この度、「KORG MS-20 オリジナル後期型」を購入しました。
原宿のビンテージシンセショップ「Five G」で、140,000円なり!
「MS-20」は歴史あるシンセで、オリジナルはなんと1978年に発表されています。
初代MS-20から40年以上の歴史があり、2013年には「MS-20 mini」という復刻版がKORGから発売されたことで、再び脚光を浴びました。
年表: Road to MS-20 mini 〜 MS-20 History 〜 – KORG
ソフトシンセ版やニンテンドーDS版、iPad版など多くのデバイスで復刻されていることからもMS-20がいかに昔から愛され続けてきたのかがよく分かります。
最近だと2019年10月にBehringerが「K-2」というMS-20のクローンシンセを発表していますね。
Behringer、KORG MS-20のクローンの出荷準備が完了 – Resident Adviser
以前、復刻版である「MS-20mini」なら楽器屋で試奏したことがあったのですが、その時は「こんなもんか」という感じでした。
しかし、別の日にオリジナルのMS-20を試奏したところ、一瞬で心奪われたので購入を決意しました。
半年ほどメンテナンスがかかると言われたので耐え抜き、やっと手元に届いたのでレビューしていきたいと思います。
「KORG MS-20 オリジナル後期型」とは?
2013年に「MS-20mini」という復刻版が爆発的に流行りましたが、その元となるのが40年以上前に発表されたMS-20のオリジナル版です。
オリジナルのMS-20は、その発売年から「前期型」と「後期型」に分けられ、それぞれに特徴があります。
前期型: MS-20miniのモデルになった。柔らかくウォームなサウンドが特徴
後期型: パンチがあり、はっきりとした音。テクノ系に向いている
MS-20はケーブルのパッチングによってより複雑な音作りが楽しめる「セミモジュラー式」のシンセサイザーで、ハイパスとローパスのフィルターを合わせ持つ珍しいシンセサイザーです。
さらに外部のシンセやギターをパッチングすることによって、MS-20のフィルターをいろんな楽器にかけることもできます。
2013年発売の「KORG MS-20 mini」とは何が違うの?
オリジナルを14%サイズダウンさせUSB端子も備えることで現代風に生まれ変わった「MS-20mini」は、当時のアナログ回路を完全再現しています。
KORG MS-20 mini イントロダクション・ムービー
回路を完全再現しているのなら音も同じだと考えてしまいそうですが、実はそうではありません。
パーツに関しては現代では手に入らないものもあり、その部分に関してはエンジニアの耳によって判断された代替パーツに置き換えられています。
パーツが全て同じでないのなら、当然音も違います。
さらにビンテージシンセの魅力は、何年もの時間を経てパーツが劣化したことによる音の変化にもあり、これは新しいシンセが次々発表される現代においてもビンテージシンセが人気である理由の一つでもあります。
僕が楽器屋で「MS-20mini」の音に何も感じなかったのに、オリジナルの「MS-20」には感動して即刻購入を決めたのは、このように復刻版では再現しきれない音の違いがあるからなのでしょう。
「KORG MS-20 オリジナル」の出音は、控えめに言っても最高
オリジナルのMS-20の音ですが、完結に言うと「少し曇った音」です。
そしてMS-20miniと比べると、少し「荒々しい音」ですね。
「それって良いことなの?」と思われるかも知れませんが、このようにも言い換えられます。
曇った音→アナログ的な温かみ
荒々しい音→カチッとしすぎない人間味のある音
復刻版と呼ばれるシンセのサウンドはどれも非常にオリジナルに近いものの、アナログ感ではオリジナル版に劣ります。
アナログならではの不安定さはデメリットでもありますが、人間味があって音楽的な響きがするというメリットにもなり得ます。
扱いにくい部分もありますが、オリジナルのMS-20は本当に買ってよかったと思える出音の良さとアナログ感がありますね。
「KORG MS-20 オリジナル」ならギターもシンセも通せる。全ての楽器をMS-20の音にする方法
実はMS-20には「External Signal Input」という端子があり、ギターやシンセをフォンケーブルで直接挿すことができます。
これによってMS-20独特の雰囲気やフィルターが他の楽器にも使えるので、例えば安いシンセサイザーでも「MS-20」のフィルターを通すことによって、荒々しく野太いサウンドに仕上げるといったことも可能になります。
これは購入時には予想していなかったのですがかなり使える機能でして、ソフトシンセをMS-20に挿してアナログっぽくするといった使い方をすることもできるので、かなり音作りの幅が広がります。
MS-20を購入するなら、ぜひ試して欲しい機能の一つでもあります。
【注意】ビンテージシンセの品質はピンキリ。ヤフオクではなく信頼できる店舗での購入をおすすめする理由
ここで一つ注意点です。
ここまで読んでみてビンテージシンセが欲しくてたまらなくなったかもしれませんが、「安くヤフオクやメルカリで購入しよう」と考えてはいけません。
なぜなら、ビンテージシンセは製造から長い年月が経っているので、壊れやすく個体差が非常に大きいからです。
僕がオリジナルのMS-20を購入した時、原宿のFive Gというビンテージショップには5台のMS-20がありました。
「どれもそんな変わらないと思いますよー」という、店員の視線をよそに一台づつ丁寧に聴き比べた結果、最後の一台だけ出音が全く違ったのです。
「これは違いますね。」
思わず店員さんも、声を上げてしまいます。
最後の一台は状態も良く、音も非常に良かったので即刻購入を決めました。
ヤフオクやメルカリは、ビンテージシンセを買うのには向いていません。
もし購入してすぐに故障しても文句は言えませんし、一台一台音の違うビンテージシンセを音も聴かずに購入すると「こんなはずじゃなかったのに」という最悪の状況にもなりかねません。
※実際オークションで音を聴かずに購入して、後悔している人を見たことがありますw
ビンテージシンセを購入するときは「少しでも安く」という思考を捨てて、店舗での購入をおすすめします。
「KORG MS-20 オリジナル後期型」を購入!! – MS-20miniやソフトシンセとの違いとは | まとめ
ビンテージシンセは百万円以上するものもある中、MS-20は10万円ちょっとと比較的手が出しやすいビンテージシンセでもあります。
僕の好きなアーティストにも多くの愛用者がいたので、購入を決意しました。
「MS-20mini」も値段の割に素晴らしいシンセであることは間違いありませんが、ぜひ店舗へ足を運んで「MS-20」オリジナルの魅力も体感してみて下さい。