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峰電「Filter PLUS」をPA現場で使ってみた感想

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Issey
作曲家、音響エンジニア
23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

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最近、Twitter界隈で話題?の「峰電」という音響機材屋さんをご存知でしょうか?

峰電 | 高音質パーツショップ

「音の痩せない電源ノイズフィルター」などの音質向上アイテムを販売している方で、もともとはゲーム制作業界にいたようですが、音好きが度を超えて、自分でオーディオアクセサリーを作るようになったという異色の経歴の持ち主。

Twitterでちょくちょくタイムラインに上がってくるので気になっていたのですが、ある日、知り合いのPAの方が現場に「Filter PLUS」というノイズフィルターを持ってきていたのがきっかけで、さらに興味を持つことになりました。

峰電「Filter PLUS」

「電源ディストリビューターに挿すだけ」という気軽さと、3,800円という値段の安さからすぐに購入したのですが・・・

良くも悪くも、音がガラリと変わる機材です

個人的な感想としては、「Filter PLUSを入れることで、音が悪くなることもあり得る」というか、必ずしも音が自分の好みの方向へ向かうとは限らないので、

  • Filter PLUSを入れることで、どのように音が変化するのか?
  • Filter PLUSは本当に必要なのか?
  • どんな人におすすめなのか?

といったところを、正直にレビューしていきたいと思います。

家の環境はもちろん、僕はPA現場でも何度か試してみたことがあるので、ある程度これから購入しようとしている人の参考になるかと思います。

ノイズフィルターって何?オカルト?

ノイズフィルターとは文字通り、音に対して悪さをする電源ノイズを、フィルター回路によって取り除いてくれる機材です。

LED, ルーター, エアコン, 電子レンジなど、さまざまな家電などが影響してノイズを発生させているのですが、このノイズを取り除くことで、スピーカーやオーディオインターフェースの音がクリアになり音質がアップします。

ラックタイプや電源タップ型のパワーディストリビューターならノイズフィルターを内蔵しているものも多く、このようなTASCAMやFURMANのディストリビューター/ノイズフィルターを自宅に設置している人も多いのではないでしょうか。

こういった機材はオカルトではなく科学的な裏付けに基づくものであり、しっかり効果を実感することができます。

峰電のFilter PLUSも、電源タップの空いた箇所に挿すという特殊なノイズフィルターではあるものの、こちらも普段から音楽制作をして音に気を配っている人なら、必ず効果を実感することができるでしょう。

Filter PLUSを挿すことで、音はどのように変化するのか?

さて、Filter PLUSを使うと電源に混ざったノイズを取り除いてくれることはわかりましたが、具体的に音はどのように変化するのでしょう?

まず、峰電の公式ページにはこのように書かれています。

使用方法は、ディストリビューターの空端子に挿し込むだけである。数秒かけて音が変化していき、低域の輪郭がハッキリしてくる事を感じ取れると思う。

https://www.mineden.net/

確かに、Filter PLUSはどこで使っても「低域」が大きく変わります。

また、低域だけでなく、

Filter PLUSを使用すると、低域がすっきりすることで輪郭が見えるようになり、中高域も音の焦点が定まったような締まりの良いサウンドになります。

初めて自宅でFilter PLUSを使用した時は、僕もすぐに効果を実感し、家で音楽を聴いたり制作をするときは必ず使用していました。

自宅スタジオは電源のケアを全くしていなかったので、特に効果が分かりやすかったんだと思います。

今まで電源まわりに気を使ってこなかった人なら、同じように、すぐに効果を実感できるでしょう。

PA現場で使うとどうだったか?

実際に、数十人規模から数百人規模の部屋で実験してみました。

まず、数十人規模の小さな部屋から。

ここは吸音などのルームアコースティックの処理がまったくされていない場所で、低音が部屋全体に鳴り響き、ウーファーは床下が空洞の場所に「ただ設置してあるだけ」といった劣悪環境です。

普段はウーファーをどう設定しても低域がモサッとしてしまうのですが、ここでの峰電は効果抜群でした!

PAミキサーの電源が挿さっているタップにFilter PLUSを入れてみたのですが、低域が引き締まり、その影響もあってか中高域も気持ち程度ですが聞き取りやすくなりました。

すごいぞ、峰電!

次に、数百人規模の、ある程度ルームアコースティックの処理がしてある部屋で使用してみました。

こちらはデジタルプロセッサーなどで細かく音をコントロールできる環境なのですが、普段の設定のまま峰電を挿してみると・・・

低域はタイトになりましたが、音の迫力や低域の押し出しが少なくなり、少し物足りない感じになってしまいました。

なんてこった峰電・・・

調整次第でいいところまで持っていけそうですが、やはり環境によって合う合わないはありそう。

この実験では、Filter PLUSを挿して音が良くなった部屋と、そうでなかった部屋があったので、Filter PLUSは「どんな環境でどこに挿しても音が良くなる魔法のツール」というわけではなさそうです。

僕がFilter PLUSを自宅で使わなくなった理由

さて、先ほど「自宅ではFilter PLUSを使っている」と言いましたが、実は、もう家では使っていないんですよね・・・

なぜかというと、最近ちょっと良い「電源ディストリビューター」を導入したからです。

これは電源ノイズも処理してくれる優れた電源ディストリビューターなのですが、これを入れることで、かなり低域のもたつきがなくなり解像度が爆上がりしました。

ここにFilter PLUSを挟んでみたのですが、音がやせ細ってしまい、あまり良い変化を感じられませんでしたね。

先ほどのPA現場の例のように、劣悪な環境では効果を発揮するFilter PLUSですが、ある程度、整備された環境だとあまり効果を感じられないどころか逆効果になってしまうこともあるのだなと思いました。

まとめ

結局のところ、Filter PLUSは環境によってはかなり効果を発揮する優れたオーディオアクセサリーだと思いますので、自宅では使いませんが、PA現場ではこれからも場所によって使い分ける予定です。

うまくハマれば音の焦点が定まった美しい音像で音楽を楽しめるので、電源まわりに今まであまり気を使ってこなかった人にはぜひ試してみてもらいたいですね。

値段が3,800円とお手軽なのも良いです。

毎回入荷してもすぐに売り切れてしまうのが難点ですが、FIlter PLUSは「電源まわりを整備していきたいけど、どこから始めればいいんだろう?」という人の強い味方になってくれるでしょう。

峰電 | 高音質パーツショップ

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?