MENU
「週刊 スタジオ翁」ニュースレターの登録はこちら

【GEAR SUNDAY】Disclosureのスタジオ機材

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「Disclosure」は言わずと知れた、イギリスのUKハウスを代表する2人組です。

2012年には「Latch」で大ヒットを飛ばし、2014年, 2015年, 2016年, 2019年にはグラミー賞にもノミネートされていますね。

Disclosure – Latch feat. Sam Smith (Official Video) 

最近もDJセットやライブでヨーロッパやアメリカを中心に活動していますが、2019年にはサマソニに参加するため来日もしています。

2013年にリリースされた「Settle」と2015年にリリースの「Caracal」の二つのアルバムに関するインタビューなどをもとに、彼らのスタジオ機材や制作方法を見ていきましょう。

Disclosureはアルバムの90%をソフトシンセで制作する

A lot of times, people have credited our songs for having that old school vibe and feel, but 90% of the instruments used were soft synths.

僕たちの曲はよくオールドスクールなサウンドだって評価されるんだけど、90%はソフトシンセを使って制作しているんだ。

Disclosure talk studios, plugins and live techno jams – musicradar

Disclosureの曲といえば、どこか懐かしいシンセサウンドやビンテージ感を感じるような楽曲が多いのですが、制作のほとんどをソフトシンセで行っているというのは意外ではないでしょうか?

彼らが特に愛用しているのはU-heの「Diva」というアナログモデリングシンセですが、かなり有名なソフトシンセなので使っている人も多いかと思います。

参考: U-he Diva – Plugin Boutique

彼らは実機のRoland「Juno-60」を持っているにも関わらず、Junoサウンドがリアルに再現されたこのソフトシンセU-he「Diva」を使っているそうで、実機ではできない細かな設定ができる上にアナログの温かみも兼ね備えているとインタビューでも大絶賛しています。

僕もメインのソフトシンセとしてDivaを使っているので、この気持はよく分かります。

Disclosureのサウンドのように温かみのあるアナログっぽいサウンドを求めている人には、U-he「Diva」は最高にマッチしますよ。

DAWは制作とライブで使い分ける

“Everything was recorded in software; we had no tape or anything. It was all done in Logic 9

アルバム「Caracal」の制作はテープマシンなどのアナログ機材を使わず、すべて「Logic Pro」で完結させたようですね。

参考: Logic Pro X – Apple(日本)

過去にはCubaseも使っていたようですが、制作においてはDAW自体に大した違いはなく、単にショートカットなどを覚えているかどうかの違いだと彼らは言います。

ライブパフォーマンスでは直感的に扱える「Ableton Live」を使って、自分たちが演奏できない部分をこのDAWで再生しています。

参考: ABLETON ( エイブルトン ) / Live 10 Standard – サウンドハウス

ベースやドラム, シンセサイザーなどさまざまな楽器を使ったステージ上でのパフォーマンスは圧巻ですよ。

Disclosure | FULL SET | Pitchfork Music Festival Paris 2013

Disclosureが使用しているその他のスタジオ機材

ではここからDisclosureが使用している、上記以外のスタジオ機材を見ていきましょう。

Disclosureの使用が確認されている「ソフトウェア」は、以下の通りです。

・U-he「Diva」 – ソフトシンセ

・Waves 「L1 Ultramaximizer」 – マキシマイザー/リミッター

・D16 Group 「Decimort」 – ビットクラッシャー

・Sugar Byte 「Effectrix」 – エフェクトツール

・iZotope 「Ozone Mastaring Suite」 – マスタリングソフト

この中でもiZotope社の「Ozone」は、個人でマスタリングを行うための大定番ソフトウェアですね。

Mastering is more about gain and EQ, not so much about the sound of the instruments.

– マスタリングとは楽器のサウンドを調整するというより、むしろ音量調整やEQに関することなんだ。

Disclosure talk studios, plugins and live techno jams – musicradar

ミックスやマスタリングは、自分の曲にオリジナリティを出す上でとても重要なことだと二人は指摘しています。

最近は録音からマスタリングまで個人で行っているというアーティストも多くなりましたが、iZotope「Ozone」はEQやコンプレッサー, ステレオイメージャー, マキシマイザーなどマスタリングに必要なツールが一通りまとまっているので、これはDisclosureが自分たちの音作りをする上で欠かせないものなのかもしれません。

参考: iZotope「Ozone 9」 – Plugin Boutique

次は、Disclosureの使用が確認されている「ハードウェア」もいくつか見てみましょう。

・Roland 「TR-8

・Roland 「GAIA SH-01

・Roland「Juno-6, Juno-60, Juno-106

・Korg「MS-20

・Moog 「Little Phatty StageⅡ

Roland「GAIA SH-01」はライブでも使用していて、主にパッドサウンドを出すのに使用しているようです。

Roland「Juno」はかなりお気に入りのようで、3台も有名なモデルを所有していますね。

ライブでは実機を使用しているようですが、制作では先ほど紹介したU-he「Diva」が多用されていると言っていましたね。

Disclosureのスタジオ機材 | まとめ

いかがでしたでしょうか。

Disclosureは他のアーティストと比べても比較的手の届きやすいシンセサイザーやソフトウェアで制作を行っています。

何十万円もする高額な機材を使わなくても、アイデア次第で彼らのような名曲が作れるということが分かりますね。

DAW選びに関しても、僕も彼らと同じ意見で「このDAWでしかあの音楽は作れない」というものではなく、単に使いやすさの問題だったりショートカットを覚えているかといった違いだけだと思っているので、憧れのアーティストが使っているものがあればそれをサクッと選ぶようにしましょう。

そして悩む時間があるなら、それを少しでも音楽制作に時間を費やすようにした方が効率的だと思います。

おまけ:

Disclosure – Latch: Ableton Live Deconstruction (FFL!)

サービス・書籍について

<ニュースレター>

週刊「スタジオ翁」beehiiv版

毎週、音楽制作やAIに関する話題、世界の音楽ニュースなどを紹介しています。

<著書>

AI時代の作曲術 – AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

 

この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?