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Arturia「CS-80 V」

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先日、こんなツイートをしました。

僕の大好きなシンセの1つであるCS-80が、このたびV4エンジンを搭載して新しくなったということでさっそく試して見ました。

Arturia「CS-80 V4」- 公式ページ

結論から言うと、

今までのCS-80 V3とはまったく別のシンセと言ってもいいくらい、音のグレードが上がっています。

なんというか、今まではプラグインシンセの範疇に収まっていたものが、「これぞアナログモデリング」と言えるようなグレードにまで昇華されているなと思いました。

はじめて、u-heの「Diva」や「Repro」を触ったときに近いものを感じましたね。

Arturiaといえば、昔はかなりパラメーターが小さくて操作しにく、音もどこか安っぽかったので良い印象がなかったのですが、このアップグレードを経て最近のモダンシンセサイザープラグインと肩を並べるくらいの出来になったように思います。

シンセシストの氏家さんも、こちらのレビュー動画でそんなことをおっしゃっていますね。

そもそもCS-80といえば、昔から映画音楽などにも使われる超有名シンセサイザー。

まずはその歴史について、軽く触れておきましょう。

Yamaha「CS-80」の歴史

1976年にヤマハから発表されたCS-80ですが、当時は128万円もする超高級機だったと言います。(当時のサラリーマンの年収は200万円くらい)

これが国産初の本格派アナログポリシンセだったのですが、これがボンジョビやスティービー・ワンダーなど数多くの著名アーティストに使用され、ここから日本のシンセサイザー業界での快進撃が始まっていったわけです。

CS-80といえば、映画「ブレードランナー」で作曲家のヴァンゲリスがCS-80の音色を多用していたことも有名ですね。

CS-80は重さが90kg、出荷が3,000台ほどしかなかったことを考えると、今の時代に実機を買うのはあまり現実的ではありませんが、Arturiaがここまでの再現度で(実機触ったことありませんが…)誰にでも扱えるソフトシンセという形で販売してくれているのはとても嬉しいことです。

最近はBlack Corporationによる「DECKARD’S DREAM MK2」というアナログシンセがリリースされていますが、これはCS-80のクローンのようですね。

これも美しいサウンドです。

いつか本物のCS-80を触ってみたい・・・

Arturia「CS-80」の特徴 & V4で新しくなった点

最近のArturiaの製品すべてに言えることですが、Arturiaは「TAE® (True Analog Emulation)」という技術を使うことで、ソフトシンセをかなり実機に近いサウンドにまで仕上げてきています。

TAE® (True Analog Emulation)は、ビンテージ・シンセサイザーで使用されているアナログ・サー キットをデジタルで再生するために特化した Arturia の優れた技術です。 TAE®のソフトウェア・アルゴリズムは、アナログ・ハードウェアの確実なエミュレートを実現します。 このため、CS-80 V は Arturia のすべてのバーチャルシンセサイザーと同様に比類のない音質 を提供します。

https://downloads.arturia.net/products/cs-80v/manual/cs-80-v_Manual_4_0_0_EN.pdf

この技術によって、高周波におけるノイズを少なくしたりアナログシンセの不安定な波形のゆがみを再現することで、よりアナログシンセの特性に近づけることが可能になったそう。

実際、CS-80のオシレーター部分はチューニングが不安定だったので、同時に鳴らすとピッチがシンクロしない事が多かったと言います。それが逆に、CS-80独特のモジュレーションやコーラス効果を生み出し、CS-80特有のサウンドとして評価されていたようですね。

最近はパソコンのスペックが向上しているおかげで、アナログシンセを再現するためのいろんな技術を詰め込むことが可能になっているうようで、僕たちDTMerにとっては嬉しい限りです。

V4エンジンになり、いくつか新しい機能が追加されました。

  • モジュレーション
  • キーボードコントロール
  • エフェクト

これらは実はV3にも一部搭載されていた機能なのですが、とても簡易的でおまけのような扱われ方をしていました。

ところがV4になってからは、右上の「Advance」ボタンを押すことで画面上部に堂々とエフェクト画面が登場し、より細かくパラメーターを操作できるようになっています。

キーボードコントロールではアフタータッチのパラメーターまで調整でき、エフェクト部分にはJUNOシンセのコーラスやテープエコーなど、シンセ内部で音作りを完結できる便利な機能が多く加わっています。

まとめ

もともと、ArturiaのCS-80は大好きなプラグインシンセの1つでしたが、今回のアップデートでさらに好きになりました。

細かい機能の向上はいくつかありますが、なんと言っても、音が今までのバージョンと全然違います。

以前のバージョンのCS-80を持っているという人は、ぜひアップグレードしてその音質を体感してもらいたいですね。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Arturia「CS-80」- Plugin Boutique

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?