今日はブロックチェーン技術を活用した、新しい音楽配信サービス「Audius」をご紹介します。
ブロックチェーンといえばビットコインなどの暗号資産に活用されている技術ですが、最近では音楽業界でも徐々に「著作権管理」や「チケット販売」などへの活用が進んでいますね。
Audiusは、SpotifyやApple Musicのように世界中のアーティストがリリースした楽曲を聴くことができる音楽配信サービスですが、ブロックチェーン技術を使うことで著作権問題がクリアになったり、より収益がアーティストに還元されやすくなるなど、アーティスにとって良いことがたくさんあります。
Audius – A community-owned, and artist-controlled music protocol.
すでにブロックチェーンを活用した音楽サービスは世の中にいくつもありますが、Audiusの月間利用ユーザーは500万人とかなり多く、さらには2021年8月にTiktokと業務提携をしたこともあり、この界隈ではかなりの知名度を誇っています。
参考: 分散型音楽ストリーミングのAudiusがTikTokと連携、楽曲の直接共有が可能に – あたらしい経済
今後、音楽配信サービスの主流となるかもしれない「Audius」について、ブロックチェーンを活用した音楽サービスの仕組みなどについて詳しくみていきましょう!
Audiusとは?
先ほど、AudiusはSpotifyやApple Musicなどのような音楽配信サービスだとお伝えしましたが、どちらかというとAudiusは「SoundCloud」を意識したつくりになっています。
SoundCloudといえばメジャーアーティストの楽曲を楽しむというよりは、まだ発掘されていない優れたアーティストを探すための場所として、今も多くのアーティストに愛用されているプラットフォームですね。
AudiusがSoundCloudに似ているのには理由があって、実は創業者がSoundCloudを意識した設計を行なっているからなんです。
「SoundCloudのオルタナティヴ」を売り文句にしており、SoundCloudのよい点を継承しつつ、その二の舞にはなるまいとアートファーストを永続的に徹底するために、資金調達の方法、システムアーキテクチャー、ユーザーコミュニティへの分権化、マネタイズにいたるまで工夫されている。
出典: 新音楽プラットフォーム「Audius」設立者に訊く、真のアートファーストと資本主義社会の共存への挑戦 – Wired
Audiusの投資家には過去にSoundCloudに投資していた人も多く、彼らはSoundCloudが成し遂げられなかったことを実現して欲しい、という意味も込めて投資をしているんですね。
SoundCloud上では、アーティストがプラットフォーム上でお金を稼ぐというのは難しかったのですが、Audiusにはアーティストが楽曲のリリースによって直接お金を稼ぐ仕組みがあります。
ここで重要になってくるのが、Audiusが発行している独自通貨「AUDIO」です。
Audiusの独自通貨「AUDIO」
Audiusでは「AUDIO」というコミュニティ通貨を利用できます。
アーティストは楽曲リリースによって、このAUDIOという通貨を稼ぐことができ、AUDIOの保有比率によってAudiusの経営に関わることができるというメリットもあります。
AUDIOは海外の取引所でも売買されているので、ここで稼いだAUDIOは円やドルに両替することもできますよ。
AUDIOを稼ぐには、主に4つの方法があります。
1. 「TOP5ウィークリートレンドトラック」にランクインする
2. 「TOP5ウィークリートレンドプレイリスト」にランクインする
3. 「TOP10マンスリーAPIアプリ」にランクインする
4. Audiusの認証チェックを受ける
このように、基本的には自分のつくったトラックやプレイリストがランキングに入ることで、通貨を稼げるような仕組みになっています。
ちなみにトラックやプレイリストがランクインした時にもらえる金額は「100AUDIO」なので、2021年10月の価格だとおよそ「2万円」ですね。
これは決して高い報酬とは言えませんが、このような仕組みがあることはアーティストのモチベーションにもなりますし、今後Audiusが発展してユーザーが増えていけば、AUDIO自体の価値も上がるので、アーティストが得られる収益はさらに増えていくことになるでしょう。
Solana(ソラナ)との連携でNFTの取り扱いが可能に
「NFT」とは簡単に言えばデジタル上の資産のことで、「Solana」はそのデジタル資産を取り扱うための取引所のことです。
「デジタル上のイラスト」「音楽データ」「チケット」「グッズ」など、NFTにはいろんな種類がありますが、SolanaというNFTプラットフォームと連携することで、NFTをAudiusのプロフィールページで表示できるようになりました。

この仕組みによって、音楽アーティストがデジタルグッズ、アルバムのジャケットイラストなどを販売できるようになるので、ファンに対して音楽だけではなく音楽以外の商品も提供できるようなつくりになっているのです。
NFTがよくわからないという人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
参考: 「NFT」は音楽業界をどう変えるのか? – スタジオ翁
Audiusが目指しているもの
Audiusは音楽業界で問題になっている、いくつもの問題を解決しようとしています。
・収益の不透明性
・アーティストの利益の少なさ
・投資家による経営への過度な関与
Audiusで使われているブロックチェーン技術というのは、一言で言えば「トラストレス」、つまり信用する必要がないということ。
これはブロックチェーン技術に使われている「スマートコントラクト」という自動取引システムの大きなメリットなのですが、これによってレーベルとの収益分配が不平等であったり、アーティストの取り分や売り上げがよくわからない・分配されないといった問題がなくなります。
ブロックチェーンという仕組みを使った自動化によって運営コストを下げられる分、アーティストが売り上げの90%を得られるような仕組みを目指すことができるんですね。
現在はヒップホップ, EDM, エレクトロ, Lo-Fiなどが多めで、音楽ジャンルがちょっと偏っているかな?と感じますが、今後はユーザーがもっと増えていくにつれていろんなジャンルの音楽を投稿するアーティストが増えていくことが予想されます。
まだまだ発展段階のサービスですが、音楽業界が健全で活発になりそうな仕組みを目指していることからも、今後の動向がすごく楽しみですね。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました🙂