今回は、人気のリバーブプラグインEventide「Blackhole」を紹介します。
もともとギター用エフェクターであるEventide「Space」のプリセットとして有名だった「Blackhole」ですが、本家Eventideがこのリバーブだけを抜き出してプラグイン化したのがこの製品です。
最近では「Blackhole Pedal」という、Blackholeの機能だけを取り出したギター用エフェクターが登場していることからも、このリバーブがどれだけ人気なのかがわかりますね!
参考: Eventide「Blackhole Pedal」- サウンドハウス
広大なアンビエントやドローンサウンドが欲しい人、存在感のあるスペシャルなリバーブを探している人におすすめですよ。
この記事では、Blackholeの特徴や使い方について解説していきます。
Eventide Blackholeの特徴や使い道
Blackholeの大きな特徴は、「Gravity(重力)」というパラメーターでリバーブを反転させて、他にはない特別な響きを生み出せることです。
ほとんどのリバーブは、現実世界の物理学に制約された地球上のものです。しかし、Blackholeリバーブはその常識を覆し、現実には存在し得ない仮想空間を作り出すことができます。大きなサイズでは、そのソフトなアタックと余韻のあるハーモニックなテールにより、ギター、ストリングス、パッドなどで真価を発揮します。小さなサイズでは、その同じ性質がボーカルに天使のような輝きを与えたり、シンプルなドラムトラックを別世界のリズムセクションに変えたりします。
この「Gravity」は時計回りに回すと「ディケイ」として、反時計回りだと「リバースモード」として機能します。
実際に操作してみるとわかりますが、この「Gravity」は単なるディケイではなく、密度や音のキャラクターも変化していくので、他では見られない面白いリバーブ効果を与えることができるんですよね。
Blackholeは、宇宙のような特殊効果やドローンを作り出すことができるのは確かですが、音楽的で繊細な効果を作り出すこともできます。重要な楽器を強調したり、ミックスの背景を描いたりするのに便利です。事象の地平線にいても、家の近くにいても、Blackholeはインスピレーションと驚きを与えてくれます。また、直感的な操作で、ロケット科学の学位がなくても、トラックに特別なものを加えることができます。
「Blackhole」という名前が付いているくらいなので、吸い込まれるような広大なリバーブサウンドが作れるのはもちろんのこと、上の説明のように、特定の楽器に存在感を与えるのにも使えます。
曲中で目立たせたいシンセパートなどに挿入すると、音に存在感が出るのでおすすめですよ。
いろんな使い道がありますが、僕のおすすめはやはり「アンビエント」や「ドローン」のような曲を作るのに使うことですね。
Eventide Blackholeの使い方
Blackholeはパラメーターがシンプルなので、一般的なリバーブプラグインを使ったことのある人なら、マニュアルなどを見なくても簡単に操作することができます。
参考: Eventide「Blackhole」- 公式マニュアル
基本的な使い方については、公式マニュアルにおまかせするとして、ここでは特徴的なパラメーターや使い方をいくつか紹介していきます。
リボン・コントローラー
リボンコントローラーは、一般的に「マクロコントロール」と呼ばれる、1つのスライダーで複数のパラメーターをコントロールするための機能。
各パラメーターの外側に青い線が付いていますが、これらは全てリボンコントローラーと連動していて、青い線の範囲で各パラメーターを一斉にコントロールできるようになっています。
これを使えば、「サビ前に徐々にサイズやフィードバックを大きくしつつ、リバーブの低音をカットしていく」といった操作がスタイダー1つでできるようになります。
フリーズボタン
フリーズボタンを押すと、入力信号がミュートされ、再生されている音が無限にループ(フリーズ)されます。
これをオーディオファイルとして録音すれば、アンビエントやドローンサウンドが簡単に作れ、フリーズした状態でパラメーターを変化させると、さらに面白いサウンドを作りだすことができますよ。
MIXLOCK
センドリターンを使ってリバーブを使う時、プリセットを変えるごとにWET/DRYの数値が変わってイライラしたことはないでしょうか?
MIXLOCKをオンにしておけば、常に100%WETの状態をキープしたままプリセットを変えられるので、プリセットごとにWET/DRYノブをいじる必要がなくなります。
これはプリセットを頻繁に検索する人にとっては、すごく便利な機能ですね。
Eventide Blackholeを使ってみた感想
僕は普段からBlackholeを使っていますが、「他のリバーブより密度があり、音に存在感が出るリバーブだな」という印象を持っています。
Blackholeという名前の通り、壮大なリバーブサウンドを簡単に作れるので、アンビエントなどの空間系音楽がすごく作りやすいですね。
ただ、Blackholeはサウンドが特徴的なので、ドラムパートや細かいシンセの音など、何にでも挿してしまうと、「キャラクターが一辺倒で少しつまらないミックスになってしまうかな」という印象もあるので、普段はDAW付属の一般的なリバーブなどを使っておいて、ここぞというパートにBlackholeを挿すのがいいのかなと感じました。
プリセットも豊富なので、いろんなプリセットを聴き比べて自分なりの使い方を見つけてみてください。
Eventide「Blackhole」で宇宙空間のようなリバーブを手に入れる | まとめ
最初に、BlackholeはEventide「Space」のプリセットから抜き出されたと言いましたが、さらに歴史をさかのぼると1994年発売のEventide「DSP4000 Ultra-Harmonizer」、2005年発売の「H8000 Ultra-Harmonizer」などのプリセットとしてスタートしています。
たった1つのプリセットにこれだけの歴史があり、今も新しいギターペダルやプラグイン, iPadアプリとしてリリースされ続けている製品というのはとても珍しいのではないでしょうか。
高品質なリバーブプラグインを探しているという人は、ぜひこの伝説的なリバーブ「Blackhole」を試してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
・Eventide「Blackhole」- Plugin Boutique