【レビュー】Focusrite「Scarlett Solo G3」| 小さなボディにたくさんの魅力が詰まった入門機

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今回はオーディオインターフェースの入門機として人気のFocusrite「Scarlett Solo」について紹介していきます。

このコロナ渦でなかなか入荷されないのが難点ですが、1万円ちょっとで初心者にも手が出しやすく音楽制作に必要な機能がしっかりと付いているため、DTM初心者にかなりおすすめのオーディオインターフェース。

スペックや機能面はもちろん、実際に使ってみて感じた使い心地や、音質などについてもレビューしていきたいと思います。

2016年に発売されたG2(第2世代)との違い

Scarlett Solo G3の前身である「G2(第2世代)」が発売されたのは4年前ですが、その頃に比べると外見も中身もちょっとづつ進化しています。

前作「G2」との違いを見ていきましょう!

音質の向上

音質は「ダイナミックレンジ」「ゲインレンジ」「入出力レベル」などにおいて、数値の向上がみられますね。

2G(2nd Gen)と3G(3rd Gen)の比較表

僕はG2を試したことがないので音質の変化について詳しくは語れませんが、数字を見る限りでは前モデルよりも性能が上がっているようです。

ヘッドフォンアンプもよりクリーンで大音量のものに進化し、マイクインプットも次に紹介する「AIRモード」を使うことで、録音音質を変化させることができるようになりました。

AIRモードの追加

マイクの入力部分には、「AIRモード」という新たな機能が加わりました。

AIRモードとは、Rupert Neveによって設計された伝説のコンソールを再現したものらしく、このコンソールは世界に10台ほどしかないそうです。

ISAの原型となるマイクプリアンプが生まれたのは1985年。当時EMIから独立した5人目のビートルズと呼ばれるプロデューサー ジョージ・マーティン氏とジョン・バージェス 氏によってLondon Oxford Streetに設立された Associated Independent Recordingのレコーディングスタジオ、頭文字から通称AIR StudioのNEVEコンソールのために特別に設計されたものでした。ISAのサウンドはクリアでありながらLundahl 1538トランスによる微妙な飽和感がある温かみも感じるもので80年代中期のサウンドを印象付けました。

Focusrite ISAマイクプリ特集 NEVE氏のスピリットを受け継ぐ音楽史の至宝

実際にマイクで自分の声を録音してみたのですが、AIRモードにすると高域を少しブーストしたようなカラッとした音になりました。

音の違いは、この動画を観るとよくわかるでしょう。

Airモードとは何か?

原音の雰囲気をガラッと変えてしまうAIRモードですが、楽器や声質によってはかなり使える機能だと思うので、状況に応じて使い分けるといいんじゃないかと思います。

Focusrite「Scarlett Solo G3」を使う3つのメリット

ここからは、Scarlette Soloを使うメリットを紹介していきます。

その理由は全部で3つあります。

安っぽくないデザイン

値段はオーディオインターフェースの中でもかなり安く、1万円ちょっとで購入できるのですが、高級感のある真っ赤なデザインや質感は上位モデルに引けを取らず、まったく安っぽさを感じさせません。

Focusrite「Scarlett」シリーズ

あと、本体は想像以上に小さく電源アダプタも必要ないので、外出先で使いたい時にも活躍してくれるでしょう。

DTMに必要な最低限の機能が詰まっている

Focusrite Scarlett Soloには、本格的にDTMを始めたいという初心者にもおすすめできる機能が詰まっています。

具体的には、

  • マイクイン ×1 (ファンタム電源対応)
  • ラインイン ×1
  • ラインアウト ×2
  • ヘッドフォンアウト ×1

このようにマイクやアナログシンセを録音することもできますし、マイクインには“48Vファンタム電源”が供給できるので、コンデンサーマイクを使うことも可能

2つのラインアウトからはスピーカーに繋ぐことができ、もちろんヘッドフォンでのリスニングもできます。

DTMを始めたばかりの人にとっては、十分すぎるスペックでしょう。

特典のプラグインがヤバすぎる

Focusrite製品の魅力の1つである「特典の豪華さ」は、他のメーカーをみても飛び抜けています。

DTM業界定番のDAW「Ableton Live」のライト版、最近話題のサブスク音源サイト「Splice Sounds」の3ヶ月無償トライアル、「Focusrite Red 2 & Red 3」といったビンテージ機材を再現したプラグインなど、特典だけで価格にして3万円以上の価値があります。

個人的には、マスタリング用コンプレッサー「Drawmer S73」とかめちゃくちゃ欲しいですね。

Focusriteユーザー、うらやましすぎです・・・

Focusrite「Scarlett Solo G3」の唯一のデメリット

とにかく価格や品質面で魅力的なScarlett Soloですが、使ってみて1つだけ気になる点がありました。

それは、

スピーカー音量とヘッドフォン音量を、別々にコントロールできない。

ということ。

スピーカーとヘッドフォンを同時に使ってリスニングしたいという人は、音量のコントロール時に制約が出てきます。

ヘッドフォン音量を上げようとすると、スピーカーの音量も上がってしまいますからね。

ただこれは、「僕はスピーカーしか使わない」「私はスピーカーメインで音楽制作をして、夜だけヘッドフォンを使って作業する」という、スピーカーとヘッドフォンを同時に使用しない人にとってはまったく問題ありません。

この1点が気にならないなら、Focusrite「Scarlett Solo」は間違いなく”買い”だと思います。

Focusrite「Scarlett Solo G3」の使い方

ここでScarlett Soloの使い方について、簡単に解説します。

まずパソコン上の設定ですが、こちらを参考に進めていけば音が出るようになります。

※Windowsユーザーは、事前にドライバーをインストールしてから設定していきましょう。

「Scarlett Solo」ユーザーガイドより

次に、本体について説明していきます。

いろいろボタンやノブが並んでいますが、基本的には左側が「インプット」、右側が「アウトプット」です。

インプット

インプットは全部で2つあり、①はマイクイン、②はラインインです。

①のマイクインは、マイクを挿してGAINを上げるだけで音が出るようになっていて、コンデンサーマイクと呼ばれる特殊なマイクを使いたいなら「48V」ボタンを押すだけ。

「AIR」ボタンを押すと、ビンテージコンソールを再現した音になるので、ON/OFFと試してみて気に入った音質の方を使いましょう。

②のラインインはアナログシンセやギターなど、マイク以外のあらゆる音を録音できるインプットで、同じくGAINで音量をコントロールします。

ギターを録音したい時は「INST」ボタンをONにしておきましょう。

アウトプット

スピーカーは背面の2つのアウトプットに挿し、ヘッドフォンはノブのとなりにあるアウトプットに挿しましょう。

右にある大きなノブで、アウトプットの音量を調整します。

「DIRECT MONITOR」ボタンを使えば、いったんパソコンを経由せずに音が直接返ってくるので、レイテンシー(音の遅れ)の問題がなくなります。

音が遅れて聴こえるから演奏しにくい」「録音時に音がダブつく」という時は、このボタンをONにしておくと快適なレコーディングができるでしょう。

Focusrite「Scarlett Solo G3」のよくある質問

ここではFocusrite「Scarlett Solo G3」に関する、よくある質問をいくつか取り上げていきます。

ドライバは必要なの?

ドライバーが必要なのは、Windowsのみです。

Focusriteの登録ページからダウンロードしましょう。

コンデンサーマイクは使える?

Scarlett Solo本体の「48V」ボタンを押すことで、コンデンサーマイクも使えるようになります。

特に難しい設定はありません。

ぶっちゃけ音質はどうなの?

手持ちのオーディオインターフェース(10万円クラス)と比較してみましたが、Scarlett Soloの解像度は価格のわりにかなり高いです。

もちろん音の奥行きや深みでは上位機種にかないませんが、1つ1つの楽器や声はしっかり聴きとれるくらい音が良いので、低価格だから品質が悪いということはありません。

正直、これで1万円はびっくりですね・・・

Focusrite Controlには対応してるの?

Focusrite Controlとはパソコン上でオーディオインターフェースを制御するソフトですが、Scarlett Soloはこれに対応していません。

対応機種は、Scarlett 4i4からとなっています。

ただ、本体のファームフェアを更新するために必要になってくるので、SoloユーザーであってもFocusrite Controlはインストールしておきましょう。

ループバック機能には対応してる?

ネット配信に便利なループバック機能ですが、こちらはFocusrite Controlを使用する必要があるため、Soloでは対応していません。

ループバック機能がどうしても必要だという人は、Scarlett 4i4から上の機種を選びましょう。

Focusrite「Scarlett Solo G3」| 小さなボディにたくさんの魅力が詰まった入門機 | まとめ

Scarlett Soloはシリーズの中で一番インプットが少ないのですが、最近はプロでもアナログ機材をいっさい使わず、プラグインのみで音楽制作やマスタリングをする人も増えてきているので、プラグイン重視でDTMをする人にとってはそんなに気にならないと思います。

本体の大きさが想像以上に小さいので、持ち運び用のサブ機として購入するのもおすすめですね。

人気機種なので在庫があればラッキーという感じですが、気になる人はぜひ検討してみてください。

この記事が、みなさんの参考になれば嬉しいです。

ニュースレターはじめました。

音楽制作の話、世界の音楽ニュース、DTMに役立つコンテンツなどを毎週金曜日にニュースレターで配信しています。

無料なので、気になった方はメールアドレス登録してもらえると嬉しいです。

https://studiookina.substack.com/