最近、とてもユニークなディレイ&リバーブプラグインを発見しました。
・Space Station UM-282 – Audiority
かなり歴史のあるエフェクターなので、知っている人もいるかもしれませんね。
「Space Station」(宇宙ステーション)という名前にふさわしく、ROLANDのSPACE ECHOのような、かなりクセのあるディレイやリバーブをかけることができます。
1980年代初期に発売されたUM-282の実機は「16のディレイタップ」と「4つの独特なディレイプログラム」を搭載した、この時代にしてはかなり特殊な機材で、今でも秘密兵器としてUM-282を愛用しているアーティストやエンジニアは多くいるようです。
HANNES BIEGERは有名なダンスミュージックのプロデューサー/エンジニアですが、彼はUM-282に加えて、同じメーカーから販売されていた「SST-206」という珍しいディレイユニットも併用しているそうな。
それでは、ダンスミュージック、アンビエント、ボーカルなどさまざまな場面で使えるユニークなディレイ&リバーブプラグイン「UM-282」について詳しく見ていきましょう。
SPACE STATION UM-282の特徴的なサウンド
UM-282には、大きく分けて4つのディレイプログラムが搭載されており、それぞれが融合することでユニークなサウンドを作り出します。
- ROOMS
- COBMS
- DELAY CLUSTERS
- SPACE REPEATS
ディレイといっても、原音を汚さないクリーンなものから、積極的に音色を変化させるものまでさまざまですが、UM-282は後者のような音色を積極的に変化させてキャラクターを与えるような使い方が向いています。
Audiorityの公式ページでは、「ボーカル」「ピアノ」「アンビエント制作」などにUM-282を活用する動画が紹介されています。
個人的には、シンセとボーカルにかけるのがおすすめ。
シンセにかけて80年代のビンテージ感のようなものを再現したり、コムフィルター効果で原音にない新たなメロディやリズムを生み出したり、ボーカルに薄く混ぜて音の厚みを出したりといろんなシーンで使うことができます。
厚みや存在感のあるタイプのサウンドなので、曲中で目立たせたい音にかけるのも良いですね。
SPACE STATION UM-282の使い方をざっくり解説
慣れないうちは使い方がわかりにくいので、基本的な機能だけ紹介しておきましょう。
UM-282の機能は、大きく3つのセクションに分かれています。
- インプット
- ディレイミキサー
- ディレイプログラム
まず、1のインプットは「インプットレベル」と「EQ」の調整というシンプルな構造になっています。
2のディレイミキサーは文字通り「ミキサー」になっていて、一番左に原音、右にTAP1~8までのディレイの音量を調整するノブが並んでいます。
ちなみに、TAPは右に行くにつれてディレイタイムが長くなっていきます。複数のタップを組み合わせて、オリジナリティ溢れるディレイサウンドを作ってみましょう。
3のディレイプログラムでは、ディレイの質感をガラッと変えることができます。
ここも少し分かりにくいですが、左側のボタンが押された状態だと「ROOMS」か「COMBS」からプログラムを選ぶことになり、左側のボタンが上がった状態だと「DELAY CLUSTERS」か「SPACE REPEATS」を選ぶことになります。
あとは、右側の赤いボタンで「REVERB」か「DELAY」を選ぶことができ、それ以外の右側にあるボタンやノブで、フィードバック量やディレイタイムを決めることが可能です。
とまあ、一見ややこしく感じるインターフェースも、セクションごとに理解していけばあまり難しくないと思います。
これらを組み合わせて、自由にサウンドを作ってみてください。
まとめ
似たような質感のディレイプラグインとして、UADやArturiaからRoland「Space Echo」をエミュレートしたものが販売されていますが、個人的にはこちらAudiority「UM-282」の方が好みの質感ですね。
ビンテージっぽい荒さが出る感じや、ディレイプログラムによってレゾナンスが加わることにより、予期せぬメロディーが加わったりするところもUM-282の魅力の1つ。
シンプルでクリーンなディレイしか持っていない人は、こういう飛び道具的なディレイプラグインを持っていると、曲作りの幅が広がって面白いんじゃないかなあと思いました。
気になった人は、ぜひ試してみてください。
・Audiority「SPACE STATION UM-282」- Plugin Boutique