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Amphion Two 18 | 圧倒的な解像度を誇るモニタースピーカー

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

Issey
作曲家、音響エンジニア
23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

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AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?
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最近モニタースピーカーの買い替えを検討していて、楽器屋に出向いてはいろんなスピーカーを試聴しています。(現在はFocal「Shape 65」を使用中)

いろいろ聴いてみたのですが、この度ついに、自分の理想に限りなく近いスピーカーを発見したので紹介します!

それが、フィンランドのスピーカーブランドAmphionです。

参考: Amphion.fi

まだ購入にはいたっていませんが、家にデモ機を送っていただき、自宅環境でいろんな音を聴いたり制作したりしているので、その感想などと合わせてこのスピーカーの素晴らしさをお伝えできればと思います。

50万円〜100万円クラスの、モニタースピーカーを検討している人は必見ですよ。

この記事を書いたあと、悩みに悩んで購入いたしました。レビュー記事はこちら

Amphionとは?

Amphionはフィンランドのブランドで、モニタースピーカーとしては珍しいパッシブタイプ(アンプ非内蔵)のスピーカーを製造しています。

これはAmphion独自の哲学によるもので、「スピーカーの内部にアンプを背負うことが音に悪影響を及ぼしてしまう」ということを考慮した結果、アンプを内蔵しないつくりになったとのこと。

なので、スピーカーだけ買っても当然音は出ないので、アンプも合わせて購入する必要があります。(Amphionから独自開発のアンプが販売されているので、アンプ選びで悩む必要はありません)

他にも、多くのスピーカーブランドが、ツイーターとウーファーのクロスオーバーを2,000Hz〜5,000Hzに設定している中、Amphionは1,600Hzという低い位置に設定しているというのも、Amphionスピーカーの大きな特徴の1つ。

これも、2,000Hz〜5,000Hzという帯域は人間の耳がもっとも敏感に反応する帯域なので、ここを避けることによって各ドライバーのつながりをスムーズにするというAmphion独自の哲学によるものです。

Amphionの音を聴いた瞬間、その虜に…

上記のようなこだわりをもって作られたスピーカーなので、音はとにかく素晴らしいです。

僕がAmphionと合わせて楽器屋で試聴したのは、「Barefoot」や「PMC」というスタジオ定番の機種でしたが、Amphionの「楽器の再現性」「空間表現力」にはかなり驚かされました。

まるで、目の前でオーケストラやバンドが演奏しているかのような臨場感で、音の定位やリバーブの深さなどが生々しすぎるくらいよくわかります。

いい環境で録音されたものはめちゃくちゃ良く聴こえますし、逆に録音やミキシングが悪ければ全然気持ちよく聴こえない、というシビアなスピーカーでもあるので、好き嫌いは分かれるかもしれませんね。

“これ、絶対に10Mでミックスしているな”というのがわかる。“これは6インチのウーファーでミックスしているな”とか。Amphion や Barefoot で聴くと、そういうのが一発でわかって、“この人は今の時代に合わせてきていないんだな”と思う。

Epic 5 User Story ニラジ・カジャンチ × 浅田祐介 スペシャル対談

ニラジさんも対談でおっしゃっていましたが、本当に録音環境やミックスの意図が見えるスピーカーだなと感じました。

Amphionのスピーカーが向いていない人

僕はAmphionを初めて聴いた時から、ずっとこのスピーカーのになっていますが、「人によっては、ハマらないだろうなー」とも感じます。

理由は、以下の2つです。

  1. 低音の物足りなさ
  2. 高すぎる解像度

これらは完全に僕の主観なので、人によってはまったく気にならないかもしれませんが、順に説明していきますね。

まず、低域はスペック上40Hzまで出ると書いてありますが、ヒップホップやダンスミュージックを制作するなら、このスペックだけ見ても少し物足りない感じがします。

実際に聴いてみても、超低域は一応出てはいるものの、ミキシングの段階で低音を正確に調整しようとするのは少し難しいんじゃないかなと感じました。

ただ、これには解決策がありまして・・・

Amphionには専用のサブウーファーがあるので、これを導入すれば細かい低域の調整まで可能になります。

参考: BaseTwo 25 – Amphion

日本での販売はまだ行われていないようですが、値段は100万円以上とかなり高価です。

次に解像度の高さですが、人によっては制作段階で「細かい音まで見えすぎるのがイヤ」という意見もあります。

確かに、制作している時は細かいことを気にせず、ノリや感覚でどんどん曲作りを進めていきたいですよね。

またミキシングやリスニングの際に、細かい音や楽器のディテールまで聴こえすぎてしまう(いい意味でまとまって聴こえない)ので、慣れないとそれぞれの楽器のバランスがとりにくいなとも感じました。

Amphion Two18を選んだ理由

Amphionのモニタースピーカーには「One」と「Two」があり、これはウーファーが1つあるか2つあるかの違いなのですが、今回試聴したのは「One18」「Two18」という、それぞれのシリーズの中でも一番大きなものでした。

参考: Amphionラインナップ – Mixwave

なぜ、僕が「Two18」という一番大きなモデルを選んだのかというと、「音像」「低域」という2つの理由があります。

Amphionのスピーカーは全体的にドライバーの経口が小さいこともあり、音像が狭いというか小さく感じてしまいます。

ところがTwo18くらいの大きさになればその音像の小ささも気にならなくなり、さらにウーファーが2つ付いている分、低域も余裕を持って鳴らすことができるので、Amphionシリーズでも一番大きいTwo18を選びました。

逆に、低音にフォーカスした音楽をあまり作らないという人なら、もう少し小さなモデルでも十分かもしれませんね。

Amphionは、公式のインスタアカウントに「Q&A」をたくさん載せているので、どのモデルを買おうか迷っているという人は、参考にしてみると良いでしょう。

まとめ

最近、モニタースピーカーの大定番「ADAM Sシリーズ」も自宅に取り寄せて聴いたのですが、いい意味で「音が丸い」と感じました。(超低域から超高域までしっかり出ているのですが、Amphionとは真逆のサウンドという印象)

「Justin Colletti」というマスタリングエンジニアが、「自分の音は全体的に暗めになってしまうからADAMのスピーカーを使う」と言っていましたが、このように自分が作る音の傾向に合わせてスピーカーを選ぶのも良いかもしれませんね。

なので「自分が音を作ると、ついつい中域や高域が目立ってしまう」という人には、Amphionがベストマッチかもしれません…

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?