Native Instrumentsは「KOMPLETE 12」というあらゆるシンセやエフェクトを一つにまとめたバンドルを販売しています。
これには同梱されるシンセの種類やエフェクトの数に応じて全部で4種類あるのですが、今回は「KOMPLETE 12 ULTIMATE」という上位版がなぜおすすめなのかについて、それぞれを比較しながら解説していきます。
ちなみに「KOMPLETE 12 ULTIMATE」は、グレードでいうと上から2番目です。
KOMPLETEシリーズは、DTMerだけでなくプロにも愛用している人が非常に多いのが特徴で、これひとつあればエレクトロ系からバンド系, オーケストラ系, 民族系, 映画音楽系などといった、あらゆるジャンルの曲を作ることができます。
僕はダンスミュージックやアンビエント系の制作に使っていますが、知り合いで映画音楽の作曲に使っている人もいて、本当にこれ一つで音楽制作の幅がとてつもなく広がりますよ。
この記事は、こんな人におすすめです。
・DTMに必要なシンセやエフェクトがひとまとめになったセットが欲しい!
・いろんな楽器で打ち込みしたいけど、ひとつづつ信頼できるプラグインを探すのは面倒だ!
・プロでも使える質の高いサンプル音源が欲しい!
「KOMPLETE 8」の頃から僕はお世話になっているのですが、最近は定番シンセやエフェクトに加えて、民族楽器系やオーケストラ系がより充実したり高品質のプラグインがどんどん追加されていったりと、年々かなり進化していっています。
本気で音楽制作に取り組みたい人は、ぜひ検討してみてください\(^o^)/
KOMPLETE 12 ULTIMATEが最強である5つの理由
今回僕がおすすめする「KOMPLETE 12 ULTIMATE」を含めて、「KOMPLETE 12」シリーズは全部で4種類あります。
①KOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s edition(最上位モデル)
②KOMPLETE 12 ULTIMATE(上位モデル)
③KOMPLETE 12(通常モデル)
④KOMPLETE 12 SELECT(エントリーモデル)
それぞれの違いは、後ほど「KOMPLETE 12は全部で4種類!どのバンドルを選ぶべき?」の章でもご紹介しますが、単純なスペックや含まれるソフトを比較したければこちらの公式サイトがおすすめです。
参考: KOMPLETE 12 比較表 – Native Instruments
それでは「KOMPLETE 12 ULTIMATE」の魅力を全部で5つにまとめましたので、ご紹介していきましょう。
1. オーケストラ音源や生楽器音源の充実
通常モデルの「KOMPLETE 12」と比較して大きく違うことの一つは、オーケストラ音源や生楽器系の音源がかなり充実しているということです。
もちろん通常モデルにも一通りの楽器は入っているのですが、あくまで最低限しか入っていないので、使っているうちに「もうちょっと違うニュアンスのギターが使いたいな」「このストリングスの音色だとちょっとこの曲には合わないな」なんてことが出てきます。
僕は楽器が弾けないので、初めの頃は「ピアノなんてぶっちゃけどれ使っても一緒でしょ」と思っていたのですが、楽器音源にもいろんな種類があって「メーカーやプラグインの違いでこんなにもキャラクターが変わるのか!」と驚きました。
オーケストラだけでなくギター, ベース, ピアノ, ドラムなど生音系の音をよく制作に使うという人は、迷いなくULTIMATEを選びましょう。
2. 本格的な民族楽器にも対応している
僕がKOMPLETE 12 ULTIMATEを購入したのは、民族楽器の音源がかなり充実していたのも大きな理由のひとつです。
民族楽器なら「ETHNO WORLD 6 COMPLETE」や「EASTWEST」の音源も知名度がありますが、Native Instrumentsが出しているという信頼性と他の楽器の音源やシンセ, エフェクトなどもまとめて購入したかったということでULTIMATEを選びました。
通常版の「MIDDLE EAST」「AFRICA」「INDIA」に加えて、ULTIMATEにはインドネシアの民族楽器「GAMELAN」やキューバの陽気なリズムが楽しめる「CUBA」が入っています。
3. 効果音や変わった音源ソフトが豊富
例えば「DAMAGE」というソフト映画用の音源ですが、FX的に楽曲の制作に取り入れたりシーケンサーと併用することでインダストリアルなテクノミュージックが作れたりと幅広い制作ができます。
「RISE&HIT」はEDMなどでは定番の「シュワシュワ〜」というライザーエフェクトや、サビなんかで使える「ドーン」「シャーン」といったエフェクトとして使えます。
ユニークな加算合成シンセ「RAZOR」はエレクトロのアーティスト御用達ですし、坂本龍一も愛用するクリエイティブエフェクト「MOLEKULAR」を使えば複雑なエフェクトを簡単に自分の曲にかけることができます。
これらは個別だとひとつ数万円と高価なのですが、「ULTIMATE」なら全てまとめて入っているのでめちゃめちゃお得です。
4. コンプやリバーブなどミキシングに必要な一通りのエフェクトが揃っている
「ULTIMATE」では通常版のエフェクトに加えて、ビンテージ機材を再現したようなソフトが多く含まれています。
コンプなら「Urei 1176 Compressor」という現代でもスタジオエンジニアを中心にに幅広く使われいているコンプレッサーを再現した「VC 76」や、名機Lexiconのリバーブを再現した「RC 24」や「RC 48」など玄人にも嬉しいソフトがいっぱいなので、そういった名機と呼ばれる機材に興味がある人にも「ULTIMATE」はおすすめですよ。
5. 単品で買うより断然お得
Native Instrumentsの製品は、通常版を買っても後から必要なソフトを単体で追加していくこともできるので、迷っている人は無理にULTIMATEを買う必要はないかもしれません。
ただ、そのうち欲しくなりそうだなというプラグインがいくつかあるのなら、思い切って上位版を購入することをおすすめします。単品で購入すると結構なお値段になってしまいますからね。
または、最初はとりあえず通常版を買ってみて、気に入れば後から上位バージョンへのアップグレードという方法でULTIMATEに移行するという選択肢もアリでしょう。
KOMPLETE 12 ULTIMATEにデメリットはある?
KOMPLETE 12 ULTIMATEはかなり優れたソフトに見えますが、デメリットもいくつかあります。
順に見ていきます。
必要ないソフトが必ず出てくる
ULTIMATEには、101個もの楽器やエフェクトが含まれているので、一生使わないであろうソフトが必ずいくつか出てきます。
ただ、それがもったいないから単品で購入しようかなとなってしまうと、後から欲しいソフトが増えてきたときに、結局バンドルより高いお金を払うことになり後悔してしまうかもしれません。
使わないソフトがいくつかあったとしても、単品を後から増やしていくよりはお得だということは一つ頭に入れておきましょう。
初心者には値段が高い
上位版になってくると10万円を超えるので、初心者がいきなり手を出すソフトとしてはかなりハードルが高いかもしれません。
初心者用の「SELECT」は使えるソフトが少なすぎるのでおすすめしませんが、いくら長く使えるモノだといっても10万円は高すぎて手が出ないという人は、まず通常版である「KOMPLETE 12」から購入しましょう。
必要最低限のシンセやエフェクト, 生楽器系音源は揃っているので、初心者のうちはこれで困ることはほぼありません。
DTMにハマっていくうちにクオリティーの高いものが欲しくなってしまったという人は、Native Instrumentsが定期的に行っているセールを利用するのもおすすめです。
2019年11月のブラックフライデーセールでは、アップグレード価格がなんと「半額」になりました。
いますぐ上位版が必要でないという人はまず通常版を購入し、こういったセールを利用してお得にアップデートするのも賢いやり方ですね。
選択肢が多すぎて楽器選びに悩む
楽器やシンセがたくさんありすぎるとつい楽しくなって、そのソフトを使いこなすことが目的になってしまいがちです。
いろんな魅力的なシンセがたくさん入っていたので、過去の僕もひとつづつ使いこなせるように頑張っていたのですが、101個ものソフトを使いこなそうとすると肝心の音楽制作にまったく力が入らなくなります。笑
なので、たくさんのソフトが入っていて機材好きにはたまらないバンドルなのですが、楽器選びだけで大量の時間を無駄にしてしまわないよう「選択と集中」を意識してうまく使いこなすようにして下さい。
KOMPLETE 12は全部で4種類!どのバンドルを選ぶべき?
今回の記事では「ULTIMATE」をおすすめしてきましたが、他のバンドルはどのような内容なのでしょうか?
詳しいスペック比較は公式ページに譲るとして、ここからは「KOMPLETE 12 ULTIMATE」を使っている僕が、独断と偏見で他のバンドルを解説していきます。
「KOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s edition」(最上位モデル)
・含まれるインストゥルメント&エフェクトの数: 101
・含まれるExpansionsの数: 50
・サウンドの数: 90,000以上
・サンプルライブラリ: 900 GB以上
これは「KOMPLETE 12 ULTIMATE」とほぼ同じ内容なのですが、大きく違うところは世界屈指のオーケストラによる演奏が有能なエンジニアが収められた「SYMPHONY SIRIES」という最高級のオーケストラ音源が入っているところです。
参考: SYMPHONY SERIES – COLLECTION
僕はオーケストラの作曲をすることがないので、バイオリンやチェロなどのストリングスが欲しい場合でもULTIMATEに入っている「SYMPHONY ESSENTIAL」という音源で十分なのですが、どうしても世界最高のオーケストラ音源で作曲がしたい!という人はこちらの「KOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s edition」を選びましょう。
このオーケストラ音源は単品でも10万円以上する高価なものなので、そのうち買う予定がある人はバンドルで買っておいたほうがお得ですね。
「KOMPLETE 12 ULTIMATE」(上位モデル)
・含まれるインストゥルメント&エフェクトの数: 101
・含まれるExpansionsの数: 20
・サウンドの数: 45,000以上
・サンプルライブラリ: 600 GB以上
先ほどの最上位モデル「Collector’s edition」とは、主に世界最高のオーケストラ音源が入っているかいないかといった違いしかないので、オーケストラの作曲をしない人しない人ならこちらのバンドルをおすすめします。
シンセの数は通常モデルとほとんど変わりませんが、よりこだわり抜かれたサンプル音源やエフェクトの充実さといったところでは「KOMPLETE 12」に大きく勝っています。
「KOMPLETE 12」(通常モデル)
・含まれるインストゥルメント&エフェクトの数: 52
・含まれるExpansionsの数: 10
・サウンドの数: 25,000以上
・サンプルライブラリ: 220 GB以上
DTMの初心者なら、まずこの通常モデルを選びましょう。
作曲に必要なシンセや楽器類など最低限揃っているので、特別困ることはありません。
レベルアップしてさらに上を目指したくなったら、上位版へのアップグレードを検討するのがよいですね。
「KOMPLETE 12 SELECT」(エントリーモデル)
・含まれるインストゥルメント&エフェクトの数: 14
・含まれるExpansionsの数: 3
・サウンドの数: 7,000以上
・サンプルライブラリ: 45G以上
こちらはお試し版なんじゃないかというくらい、あまり充実した内容ではありません。
EQやリバーブなども付いておらず、シンセも「MASSIVE」と「MONARK」くらいしか目立ったものはありませんね。(この2つのシンセ自体はとても優秀ではあるのですが…)
よっぽどピンポイントで、このバンドルに含まれているシンセやサンプル音源が欲しかったというなら購入もアリかもしれませんが、基本的には初心者であっても通常版である「KOMPLETE 12」を購入することをおすすめします。
KOMPLETE 12 ULTIMATEが最強である5つの理由 | まとめ
「KOMPLETE 12 ULTIMATE」はとにかくいろんなジャンルの作曲に対応しているので、多くのアーティストにおすすめできるソフトです。
バンドルひとつでサンプル音源がここまで揃ってしまうというのは、Native Instruments以外の製品で見たことがありませんね。信頼できるもの, これから長く使っていける音源を探していたという人にはピッタリなのではないでしょうか。
今回の記事が、「KOMPLETE 12」を購入しようか迷っていたという人のお役に立てば嬉しいです。