今日ご紹介するのは、Soundtoysの「Sie-Q」というEQです。
これは、Soundtoys初のEQプラグインですね。
1960年代に活躍した「シーメンスW295B」というビンテージ機材を再現したもので、その滑らかなEQのかかりと使い心地から、多くのエンジニアに愛されてきたといいます。
当時の回路を再現したEQが、Soundtoysの手によってプラグイン化されたことで、誰でも簡単にそのビンテージサウンドを扱えるようになりました。
ちょっと低域や高域が物足りないな、何かデジタル臭さが残ってしまうなというときにサッと使える手軽で便利なEQです。
それでは早速、Soundtoys「Sie-Q」の特徴や使い方を見ていきましょう。
Soundtoys 「Sie-Q」の特徴と使い方を解説!!
SoundtoysのSie-Qは、このようにシンプルな4つのパラメーター構成されています。
- LOW – 低域のシェルビングEQ
- MID – 中域のベルカーブ型EQ(周波数は6段階)
- HIGH – 高域のシェルビングEQ
- DRIVE – ブーストすることでサチュレーションを加える
一番右の「Drive」というノブは、実機の「シーメンス W295B」にはついていないのですが、過度に入力することで得られる実機のサチュレーションを調整するためにソフトウェアのみに追加されたパラメーターです。
このEQの最大の魅力は、なんといっても抜けの良い高域のEQですね。
MAAG EQ4というEQにも「AIR BAND」と呼ばれる高域に輝きを与えるためのEQがありますが、感覚としてはそれに近いかもしれません。
抜けが足りないサウンドにこのEQをかけてあげることで、存在感が増し音抜けが良くなるでしょう。結構大胆ににかけても、キレイに高域が持ち上がります。
実機のEQのかかり具合は、こちらの動画を参考にしてみてください。
あと応用的な使い方としてこちらの商品ページにも書かれていますが、自分の曲が少しデジタルっぽいなと感じたら、マスターにこの「Sie-Q」と併せてSoundtoysから販売されている人気プラグイン「Dicapitator」を挿してみましょう。
適度なアナログ感を出すことができます。
Soundtoys 「Sie-Q」を実際に使ってみた感想
実際に、Sie-Qを使ってみました。
高域のEQは激しくかけてもそこまで崩壊しないものの、低域のEQやドライブはかけすぎると音が潰れて崩壊してしまうので、扱うときには注意が必要です。
ドライブノブは音が潰れないギリギリの場所を狙ってひずませ、サウンドにキャラクターを与えるという使い方が良いかもしれませんね。
あとは、Sie-Qはパラメーターが少なく周波数もほとんど指定できないので、細かい不要な帯域をカットするというよりは、足りない部分を補うブースト用のEQとして使うのが良いでしょう。
Sie-Qはブーストする音量によってQ幅が狭くなったり、シェルビングで帯域を持ち上げる際に特定の周波数が凹んだりといった実機独自の特徴を再現しているので、ノブが少ない割に意外と奥が深いEQでもあります。
いろいろ弄ってみて、その効果を確かめてみましょう。
「Point Blank Music School」が出している以下のチュートリアル動画は、結構参考になりますよ。
Soundtoys 「Sie-Q」の特徴と使い方を解説!! 実際に使ってみた感想 | まとめ
今回はSoundtoys初のEQプラグインのご紹介でしたが、相変わらずSoundtoysはマニアックな機材のモデリングをしてきますね。
とはいえ「シーメンスW295B」という機材は、1960年代にエンジニアの間で広く使われていたようなので、ある程度の知名度があり信頼できる機材であったことが予想できます。
EQプラグインはいろんなメーカーから素晴らしいものが販売されているので、Sie-Qは使い所に迷ってしまうかもしれませんが、高域のエアリーな質感を与えるEQだけでも頭の片隅にいれておくと役に立つ場面が出てくるかもしれませんよ。