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【体験談】ハウリング対策は世界標準の「Isonoe Isolation Feet」がおすすめ – レコードプレーヤーのハウリングの原因と対策を考えてみる

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Issey
作曲家、音響エンジニア
23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

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AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?
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レコードを使ってDJをする際、「ブーン」という低域のハウリングに悩まされたことはないでしょうか?

ハウリングはDJにとってもクラブ経営をするオーナーにとっても、とても深刻な問題です。

クラブやDJバーは、必ずしも設計段階からハウリングの影響を最大限に考慮した作りにできるわけではなく、いろんな事情からやむなく日々の改善を強いられることもあるでしょう。

簡単な対策ならレコードプレーヤーの下にゴムや鉄板を敷いたり、大掛かりなものだとレコードプレーヤーが乗っている台ごと交換したり補強工事をしたりというものまでさまざまです

今日は大掛かりな工事を行ったり、鉄板やゴムの敷き方によってハウリングを抑えたりする手間がかからない、世界中のクラブでハウリング対策のスタンダードとなっている「Isonoe Isolation Feet」という解決策をご紹介します。

レコードプレーヤーのハウリングとは

レコードプレーヤーのハウリングは、主に2つの種類に分かれます。

・建物や床などの駆体を通して伝わる「構造振動」 – 100Hz以下

・空気振動によって針先やトーンアームが共振する「空気振動」 – 200~500Hz

クラブなどで一番多いのは、「構造振動」でしょう。

「ブーン」という、主に100Hz以下の低域で起こる持続音です。

クラブはサブウーファーを使用しているので、ある程度DJブースを丁寧に作り込んでいても、どうしても低音による振動の影響を受けてしまいます。

規模が大きければ大きいほど、この影響は多くなります。

一方、スピーカーの音が直接空気を伝わってレコードプレーヤーに影響を与える「空気振動」は、ハウリングの影響を取り除くことが難しいので、スピーカーやレコードプレーヤーの置き位置を変えてみるかデジタルEQなどで取り除くのが一般的です。

今回の記事では、「構造振動」によるハウリング対策をメインで取り扱っていきます

レコードプレーヤーのハウリング対策は設置方法や防振対策が鍵

レコードプレイヤーは使用前に、いくつか調整しないといけない箇所があります。

これが上手くできていないと針飛びやハウリングの原因になることがあるのですが、Resident Adviserに書かれた「ターンテーブル・セッティング・ガイド」見れば誰でもレコードプレイヤーのセッティング方法を一通り理解することができます。

ターンテーブル・セッティング・ガイド – Resident Adviser

さらに、この「ターンテーブル・セッティング・ガイド」を作成した世界的なDJでもあるObjektは、「A DJ’s guide to turntable isolation」というクラブ向けのハウリング対策ガイドを一つの資料としてまとめています。

A DJ’s guide to turntable isolation – TJ Hertz / Objekt

こちらは英語ですが、スカッシュのボールを使ったハウリングの対策や、クラブにおけるハウリングのチェック方法が記載されています。

とても参考になるので、クラブオーナーや音響の方はGoogle翻訳などを使って読んでみることをおすすめします

さらにここで紹介されているのが、「Isonoe Isolation Feet」を使ったハウリングの対策方法です。

Isonoe feet. These are quite common, especially in well-equipped clubs and with good rental companies, and I’ve found they’re actually almost as effective as concrete.

「Isonoe feet」は、設備のかなり整ったクラブやレンタル業者の間で一般的なハウリングの対策方法らしく、コンクリートで固めるの同じくらい効果があると書かれていますね。

この「Isonoe Isolation Feet」について、詳しくみていきましょう。

ハウリング対策の世界標準「Isonoe Isolation Feet」とは

Isonoe.com

「Isonoe」は、ハイエンドDJミキサーを制作する会社としても知られています。

DJの「Floating Points」と共同制作のもと、数百万円するDJミキサーの制作も行っていますね。

Floating PointsとIsonoe社がロータリー・ミキサーを発表 – Resident Adviser

世界的なレーベル「 Innervisions」のオーナーである「Dixon」も、このミキサーの愛用者です。

そしてこちらが、「Isonoe Isolation Feet」。

divine audio – Isonoe Isolation Feet

「Isonoe Isolation Feet」はただの防振ゴムではなく、写真をみて分かるように支柱がゴムを支えにして宙に浮いているような構造をしています。

これが他のハウリング対策グッズとは一線を画す特徴で、素晴らしいハウリングの解決策です。

ただハウリング対策ガイドにも書かれてある通り、1セット20,000円近くする高価なものなので、個人または小さなDJバーなどは、なかなか購入に踏み切れないかもしれません。

効果は、どれほどのものなのでしょうか?

実際に購入して、クラブで使用してみました。

【体験談】実際にクラブやフェスで使ってみた効果とその感想

僕が音響として働くクラブのメインフロアは、300~400人ほどの規模です。

最大音圧140dBのサブウーファーが8発フロアにあるので、ブースへの低音の回り込みや構造振動は避けられません。

最初は医療の現場で人工筋肉などとして利用されている「ソルボセイン」や鉄板を組みわせて、その場しのぎのハウリング対策をしていました。

これは、多少の効果はあったものの状況によってはまだ、ハウリングは避けられないという感じでしたね。

そんな時、ちょうどObjektが書いたハウリング対策のPDFが公開されたので、購入して試してみることにしたのです。

結論から言うと買って大正解!価格以上の価値がある素晴らしい製品でした。

営業毎に毎回苦労して鉄板を敷いたり、ソルボセインを使ったりして行っていた対策は全て不要となり、「Isonoe Isolation Feet」があればハウリングの心配はほぼないというところまで改善されたのです。

さらに同じくIsonoeから販売されているソルボセインブーツと併用することで、ハウリング対策は完璧なものになります。

Analogue Seduction – ISONOE SORBOTHANE BOOTS WITH INSTRUMENT GLASS (SET OF 4)

もうこれでハウリングが取れなければ、よっぽどDJブースが最悪な作りになっているとしか言えません。

野外フェスなどの現場でも使用していますが、安定した足場を作ることが難しいフェスのような現場でも大いに役立ってくれるのでとても助かります。

【体験談】ハウリング対策は世界標準の「Isonoe Isolation Feet」がおすすめ | まとめ

ハウリングをEQで取り除く方もいるかもしれませんが、EQを使うのは最後の手段です

過激なEQは必ず位相を狂わせるので、音質を気にするならまずはブースなど物理的な環境を整えて、それでもどうしようもないという場合のみ使うようにしましょう。

レコードプレイヤーの振動を抑える作業は、音質を良くする作業でもあります。

ハウリングまでいかなくとも、針が振動を拾って気付かないうちに音が濁っているということも考えられますからね。

レコードプレイヤーの音質をもっと良くしたいというオーディオマニアにとっても、「Isonoe Isolation Feet」は素晴らしい解決策になるかもしれませんよ🙂

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。

この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?