前作の、パワフルなグラニュラーシンセ/ループマシン「CYCLES」が発表されてからおよそ2年、ブリストルの注目メーカー「Slate+Ash」が新たなKontakt音源を発表しました。
オーケストラサウンドを基調としたサンプル音源「LANDFORMS」です。
LANDFORMS ENGINE OVERVIEW
ベースはオーケストラサウンドですが、動画をみてもわかるようにがっつりエフェクト処理されています。
この処理がとにかく絶妙で、プリセットをそのまま使っても、ほかのストリングス系シンセとは比べものにならないくらい唯一無二なサウンドを奏でることができます。
アンビエントやエクスペリメンタルを作っている人には、特におすすめ。
いまのところ、2021年発売のソフト音源の中で、3本の指に入るくらいクオリティの高い製品ですね。
さっそく、詳しい内容をみていきましょう。
LANDFORMSの特徴
LANDFORMSは単なるオーケストラ音源ではないので、純粋なオーケストラの作曲がしたい人には向かないかもしれません。
しかし、オーケストラの美しい響きを使って、新たな音楽性を追求するツールとしてはこの上なく素晴らしい製品です。
LANDFORMSは、2つのオーケストラ音源をレイヤーし、複雑なエフェクト処理を行うことで、たえず変化する有機的なサウンドを作り出します。
Slate+Ashに収録されている楽器は、バリトンサックス、コントラバスーン、バスクラリネット、オーボエ、クラリネット、ファゴット、フルート、トロンボーン、トランペット、フリューゲルホルンなど。
バイオリンのソロから管楽器のアンサンブルまで、いろんなシチュエーションで録音されたものが収録されています。
LANDFORMSのエフェクト処理
LANDFORMSをLANDFORMSたらしめているのは、モジュラーシンセやカセットマシンなどを使った複雑なエフェクト処理です。
On top of the orchestral articulations are 50 processed sound sources, each made up from six separately processed layers. These were all created by passing the orchestral recordings through eurorack modules, granular synthesis engines, cassette machines, pedal chains and amplifiers.
オーケストラのアーティキュレーションの上には、50の加工された音源があり、それぞれが6つの別々に加工されたレイヤーで構成されています。これらはすべて、オーケストラの録音をeurorackモジュール、グラニュラー・シンセシス・エンジン、カセット・マシン、ペダル・チェーン、アンプなどに通して作られています。
とにかくいろんな処理がされているので、キーボードを適当に弾いているだけでも飽きのこない人間味のあるサウンドを奏でてくれます。
ライブ用途にも、とても便利なのではないでしょうか。
LANDFORMSの高品質エフェクトエンジンにサンプルを読み込める
オーケストラ音源だけではなく、自分で録音したさまざまな音を取り込むことができるので、それをLANDFORMSの優れたエフェクトエンジンを使って、まったく新しいサウンドに生まれ変わらせることができます。
音源は、最大12個まで取り込むことができます。
モジュレーション・ピッチシフター・ディレイ・リバーブなどの処理で、自分だけのサウンドを作り出しましょう。
LANDFORMSの機能の一部を紹介
LANDFORMSはシンプルな見た目に、あらゆる機能が詰まっています。
マニュアルを見ないとわかりにくい部分もあるので、プリセットだけではなく自分で積極的に音作りがしたいという人は公式マニュアルも参考にしてみてください。
ここでは、一部の機能を紹介していきます。
インプットモジュール
左側の青いラインをクリックすると、インプットに関する設定ができるインプットモジュールが現れます。
ここでは、以下の4つを調整することができます。
・アルペジオ
・テープマシン
・ランダム
・ハーモニー
「アルペジオ」
はDAWにも付いているようなアルペジエーターの機能、「テープマシン」はサンプルの長さやピッチを変える機能で積極的な音作りに使えます。
「ランダム」は音程やパンを定期的に変化させる機能、「ハーモニー」は元の音に4つの異なるハーモニー加えることができる機能です。
このインプットモジュールだけでも、さまざまな音づくりを行うことができますよ。
豊富なエフェクトとモジュレーション
エフェクトは、リングモジュレーターやレゾネーターなどかなり幅広く揃えてあります。
こちらがエフェクト一覧です。
全部で3つまで同時に使うことができ、XYパッドを使ってリアルタイムでコントロールしたり、オートメーションをかけて動きをつけることも可能。
さらに画面右側の赤いラインを押すと、このように「マスターエフェクト」が登場します。
ここではリバーブやディレイの他に、ローファイやコンプといったパラメーターも操作できるので、他のプラグインを使わなくても内部で音作りが完結してしまいます。
さらに、エフェクトをモジュレーションによって変化させられるのはもちろんのこと、「Perspective」画面でモジュレーションを操作すれば、最大7つのサウンドを同時にコントロールして、サウンドに複雑な時間変化を与えることができます。
ブリストルの注目メーカーが放つクリエイティブなオーケストラ音源 | まとめ
シンプルな見た目ですが、「あっ、ここも調整できるのか」みたいな裏設定っぽいのがいくつかあり、慣れないと使いづらく感じるかもしれません。
ただプリセットは使いきれないくらいの数があり、これだけでも十分戦力になるので、いろいろ覚えるのが面倒だという人は覚えなくても大丈夫です。
Slate+Ash製品はデモ版がないので、購入するのにけっこう勇気がいりますが、LANDFORMSは他のプラグインでは出せないような特別感のある音が揃っているので、デモ音源を聴いて気に入ったという人にはぜひ使ってみてもらいたいですね。
この動画では、約40分にわたってLANDFORMSのプリセットが紹介されているので、こちらも参考にしてみてください。
Landforms Random Playthrough of a few patches
最後までお読みいただき、ありがとうございました🙂