MENU
「週刊 スタジオ翁」ニュースレターの登録はこちら

タイのアート×音楽フェス「Wonderfruit Festival 2022」体験記

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

2022年12月、クリスマスシーズン。

30度を超える日差しの中、アジア屈指のフェスティバル「Wonderfruit Festival」が開催されました。

https://www.youtube.com/watch?v=DrmW6xD6CJc&t=9s

Wonderfruitはタイで毎年開催されている芸術, 文化, 音楽, 自然をテーマとする祭典ですが、コロナの時期は開催されていなかったので今年は3年ぶりとなります。

世界各国から招集されたアーティストによるライブやDJ、トークやワークショップ、ワールドクラスの料理、最先端の建築など、心と自然の関係をコンセプトとした様々な催しが行われます。

昨年、一緒に作品をリリースさせていただき、日頃からお世話になっているDJ/プロデューサーMamazuさんにこちらのフェスを紹介してもらったのですが、思い切って、この素晴らしい予感しかしないフェスに参加させてもらうことを決めました。

「アート、音楽、文化、自然を通して、不思議を探求する」

そのコンセプト通り、会場はさまざまなアート作品に包まれ、大自然の中でさまざまなジャンルの音楽や価値観を浴びることができました。

会場の至るところに設置されたアート

DJやライブアクトは、ヨーロッパのアーティストを中心とする超豪華メンバーが集結。

Ame, Circle of Live, Sebastian Mullaert, Ben UFO, DJ Tennisなどは、よく日本にも公演に来ているワールドクラスのアーティストで、今年はSebastian Mullaertがツアーの一環として、Wonderfruitの前に来日ライブを行なっていましたね。

Viken Arman, O/Y, okuma, Kusht, Maatha Van Straatenなどの、僕好みのアーティストが多数出演していたのも参加のきっかけとなりました。

Wonderfruitには日本人も出演しており、DJ Masuda, Mamazu, Soichi Terada, DSKE, CYK, Kikiorixなどなど日本を代表するアーティストが集まっていました。

深夜にだけ現れる森の中のステージ「The Quarry」では、圧巻のセットに映し出されるVJ映像と、DJ Masdaの神がかったDJが見事に融合し、音楽の素晴らしさを改めて思い知らされる貴重な体験ができました。

DJ Masdaの圧巻のDJ

メインステージではバンドライブも行われていて、DJや電子音楽に親しみがない人も楽しめるようになっています。

正直なところ、バンドライブはノーマークだったのですが、Penguin Cafe, Efterklangといった僕の好きなアーティストも出演していて、さらにはタイで人気と思われるAuttaというポップ/ヒップホップアーティストも出演していたので、タイミュージックの雰囲気も存分に味わうことができました。

どこか懐かしい雰囲気が漂うタイのアーティスト「Autta」

せっかくタイに来ているので、こういった地元のアーティストに触れる機会があるのは嬉しいですね。

たぶんタイで人気のアーティストなんでしょうが、どこか懐かしいというか昭和っぽい雰囲気というか、「昔こんな曲あったなー」みたいな正統派ポップスでおもしろかったです。

日本にあまり来ない、Sebastian Mulleart率いるライブアクト「Circle of Live」が観られたのも良かったですし、360度サラウンドシステムによるDJやマシンライブも素敵でした。

Circle of Live
360°サラウンドDJステージ「Polygon」
Awkward Cornersでまったり

このように大小さまざまなステージがあるのですが、とにかく会場が広く、全部で10ステージくらいあります。

日本のフェスのように、人々がぎゅうぎゅうに詰められた空間で、ストレスを感じながら音楽を聴くといった経験は皆無です。

もちろんタイの山奥の広大な土地があるからこそだとは思いますが、フェス会場は居心地の良い空間になるよう工夫されているのがわかりましたね。

そして、Wonderfruitの魅力はアーティスト陣の豪華さだけではありません。

実際にWoderfruitを訪れてびっくりしたのは、ウェルネス関連のブースがとても充実していたこと。

まず、会場に入った僕を迎えたのは、何やらあやしい歌を歌う集団でした。

なんだかよくわからないまま、一緒に歌っていました。

一杯のティーを手渡され、参加するよう促されます。

ウェルカミングな雰囲気がとても心地よく、ここで僕の心はグッとWonderfruitの世界観に持っていかれることになりました。

他にもウェルネス関連のブースは山ほどあって、毎日各所でいろんなイベントが開催されています。

例えば、

タロットやレイキを取り扱う「Bia」さんによる前世療法のコース

Biaはレイキ・マスター・ティーチャー/グランド・マスターであり、I USE MY PALM Studioの創設者として、伝統的なレイキだけでなく、セクメト・レイキ(エジプト式レイキ)など、非伝統的なものも教えています。個人セッションやワークショップを通じて、女性にも男性にもレイキを伝えています。

レイキ以外にも、ビアは前世退行/アカシックレコード、ハウツーオープン、ガイド付き瞑想、タロットシャドウワーク、ヨガニドラ、サンスクリットマントラチャンティング、サウンドヒーリングなど、様々なマインドフル、セラピー、トラウマワークモデルを通して深い癒しのプロセスを組み合わせています。さらに、ビアは20歳の頃から直感的なタロット占いを専門としており、タイと西洋の両方のスタイルのタロット/オラクルと数秘術のコースを受講して、生まれ持った才能を補ってきました。

呼吸法や身体への意識を取り入れ、エネルギーのバランスを整えるエネルギーヒーリングテクニックを体験できる「Fah Chanettee」によるクォンタムタッチヒーリング

数千年も昔から南米に伝わるサボテンを使った植物療法「MELT」セッション。(サボテンとは…つまりそういうことです)

などなど・・・

人間が「失われた自然性を取り戻すためのセッション」とも言える催しが本当にたくさんあり、個人的にはドストライクな体験の数々でしたね。

ここで紹介しきれないセッションが、こちらの公式ページにまとまっています。

Wonderness – Wonderfruit

日本でやってたらビビる、精神を解放する?ダンス

とまあ、ウェルネスブースは苦手な方もいると思いますが、もちろん普通の人が気軽に参加できて楽しめるイベントも、会場の随所で行われています。

会場を歩いていると、いきなりこんなマーチングバンドに出くわすことも・・・

突如、路上に現れるマーチングバンドと巨大な龍

どんだけ金かけてるんだ、と思わざるをえないイベントの数々。

どうやらタイの財閥が主催しているようですが、とにかく日本では味わえない素敵な体験がたくさんできる場所でしたね。

最後に、音に関するメモです。

全体的に見ると、音は「良いステージもあれば悪いステージもある」といった感じです。

見ていると、地元の人がPAで入っているステージでは、聞いたことないような酷いハウリングが起こっている場面もありました。バンドライブに関しては、各アーティストがPAを連れて来ていたので、音はかなり良かったです。

スピーカーはL-Acousticが多く、NexoやFunction Oneが入っているブースもありましたね。360度をL-Acousticで囲んだPolygonステージはとにかく低音の量がすごくて、めちゃくちゃ盛り上がってましたが、中高域が埋もれすぎていたように感じました。(人が多すぎて後方にしかいれなかったので、前方のステージ前だとしっかり音が鳴っていたのかもしれません)

とにかく各ステージの音が大きく、ずっと「日本のフェスで、この音量は出せないだろうな」と感じながら歩いていました。でも決して居心地が悪いことはなく、全体的な音のクオリティや会場の雰囲気などはとても満足のいくものでした。

こんな感じで思いついたことをつらつら書き記しましたが、もっと写真をたくさん撮っておけば良かった、と少しばかり後悔しています…

写真は面倒なんですが、やっぱり文字だけではあの会場の熱気や雰囲気はとても伝えきれませんからね。

次のレポートは、しっかり写真に収めてきたいと思います。

とは言っても、やはり写真や動画には収まりきらない、ましてやYouTubeやSoundcloudでも伝わらないような素晴らしい体験がWonderfruritにはありました。

来年も開催されると思うので、気になった方はぜひ足を運んでみることをおすすめします。

Wonderfruit – Official Page

サービス・書籍について

<ニュースレター>

週刊「スタジオ翁」beehiiv版

毎週、音楽制作やAIに関する話題、世界の音楽ニュースなどを紹介しています。

<著書>

AI時代の作曲術 – AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

 

この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?