音楽コラム

いま話題の「AI」作曲ツール7選【2020年版】

最近やたら「AI」って言葉を耳にしませんか?

ビジネスでも音楽でもなんにでも「AI」を活用しようという世の中の流れのせいで、特にロボットを研究しているわけじゃなくてもこの言葉を耳にする機会は多いと思います。

娘
音楽業界でもよく聞くようになったわよね。

実際に音楽業界でも、iZotope「Ozone」や「LANDRランダー」などのAIミキシング, AIマスタリングサービスが数多く登場していますよね。

中でも今回は、AIによって「作曲」ができるサービスについてご紹介していくわけですが、この記事はこんな人におすすめです。

・純粋にAIが作曲することについて興味がある

・AIを使って制作時間を短縮したい

・なかなか楽曲が完成しないからAIの手助けが欲しい

・YouTubeのBGMをAIで簡単に作りたい

AIは、このようないろんな作曲に関する悩みやニーズに答えてくれる可能性を秘めています。

AI作曲ツールにもいろんなタイプのものがあるので、それぞれの特徴を解説しながら進めていきましょう。

AI作曲の仕組み

まず、AIが作曲するってどういうことなのでしょう?

AI作曲のための技術はいろんな会社が独自で開発しているためさまざまですが、機械学習(ディープラーニング)によって楽曲の特徴を分析し、楽曲制作に応用しているというケースが多くみられます。

数年前「AlphaGo」というグーグルのAIが、囲碁のトッププロに勝ったというニュースがありましたが、あれも機械学習によってAIが自ら学習を重ね、成長していったことによる成果ですよね。

参考: 囲碁AI「AlphaGO」の次世代版は、自己対局で「最強」を超えた──その進化の本質と、グーグルの野望 – Wired

今までは主に、人間の手によって学習させることで機械の性能を向上させていましたが、人間が手を加えずとも機械が自ら学んでいくことで、機械の性能がとんでもないスピードで進化していくのです。

 

アマゾンが2019年12月に発表した「AWS DeepComposer」も、「Generatorジェネレーター(演奏者)」と「Discriminatorディスクリミネーター(指揮者)」という二つの機能をAIに持たせることで、機械が作ったメロディーやコードに対して機械が「どうすればもっと良いメロディーになるのか」「生成されたメロディーの何が良くて何が悪いか」というフィードバックを機械が勝手に行うようになりました。

AWS DeepComposer

そのフィードバックを何千回と重ねていくことで、AIによる素晴らしい作曲が可能になるんですね。

もっと詳しいことが知りたければ、こちらのAWS DeepComposerに関するアマゾンのプレゼンがおすすめです。

参考: Announcing AWS DeepComposer with Dr. Matt Wood, feat. Jonathan Coulton

最近次々に新しいAI作曲サービスがリリースされていますが、実際どんな作曲ツールがあってどのように利用できるのでしょうか?

順に、見ていきましょう。

いま話題の「AI」作曲ツール7選

ここでは数年前から存在するAI作曲ツールから、つい数ヶ月前にリリースされた最新のものまで、合計7つのサービスをご紹介します。

オンライン上でサクッと作曲を行うものやDAWと連携して本格的に作曲ができるものまで、現在さまざまなサービスが出てきています。

楽曲を使う目的やサービスの利便性などを比べてみて、ぜひ自分に合うAI作曲ツールを見つけて下さい。

1. AIVA

AIVA

半導体メーカーである「NVIDIAエンビディア」が制作しているAIに関するドキュメンタリーシリーズ「I am AI」の第一話で、AIをつかった楽曲制作を特集しています。

その中で登場するのが、まずはじめにご紹介するAI作曲ツール「AIVAアイバ」。

この動画は「どうやってAIで人の心を動かす音楽を作るか」ということがテーマになっており、AIを使うことで過去の名曲に存在する特定のパターンなどを見つけ出し、人間の作曲プロセスをより短縮化することができるといった内容です。

ここでAIが行っているのは、楽曲のパターン分析をもとに曲の土台を作るということ。

以下のようなことはAIではなく「人間の手」によって行われています。

・AIにモーツァルトやショパンなどの楽曲を学習させる

・AIによって作られた曲をもとに人間が演奏する

・AIによる過去作品の盗作がないかチェックする

・オーケストラ用に編曲する

・クライアントの要望に応じてアレンジを加える

こうやって見てみると、今のところAIが作曲の全てを行うというのはまだ難しいことが分かりますね。

しかし、今後はもっと進化させることでAIにオーケストラを書いてもらったり、ゲームや映画のシナリオを読ませることで、その場面に応じた曲を作るといった機能も追加していくようです。

翁
ますます人間のやることが無くなっていきそうじゃの。

 

僕も実際にこのAIVAを使って作曲をしてみましたが、スタイル, 音程, 曲の長さ, 楽器などを選ぶだけで驚くほど簡単に曲を生成することができます。(クラシックやポップスだけでなくEDMも作れちゃうところがスゴい)

ただ曲としては成り立っているのですが、やはり人間の手によって編集しないことには若干つまらない曲になってしまいます。その編集画面も今のところ使い勝手が良いとはいえないので、今後の進化に期待といったところですね。

AIVA ピアノロール

AIVAは有料版もありますが無料登録でもある程度使えるので、今のAI作曲の技術がどの程度なのか気になっている人は試してるのもおもしろいでしょう。

参考: AIVA – 公式ページ

 

ちなみにこのNVIDIAのAIドキュメンタリシリーズでは、音楽制作だけでなく以下のようなAIに関するテクノロジーも取り上げていて、どれも結構おもしろい内容でしたよ。

・自動運転技術

・AIによる病気の診断

・ヘアカラーシュミレーション

日本語字幕もあるので、テクノロジーが好きな人はぜひ見てみて下さい。

参考: [日本語字幕付き] I am AI Docuseries – YouTube

2. Amper Music

Amper Music

Amper Musicアンパーミュージックは、ハリウッド映画の作曲も手掛ける「Drew Silversteinドリュー・シルバースタイン」によって立ち上がったAI作曲サービスです。

参考: Amper Music – 公式ページ

作曲プロセスはAIVAと似ていて、曲の長さ, ジャンル, 雰囲気を選択するだけで曲が自動生成されます。

CEOが映画音楽を作曲しているだけあって、サウンドのクオリティは「AIVA」よりいいのでは?と感じました。

一方、編集画面は楽器の選択ができるだけで、AIVAのようにピアノロールも出ずかなり簡易的です。全く作曲ができないからAIにすべて任せたいという人にとっては、気軽に使える便利なサービスでしょう。

Amper Music 楽曲制作画面

Amper Musicは写真のようにビデオと合わせながらの楽曲制作もできるので、動画に合うBGMが欲しいといった時にかなり役立つと思います。

3. ORB Composer

ORB Composer

ORBオーブ Composer」はLogic ProやCubase, Studio OneなどのDAWと連携して使うことのできるAI作曲ツールです。

参考: ORB Composer – 公式ページ

ここまで紹介したのはオンライン上で楽器や雰囲気を選ぶことで手軽に作曲してくれるような簡易的なものでしたが、このORB Composerはソフト上でAIを使って制作したメロディやコードを通常のDAWと同じようにMIDI編集したりできる画期的なソフトウェアです。

DAWと連携できるので、AIで生成したメロディーを自分の好きなシンセサイザーなどの音源で鳴らすことができます。

ドラッグ&ドロップでコード進行をポンポン作っていったり、あるメロディーをもとに曲の全体像を組み立てていくこともできるので、今回ご紹介している7つの中でも出来ることは格段に多いですね。

娘
オフラインでDAWと連携出来る、かなり本格的なAI作曲ツールねー。

アップデートを重ねてステップシーケンサーなどのいろんな機能に対応していっていますが、現時点でどこまで使いものになるのかは未知数です。

新しいもの好きで興味のある人は、ぜひ試してみて下さい。

4. AWS DeepComposer

これはAmazonが2019年の12月に発表したサービスで、専用のキーボードを一緒に使って簡単なメロディーを弾くだけで、AIがドラムやギター, シンセなどあらゆる楽器の伴奏を付けてくれるサービスです。

Dr. Matt Woodが実際に演奏したメロディーに、AIが伴奏をつけている様子はこのプレゼン動画で観ることができます。

2020年2月現在まだ発売されていませんが、自分の作ったメロディーが即座に曲になるというのは、音楽制作を純粋に楽しみたい人にとっては素晴らしいツールになると思います。

AIが生成した伴奏に手を加えて仕上げれば、プロユースでも使えるかもしれませんね。

資金力と技術力のあるAmazonが機械学習に力を入れていけば、どんどん素晴らしいツールに仕上がってくることでしょう。いま公式ページで登録しておけば発売時にすぐ購入できるようなので、気になる人はこちらをチェックしておきましょう。

参考: AWS DeepComposer – Amazon

5. Ecrett Music

Ecrettエクレット Music」は、主に映像用の音楽をつくるためのAI作曲ツールです。

参考: Ecrett Music – 公式ページ

AI作曲というとどうしてもサービスが似通ってしまいがちですが、Ecrett Musicは動画に合う音楽をつくるという部分で他のサービスとの差別化を行っています。

Amper Musicでも同じことができますが、動画をプレビューしながら制作ができるので、動画に合わせた曲展開をイメージしながら作品を組み立てていくのにとても便利ですね。

Ecrett Music

「Ecrett Music」は、AIVAやAmper Musicと同様オンライン上で扱うもので、曲の長さや雰囲気を選ぶだけで簡単に作曲することができます。手軽さでいえば、今回紹介する7つの作曲サービスの中でも一番かもしれません。

翁
わしは何でも手軽に出来るのが一番じゃ。

楽器構成の簡単な変更くらいなら行うことができますが、本格的なオーケストラやジャズなどの作曲には向いていません。音も結構チープなものが多いので、あくまで動画のBGM用として使うのがよいでしょう。(動画用として割り切れば、BGMのクオリティーとしては悪くはありません)

自分のYouTubeなどに使用する場合は、月5ドルの有料登録をして商用利用のための資格を得る必要があります。無料バージョンだとプレビュー曲しかダウンロードできないのでご注意下さい。

6. Jukedeck

Jukedeck

Jukedeckジュークデック」はイギリスのTechCrunch Battlefield London 2015というビジネスコンテストで優勝した企業です。

その時のプレゼンテーションがラップ調でとても面白かったので、ここに載せておきます。

娘
へい!YO!

ビジネスのプレゼンテーションがラップというのは初めて見ましたが、かなりインパクト強めですね。笑

肝心のサービスはというと、ここまで紹介してきたオンラインAI作曲サービスとかなり似ているので(当時は珍しかったのでしょうが)、残念ながら新しさは感じられません。

2019年にはTikTokを運営する中国の企業「Bytedanceバイトダンス」に買収され、現在Jukedeckの社員はBytedanceのメンバーとして活動しているようです。AI作曲がかなり広まってきている現代、TikTokという巨大なサービスを運営する会社と協力した方が生き残れるという判断でしょう。

なので、現在ホームページでは「アップデートをお待ち下さい」という表示があるだけで、サービスが利用できなくなっています

TikTokのサービスの一部として生まれ変わるのか、Jukedeckとしてのサービスがまた復活するのかは今のところ分かりません。

7. Musenet

MuseNet

「MuseNet」は一般に公開されているAI作曲ツールではありませんが、あのイーロン・マスクが支援していることでも有名なOpen AIという団体が作ったプログラムです。

参考: MuseNet – 公式ページ

ちなみにイーロン・マスクとは、ZOZOの前澤さんが宇宙旅行で使用するロケットを作っている会社「スペースX」を立ち上げた起業家です。彼はペイパルやテスラの創業に関わっていた人物であり、ハイパーループという次世代輸送技術の構想を発表した人物であり、「この世はコンピューターシュミレーションである可能性が高い」と公言しているかなりの変態的(天才的)ビジネスマンです。

すいません、イーロン・マスクが好きすぎて話がそれましたが…

 

MuseNetは機械学習によって、モーツァルトやショパンなどのクラシックの巨匠の楽曲と、ビートルズといった現代のアーティストの楽曲を組み合わせて、新しい音楽をつくるということを可能にするサービスです。

以前は公式ページでデモを体験することができたのですが、残念ながら今はもうできなくなっています。しかし公式ページでは「モーツァルトのトルコ行進曲の冒頭を使ってショパンのスタイルで作曲する」などといった面白い試みをいろいろ見ることができます。

AIを使った作曲の可能性に興味を持っているという人は、ぜひ公式ページを訪れてみて下さい。

AIが作曲すると著作権はどうなるの?

オンライン上で使用する「AIVA」や「Amper Music」「Ecrett Music」については無料版だと商用利用ができません。これは公式ページにも記載されていますし、そもそもフルでダウンロードもできないので…

こういったサービスは、有料版に登録することでロイヤリティーフリーの楽曲がダウンロードできるようになり、自身のYouTubeチャンネルなどでも利用できるようになります。

「Amazon DeepComposer」や「ORB Composer」についてはなんとなくお分かりかもしれませんが、完全にAIが自動で作曲をしてくれるわけではありませんので、人間の手が加わっているもの、つまりAIとの共作については、意図的に盗作しようとして作曲しない限り特に著作権の心配をする必要はないでしょう。

いま話題の「AI」作曲ツール7選 | まとめ

今回は、AI作曲ツールの中でも有名なものから順に並べてみました。

個人的には、Amazonがこのような作曲に関するツールを発表したのがテンション上がりましたね。

これからも音楽関連のAIはどんどん増えていくことでしょう。

AIに負けないよう頑張るのではなく、「AIVA」で紹介した人たちのようにAIとうまく共存しながら、より良い音楽をより短い時間で作れるようになっていくと今より素晴らしい世の中になりそうですね。

今後のテクノロジーの進化も非常に楽しみです。

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