音楽コラム

【体験談】海外レーベルにデモを送りまくったら、リリースが決まった話

一年ほど前にこんな記事を書いたのですが、 今もよく読まれる記事のひとつです。

【完全版】海外レーベルへの正しい「デモ」の送り方(テクノ, ハウス, エレクトロなどのダンスミュージック)海外レーベルから音楽をリリースするにはいったいどうすればよいのでしょう?曲を海外売り出すための具体的なアプローチの方法やレーベルを選ぶ際に気をつけること、売り込みの失敗例なども一挙公開いたします。海外向けの英文メッセージの例もご紹介。...

自分で音楽を作っていて、海外のレーベルから曲を出したいけれどこれといったコネもないし、どうしてコンタクトをとったら良いのかわからないという方が非常に多い証拠だと思います

一昔前なら好きなアーティストが来るイベントに参加し、運が良ければデモテープを手渡しできるというのが一般的だったかもしれません。

しかしインターネットが主流の現在、そんな非効率な方法では他のプロデューサーに大きな遅れをとってしまうということで、海外のブログやホームページを読み漁ってこの記事にまとめました。

海外のレーベルからリリースを目指す方には、ぜひ見てもらいたいです。

そして今日は、僕自身がこの方法でリリースまでこぎつけた話をしたいと思います。



リリースしたい曲ができた

普段は働きながら休日や空き時間で音楽を作っている僕ですが、ある日なかなかいい感じの曲が完成したので誰かリリースしてくれないかなと思い、海外レーベルに音源を送りまくっていました。

ざっと20レーベル(アーティスト)くらいに送ったと思います。

適当に選んだレーベルでなくからリリース出来ても嬉しいと思えるような、大好きなレーベルのみにデモを送りました。

レーベルがメールでの窓口を設けていればメールで送るのがベストだと思いますが、アーティストやレーベルによってはアドレスをどこにも載せていないこともあるので、その場合はSoundcloudやFacebookからメッセージとオリジナル曲のリンクを送っていました。

たくさんの送り先にいろんなプラットフォームでやりとりしていると訳が分からなくなってくるので、Googleスプレッドシートなどにレーベル名や送り先、返信の内容など様々な事項をメモして保管しています。

そのときはリリースまでこぎつけることが出来なくても、いい線いってるからまた送ってくれとポジティブな返事をもらえることもあるので、やりとりや連絡先を残しておいて次に繋げることは非常に重要だと感じます。

娘
海外アーティストでも意外と返信が来るのね。
翁
超多忙なアーティストでなければ、結構返信してくれるものじゃよ。



返事が来たのは一週間後

いくつかポジティブなフィードバックをもらっていたのですが、ある日あなたの曲をリリースしたいというレーベルが現れました。

そのレーベルを主催するアーティストは好きでよく聴いていたのでとても嬉しい出来事でしたが、フリーダウンロードでという条件付きでした

娘
お金が入らないとなると、迷っちゃうわね。
翁
無料でプロモーションできると考えれば、無名アーティストにとって悪い話ではないぞ。

しかし、まずは再生回数を増やして知ってもらうことが大事だと考えていたので、お金のことは気にせず、すぐにOKの返事を出しました。

フリーダウンロードだと面倒な契約手続きなどがないので、一、二週間ほどでリリースになるという話でした。

しかし予想外の出来事が!!

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そして、まもなく自分の楽曲が大好きなレーベルからリリースされるというその時!!

なんと、もっと大好きなレーベルからのオファーがやってきましたw

知名度で言えば、断然後者の方が上。

「コンピレーションに入れたいから、マスタリングをこちらで施したい」

「オリジナルファイルを送ってくれ」

とのことでした。

翁
なんという不運…
娘
こればかりは、どうしようもないわね。

最初にオファーをくれたレーベルからのリリースとなると自分でマスタリングを施さなければならなかったため、無料でマスタリングしてそんな有名レーベルのコンピにいれてくれるなんてことになれば、いったいどっちを選んだらいいんだと戸惑ってしまいました。

後から声をかけてくれたレーベルにそのことを正直に伝えると、

「最初に声をかけてくれたレーベルをリスペクトしてくれ。また今度よろしく。」

と返ってきました。

もちろんそちらからもリリースはしたかったのですが、一応繋がりは作れたのでまた曲を作っていればチャンスはあるだろうと思い諦めることにしました。

娘
きっとまたチャンスはあるわよ。



そしていよいよリリースへ

それから若干の遅れがあったものの、オンラインでリリースされることになりました。

レーベルのSoundcloudページから公開されるというものでしたが、まずまずの手応えでリリースによってこんな反応がありました。

・そのジャンルで割と名の知れたYouTubeチャンネルに取り上げてもらった

・何人かの好きなアーティストが自分のSoundcloudをフォローしてくれた

・Soundcloudのフォロワー数が数百人増えた

娘
確かにプロモーションと考えると、効果はあったようね。
翁
まずまずの結果じゃな。

そして、このリリースの話には続きがあります。

半年後、なんと別のレーベルからCDデビューが決まった

このフリーダウンロードでのリリースから半年経ったある日、突如レーベルオーナーから連絡が来ました。

「おめでとう!Buddha Barからのリリースが決まったぞ!」

「Buddha Bar」というのは、知る人ぞ知るフランスの有名チルアウトレーベル「George V Records」の、1999年から続くコンピレーションアルバムシリーズです。

 

「Buddha Bar」のオーナーが前回のリリースを聴いて、ぜひ次のコンピレーションアルバムに入れたいという話でした。

翁
なんというラッキー!
娘
こんな繋がりもあるのね。

この幸運のおかげでコンピレーションCDに自分の制作曲が加わるという、初めての経験ができました。

最初のリリースで「フリーダウンロードならリリースしない!」なんて言わず、プロモーションと捉えたことが結果プラスにはたらきました。

フリーでリリースすることの意味

自分が大切に育て上げた楽曲を無料で出すことに、抵抗のある方もいるでしょう。

数年前にクリス・アンダーソンの「フリー」という本が話題となり、最近はSpotifyなどのフリーミアムモデルが音楽の世界を賑わせるような時代になってきていますよね。

「Kygo」というEDM系のアーティストは活動の初期、曲のほとんどをFacebookでフリーダウンロード形式で公表することにより、インターネットの世界で大きなプレゼンスを発揮し、今では世界の名だたるフェスに参加するまでになりました。

さらに「Pretty Lights」というアメリカ人エレクトロニック・アーティストは2013年、なんとフリーダウンロードで配信したアルバムがグラミー賞にノミネートされました。

グラミー賞がどんなものか分からないという方でも、同じくノミネートされていたのがDaft Punkの「Random Access Memories」、Disclosureの「Settle」、Karvin Harrisの「18 months」などのアルバムだと言われれば、その凄みを実感できるのではないでしょうか。

最近は古いマーケティング手法から、着々と「フリー」や「シェア」などを始めとする新しいマーケティングやビジネスの手法に変わってきていると感じます。

こちらの「Spotify for Artists」に登録すれば稼げるのか。アーティストの取り分はいくら?Spotify以外で音楽収入を得る方法もご紹介でも紹介した「AmPm」という日本人アーティストは、たった1年ほどの音楽活動で本家マイアミの「Ultra Music Festival」に出演しましたが、Spotifyをうまく活用して一気に日本での総再生回数一位におどり出たのがきっかけでした。

実際にフリーダウンロードでのリリースをしてみて感じたことは、フリーで出すというのは契約が伴うリリースよりもハードルは低いものになるにも関わらず、フォロワーの増加や知名度向上, リリースの実績をつくるといったメリットもあり、レーベルさえ間違えなければプラスの効果は高いということです。

再生回数やコメントをみてテンションが上がり、さらに創作意欲が湧くという特典も付いてきます。

もし自身の楽曲が大好きなレーベルからリリースされることになった時、フリーダウンロードでと言われてもガッカリせずに今お話しした僕の経験を思い出してもらえると、選択肢が広がるのではないでしょうか。

そして僕自身はこれを機に何人かのアーティストと繋がりを持つことができたので、このリリースを糸口にしてどんどん制作を行っていこうと思います。