先日の記事でMassive Passiveのエミュレーションを紹介しましたが、他にもUADプラグインでよく使っていたものに「Pultec Passive EQ Collection」があります。
これは「キック」「ベース」「ボーカル」「ストリングス」「ドラム」と、とにかくいろんな場面で使えるEQで、毎回ミキシングに使用していました。
シンプルなEQですが、おいしいところがグッと持ち上がるので重宝していたんですよね。
現在はUADプラグイン用のDSPを一時的に手放してしまっているので、これまた代わりになるプラグインを探していましたが、最近かなり良いものを見つけました。
それがOverloudというメーカーの「EQP」です。
Overloud「EQP」の特徴

EQPは名機「Pultec EQ」の基本的な機能を抑えつつ、デジタルのメリットを活かした優れた機能も搭載しています。
それが「周波数応答の画面」と「クリッパー」です。
プラグインの一番上に、このようにEQのかかり具合に応じて周波数応答が表示されます。

Pultec系のEQは独特なかかり方をするので、どのように音が変化しているのかを視覚的に確認できるのは嬉しい点ですね。
例えば、EQPは30Hzをブーストしても300Hzあたりから持ち上がり始めます。
初めてさわる人は「なんで30Hzを持ち上げてるのに、中低域まで持ち上がってるんだ!?」とびっくりするかもしれませんが、この画面を見ればその変化は一目瞭然。
「あー、Pultec系ってこういう風に音が変化するのね」
と理解しながら音づくりに励むことができます。
そしてひっそりと右上にたたずんでいる「CLIPPER」も、一度ぜひ使ってみてほしいパラメーター。

「クリッパー」はその名の通り、音を意図的にクリップさせる機能で、プラグインでもいくつか販売されていますね。
クリッパーは、リミッターにもディストーションにも近い存在で、これを使うことで音にひずみを与えて音圧感を出したり、アナログライクなサウンドに仕上げることができます。
ドラムやパーカッションなど、トランジェントが豊富なパートに使うのがおすすめです。
音質について
実機のPultecEQはパッシブ回路で動くので、一般的なEQとは音の変化が違います。
OverloudはそのパッシブEQならではの美しいトーンも独自技術でリアルに再現していると言います。
Gem EQPは、1つのプラグインで3つの象徴的なパッシブEQユニットを最もリアルで正確にエミュレーションしたものです。現在利用可能な最も忠実なエミュレーションを提供することに加えて、アナログユニットでは利用できない機能を追加することにより、元のトーン機能を拡張することができます。
・Pultec * EQP-1A、MEQ-5、HLF3Cにインスパイアされたエミュレーション
https://www.overloud.com/products/eqp
・パンチの効いたトーンのための統合されたプログラム可能なクリッパー
・ユニットを完全に制御するための周波数応答グラフィックディスプレイ
・Overloudのハーモニックマッチング技術を使用した、元のハーモニック生成の非常に正確な再現
僕は実機を触ったことがないのでなんとも言えませんが、UADのものとは少しかかりが違うように感じました。
モダンなかかり方というか、結構はっきりと音に変化が現れる印象でしたね。
デモバージョンもあるので、そのかかり具合をぜひチェックしてみてください。
まとめ

1950年代から世界中のスタジオで使われているというPultec EQですが、今だにプラグインやアナログギアで再現されている人気のEQです。
見た目はとてもシンプルですが、使ってみると、なぜこのEQがレコーディング・ミキシング・マスタリングといろんなシーンで使われているのかが理解できるでしょう。
今は実機を手に入れるのがかなり難しいので、必然的にプラグイン版を使うことになると思いますが、Overloud「EQP」は初心者から上級者にまでおすすめできる良質なPultec系プラグインだと思います。
Pultec系のEQを探している人は、ぜひOverloudのEQPをチェックしてみてください。