いて録音しなければいけない訳ですよね。

実際に録音するのとサンプル音源で作曲するのってそんなに違うものなのでしょうか?

これは使用する音源にもよりますが、サンプル音源と比べれば実際に録音した音は圧倒的に「生命感」や「躍動感」が違います

音源によると言ったのは、最近はとても高品質なサンプル音源が出てきたので,

パッと聞いただけでは録音なのかサンプル音源なのか全く分からないものもあるからです。

しかしどんな素晴らしい音源を使ってもサンプル音源で録音との溝を埋めることはなかなか難しいもの。

このふたつの大きな違いは、人間の手で演奏することによる「ランダムネス」と「表現力の細かさ」にあると思っています。

実際に演奏することの威力

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例えばギタリストが一弦をポロンと弾く時、優しく弾いたり強く弾いたり、その音の強弱は無限といってよいでしょう。

しかしMIDIになると音の強弱、つまりベロシティは127段階しかありません

実際に弾くことで曲中に何千、何万もの強弱のバリエーションが生まれるのに、MIDIになるとそれを127段階という制約のもとで表現しなければならないわけです。

また人間は機械ではないので、同じタイミングで弾いたつもりの音も一音一音微妙にずれています

人間の脳は気づいていなくてもそのズレを感知しているのです。

素人の下手くそな演奏のズレなら人を不快にさせるだけですが、心地よいズレなら人はそれを「グルーヴ」と呼びます

MIDIにおいてもグルーブをあとから付け足すことができますが(実際多くのDAWにはグルーブテンプレートと呼ばれる様々なグルーブの型があり、それをMIDIデータに反映させることができます)、一曲を通して変化するアーティスティックなグルーブの波を、MIDIで表現することはなかなか難しいでしょう。

このようにサンプル音源には様々な表現においての制約があります。

だからその制約の中で少しでも表現の幅を広げるために、オートメーションの活用は必須なのです。



実際オートメーションで何を変化させているのか

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オートメーションでパラメーターを変化させれば実際の演奏に近づけるし、生命力のあるミックスになるということも理解した。

そしたら一体何を変化させていけばいいのということになります。

DAWにはいろんなパラメーターを変化させるための機能がついていますが、例えば

・音量

・EQ

・LFO

・フィルター

・リバーブ

・パン

などが主なもの。この中でもフィルターを例に挙げればフィルターの周波数、レゾナンス、Qなどさらに細かな設定が可能です。

ところで何をどのくらい変化させれば、プロクオリティまで持っていけるのか疑問ですよね。

ちょうどプロのクリエイターがどういうオートメーションの処理をしているのか、よくわかる動画がありましたのでご紹介しましょう。

「Luc Angenehm」というハウスのプロデューサーがFacebookに制作風景の動画をあげています。

実際、ゲインやフィルターといった基本的なものだけでなく、ディレイの深さやシンセのLFO、フィルターのモジュレーションなど様々なパラメーターを細かく設定しているのが分かります。

他にも、サビの前にリバーブのセンド量やゲインを増やしてあげれば、サビへの期待感が生まれます

曲の序盤から終盤にかけてゆっくりフィルターを開いていけば、大局的な高揚感が生まれます

こちらの曲はアシッディーでシンプルなリフにオートメーションを加えることで、10分という長い時間を感じさせない、極上のロングトラックに仕上がっています。

ほんの少しでもランダムに変化させることで、印象は大きく変わってきます。

特にダンスミュージックだと単調なループで構成される事が多いので、オートメーションで様々なエレメントに微妙な変化を加えることが制作の鍵となってきます。

まとめ

基本的に楽器などの録音データであれば、人間の手で打ち込めないほど膨大なオートメーションが書かれていると思ってください。

その実際の演奏との溝を埋めるためのオートメーションは、あればよいものではなくなくてはならないものなのです

打ち込みで制作するときは、より躍動感のある仕上がりになるよう多様なオートメーションをほどこし、作品のクオリティを高めていきましょう。