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「Valhalla Shimmer」でブライアン・イーノ風アンビエントサウンドを手に入れる

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2010年に発売された「Valhalla Shimmer」は、アンビエント音楽の巨匠「ブライアン・イーノ」に影響を受けて開発されたリバーブプラグインです。

1980年代ごろ、イーノはたったひとつの幻想的なサウンドを作るために、Lexicon224やAMSピッチシフターといった、総額250万円以上もする高価な機材を使って制作をしていました。

Brian Eno – Deep Blue Day
ひえ〜、高すぎて手が出ないね。

しかしこれを、高価で不安定なビンテージ機材ではなく、安くて動作も安定した「プラグイン」という形で再現できないかとValhallaのスタッフによって考え出されたのが、今回紹介する「Valhalla Shimmer」なのです。

Valhalla Shimmer – Valhalla

このプラグインは50ドル(5,000円程度)とプラグインの中でも安めの価格設定にも関わらず、簡単に幻想的なアンビエントサウンドを作り出すことができます。

この記事では、「シマーリバーブとは何か?」「Valhalla Shimmerの特徴や使い方」「ブライアン・イーノサウンドをつくるコツ」などを解説していきますよ。

「シマー」ってどんなリバーブなの?

シマーは、簡単に言えば「リバーブ + ピッチシフター」です。

原音に音程を変化させたリバーブ音を加えることで、幻想的で神秘的な宇宙のようなサウンドを演出することができます。

実際に音を聴いた方がイメージしやすいと思いますので、こちらの「Volca FM」というFMシンセと「Valhalla Shimmer」を組み合わせた演奏動画を観てみましょう。

Volca FM & Valhalla Shimmer Ambiance

裏でパッドシンセのように「ゴオォォォ」と鳴っているのが、シマーリバーブの残響音です。

まさに「ザ・アンビエント」といったサウンドで、とても心地いいですねー。

あぁ、このまま天に召されそうじゃ…
おじいちゃん、まだイヤだぁぁぁぁぁ!

ギターエフェクトでも「Strymon」や「Eventide」などが、シマーを搭載したリバーブエフェクターを販売していますが、値段が高めなので、気軽に購入するのは少し難しいかもしれません。

ただ、シマーリバーブひとつ得るのに、これほど高価な機材を買う必要はありません。

数万円のハードウェアエフェクターとValhalla Shimmerを比較した動画なども出ていますが、Valhallaもかなりのクオリティーであることが分かるかと思います。

Bigsky vs Valhalla Shimmer: Getting Similar Results

シマーリバーブだけ欲しいという人は、このプラグインで十分かもしれませんね。

Valhalla Shimmerの基本的な使い方

ここからはValhalla Shimmerの使い方を見ていきます。

このプラグインはマニュアルや使い方の紹介ページがあるのですが、もし英語が分かるならこちらを参考にしながら音作りをすると良いでしょう。

参考: Valhalla Shimmer – Documentation

まずは基本的なパラメーターから紹介していきます。

  • mix: 原音とエフェクト音のバランス
  • shift: フィードバック音のピッチ
  • feedback: フィードバックの量
  • diffusion: リバーブの広がり方を調整する
  • size: 反射音のディレイタイムを決める
  • low cut: エフェクト音のローカットEQ
  • high cut: エフェクト音のハイカットEQ
  • mod rate: モジュレーションのスピードを決める
  • mod deapth: モジュレーションのかかり具合を決める

シマーリバーブで重要な、残響音の音程を調整するための「shift」ノブですが、「feedback」が0だと効果がないので気をつけましょう。

さて、ここで一番分かりにくいパラメーターは「diffusion(ディフュージョン)」ではないでしょうか?

日本語で「拡散」と訳されますが、なんかパッとしませんよね・・・

このパラメーターを上げると残響音同士が影響し合うことで、密度の濃いリバーブサウンドを得ることができます。

「密度」と考えると分かりやすいかもしれません。(正確にはちょっと違うのですが…)

ゼロにすると単純にディレイになってしまうので、自然なリバーブサウンドを得たい場合は、ここを0.5〜0.618に設定すると良いでしょう。(マニュアル推奨値)

もっと長いディケイタイムが欲しいなら、0.9ぐらいに設定してみましょう。(sizeとの兼ね合いもあるので難しいところですが、いろいろ試してみて下さい)

あとValhalla Shimmerでは、「リバーブモード」と「ピッチモード」を調整することができます。

ここではシマーリバーブで重要になってくる、「ピッチモード」についてのみ触れておきましょう。

「shift」で調整した音程を、どのようにフィードバック音として加えるかということが設定できます。

  • dual: shiftで調節した音程と、その逆方向の音程を同時に鳴らす
  • singleReverse: singleと同じだが、リバーブ音が反転する
  • dualReverse: dualと同じだが、両方のリバーブ音が反転する
  • bypass: 音程を変えない, バイパスモード

ピッチモードは、この5つです。

「single」が基本となる設定ですが、「singleReverse」にすればフィードバック音が反転し、よりスムーズなフィードバックサウンドを得ることができたり、「dualReverse」を使えばパイプオルガンのようなリッチなリバーブサウンドを作ることもできます。

このように「ピッチモード」を変えることでも、様々な音作りを楽しむことができますよ。

ブライアン・イーノっぽいサウンドの作り方

ブライアン・イーノやU2のようなサウンドを得るためのTIPSが、公式ページで紹介されていたのでここで紹介しておきましょう。

参考: ValhallaShimmer Tips And Tricks: Shimmering

ここから、いくつかのTIPSを取り上げてみますね。

  1. shiftは「+12」にしましょう。
  2. diffusionは、「0.9」あたりがベストです。
  3. singleやdualはノイズ感が強調され「Deep Blue Day」のようなサウンドになります。
  4. singleReverseやdualReverseなら、よりスムースなオルガン風サウンドになります。
  5. カラーモードは「dark」がおすすめ。
  6. modDepthは、ほんの少しだけかけるようにしましょう。

これらは唯一の正解ではありませんが、幻想的なアンビエントサウンドを作るのにかなり役立ちます

Valhalla Shimmerを使って、ブライアン・イーノのようなサウンドを作ってみたいという人は、ぜひ参考にしてみて下さい。

「Valhalla Shimmer」でブライアン・イーノ風アンビエントサウンドを手に入れる | まとめ

Vahlalla Shimmerはすごくシンプルな見た目ですが、意外と奥が深いんですよね。

公式にもいろんなTIPSや、アンビエントサウンドに関する記事が載っています。

僕もすべての記事に目を通せていないので、もう少しこのプラグインがうまく使いこなせるよう勉強していこうと思っています。

あと、こちらのValhallaの開発者による解説もなかなか面白いので、日本語字幕をONにしてぜひご覧になってみて下さい。

Valhalla Shimmerは、単にリバーブのプラグインが欲しいという人には向いていませんが、神秘的なアンビエントサウンドを求めている人にはぴったりのエフェクトです。

「こういう神々しい音を作ってみたかったんだ!」という人がは、ぜひ「Valhalla Shimmer」を試してみて下さい。

シマープラグインは安くて質の良いものがそんなに多く出回っていないので、おすすめですよ。

Valhalla Shimmer – Valhalla

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?