今日は、ピアノの祖先とも言われる「ハンマー・ダルシマー」について紹介しましょう。
ダルシマーは、その音を聴いただけでパッ!とすぐに中近東やインドのオリエンタルな雰囲気が思い浮かぶくらい、特徴のあるサウンドを奏でる楽器です。
ピアノの祖先と言われているものの、音はどちらかと言えばギターに近いような気がしますね。
インドの「サントゥール」、韓国の「ヤンガム」、ハンガリーの「ツィンバロム」など世界のいたるところにダルシマーと関連する楽器が存在していますが、日本にいるとあまり見かけない楽器だと思います。
この記事では、そんなハンマー・ダルシマーの特徴や歴史, 音楽などについて見ていきます。
ハンマー・ダルシマーの特徴
ダルシマーは木製の共鳴板に張られた弦を、専用のハンマー(槌)で叩くことによって音を出します。
音を出す仕組みは、ピアノと同じですね。
このハンマーはいろんなタイプの音を出すためにいくつかの打面があり、硬い打面で叩けば鋭いパーカッシブな音、柔らかなフェルトの面で叩けば穏やかなピアノのような音になります。
両サイドには「ダンパー」と呼ばれる音の響きを止めるためのペダルがついていて、これは音を一時的に止めるだけでなく、ダンパーが入った状態で弦を叩くことによって、よりパーカッシブで柔らかい音を出すのにも使うことができます。
ハンマー・ダルシマーの歴史

ダルシマーは中近東に歴史を持ち、その地域では5000年もの間、この種類の楽器が演奏されてきました。
初期の頃は「Santir」や「Psanterim」という名前で広まっていましたが、今日ではギリシャでは「サントゥーリ」、インドでは「サントゥール」という名前で親しまれています。
はじめに紹介したように、世界にはダルシマーを起源とする楽器が数多くあり、ドイツやスイスでは「ハックブレット」、中国では「ヤンキン」という名前でも存在しています。
これはダルシマーは中近東から東西(ヨーロッパとアジア)に伝えられたことが理由で、ヨーロッパの大聖堂などには1200年ごろからダルシマーのような絵が描かれていたり、中国では1800年ごろから使用が報告されているそうです。
ハンマー・ダルシマーが使われている音楽
ダルシマーは、18世紀から19世紀のアメリカではかなり一般的なコンサート楽器であり、ニューヨークでは1850年代から1860年代にかけては、いくつかの「ダルシマーの工場」も作られていました。
現在ではライブやコンサートに使われる機会は少なくなったものの、今でもその美しい音色を音楽制作やライブに活用しているアーティストもいるので、ここで3つの動画を紹介しておきましょう。
まずは、以前の記事でも紹介した三重の名楽器「Gank Drum」と、ダルシマーのセッションの様子です。
1時間ほど、ガンクドラムとダルシマーの美しい旋律が響き渡る、最高に癒される動画となっています。
Bahramjiはイラン出身の有名な音楽家で、動画で演奏されているのはサントゥールです。
最後は、ダルシマーアーティスト「Joshua Messick」による演奏。
こちらは西洋の壮大な音楽感が表現されていて、他のアーティストとは一味違った魅力を感じますね。
ハンマー・ダルシマーのVST音源ライブラリを紹介
「ダルシマーを購入したいけど、ちょっと高いな・・・」
「ダルシマーを使って手軽に音楽を作ってみたいな」
ダルシマーは日本でも販売しているお店はありますが、こういった人はパソコンのVST音源を使った方が手軽で良いかもしれません。
ダルシマーの音源ライブラリは、いくつかの会社からVST音源としてリリースされていますので、気になる人はチェックしてみてください。
- Dulcimer – Spitfire (無料)
- Middle East – Native instruments
- Hammered Dulcimer – Cinematique Instruments
Spitfire Audioから出ている「LABS」というライブラリは、ダルシマーを含むたくさんの楽器が収録されているので、もっとも手軽に使うことができます。
「LABS」は音楽制作を始めたばかりの人なら、必ず入れておきたい音源ライブラリですね。
なんせ、無料で高品質な生楽器音源が使えるんですから。
Native Instrumentsから出ている「Middle East」も、ダルシマーを含む中東の弦楽器や打楽器が数多く収録されていておすすめですよ。
