民族楽器全部入り「Ethno World 6」の魅力について

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今日は、膨大な民族楽器を収録するサンプルライブラリ「Ethno World 6」をご紹介します。

とにかく大量の民族楽器が収録されているのがEthno World 6の大きな特徴であり、世界中のさまざまな民族楽器を使って音楽制作を行いたい人にぴったりのライブラリです。

なんとEthno World 1が出たのは20年以上も前で、これまで5度のアップデートを経て、インターフェースの改良や音源の追加が行われてきました。

民族音楽が大好きな僕は、自分の曲にも積極的に民族的なビートや楽器を使っています。(こちらの2022年リリースの楽曲にも、民族楽器をいくつか使っています)

今までは、Native Intrumentsの民族系サンプルを使ったり、SpliceやLoopcloudのサンプルでやり過ごしていたのですが、Ethno World 6を使い始めてから、民族系の音づくりの幅がさらに広がったように思います。

自分の欲しい音を求めて、いろんなライブラリを横断する必要がなくなったのが嬉しいですね。

この記事ではEthno World 6の特徴に加え、いくつかの制作で使ってみてわかった、メリットやデメリットについてもお伝えできればと思います。

Ethno World 6について

Ethno World 6には「Instruments」「Voice」という2つの製品と、この2つをまとめた「Complete」の3種類があります。

全てのライブラリを合わせると、28,789のサンプルと320の音源が含まれていて、容量は20GBを超えます。

この動画を観てすぐにわかるように、いろんな国に渡って数々の楽器を収録している、まさにモンスターライブラリ。

ガムランの楽器やインド音楽でよく使われるシタールなど、定番の民族楽器はもちろん、見たことも聞いたこともないような楽器もたくさん収録されていて、新たな楽器を発掘して演奏するだけでも楽しめるライブラリとなっています。

音質はどうか?

Ethno World 6は音源ライブラリにしては結構なお値段ですが、その楽器の収録量を考えると、かなり格安とも言えます。

なので心配になるのは、「収録数は多いけど、1つ1つの楽器のクオリティが低いんじゃないのか?」ということだと思いますが、ここはあまり心配する必要はないというのが僕の意見です。

冒頭で紹介した楽曲にはEthno World 6の音源は使っていないのですが、最近作ったこちらの楽曲は、ほとんどEthno World 6のみを使って作っています。

ノイマンやブラウナーのマイク、SPLプリアンプ、RMEのコンバーターなど、最高級の機材を贅沢に使っているだけあって、音質は申し分ありません。

付属のコンボリューションリバーブも、簡易的ではありますが十分使えるクオリティなので、僕はそのままで使用しています。

ちなみに、この曲ではほとんどの楽器にBlackBoxやSSL 4KBといったサチュレーター類を通し、Altiverbなどのコンボリューションリバーブの響きを追加しています。

本格的に制作したい人にも申し分ない音質だとは思いますが、楽曲と馴染ませるために多少は音の調整をしてあげると、ポテンシャルが最大限に引き出せるかと思います。

使いやすさは?

Ethno World 6は、エディット機能が豊富です。

ピッチの変更、パン、アタックリリースの調整、EQ・コンプ・サチュレーション・ディレイ・コーラスなどのエフェクト、コンボリューションリバーブなど、DAWを使わなくてもEthno World 6だけで音作りを完結できるようになっています。

でも、細かい部分まで調整できるわけではなく、あくまで簡易的なものが多いので、使い慣れているミキシングツールやエフェクトがあるなら、そちらを使ったほうが良いと思います。

僕の場合、基本的にプリセットのままの状態で使い、必要に応じて外部プラグインで調整するといった感じで使っています。

あと、使いやすさという点で、瞬時に自分の欲しい楽器が選択できるか?というところが大事になってくると思いますが、その点では少々不便さを感じてしまうかもしれません。

たとえば、「Ethno World 6 Instruments」は国別ではなく「Key」「Bowed Instruments」「Drum」「Stringed Instruments」のように楽器ごとに分類されているので、「目的の楽器の種類」までは簡単に絞り込むことができるでしょう。

ところが、世界の民族楽器の名前を全て把握している人はあまりいないでしょうから、たとえば弦楽器を選びたくて「Bowed Instruments」を選んだとしても、下の写真のように謎の楽器名が羅列されているだけなので、最初は楽器の種類を覚えるまでいろいろと選択して鳴らしてみるしかない、というのが現状です。(ここはライブラリが膨大なぶん、大きなデメリットになるかもしれませんね)

Bowed Instruments一覧

写真一覧から楽器を選択できたりすると、かなり便利だと思うんですが、ここは今後出てくるであろうEthno World 7に期待しましょう。

代替品はある?

一時期、民族系楽器はいろいろ探していたのですが、Ethno World 6ほど膨大な楽器を収録しているライブラリはなかなか無く、これだけで民族系の音のほとんどをカバーできるので、今では民族系のメインライブラリとなっています。

でも、これだけいろんな楽器を網羅しているライブラリは少ないですが、特定のジャンルに特化している製品というのは、いくつかあります。

僕が民族系の音楽を作るときは、Ethno World 6とあわせてNative Instrumentsの民族楽器シリーズも使っています。

SPOTLIGHT COLLECTION: EAST ASIA

「India」「Middle East」「Cuba」など、特定の地域の民族音楽に特化したライブラリに関して言えば、Native Instrumentsのものは相当優秀で、そのまま曲に使えるようなフレーズが多く、音質もとても良い印象です。

やはり特化系のライブラリはクオリティにこだわり抜いているので、ほとんどの民族楽器はEthno World 6でカバーできるものの、音質面や使いやすさで言うと特化系には敵わない場合もあるというのが正直なところです。

楽器の種類はEthno World 6ほど多くないですが、音質面で素晴らしいのはEastWestの民族楽器シリーズです。

World and Traditional Virtual Instruments

EastWestはオーケストラ系の音源を取り扱うメーカーで、いくつか民族系の楽器も取り扱っています。

単品購入よりサブスクがお得ですが、1ヶ月30ドル(およそ5,000円)もかかってしまうので、EastWestに使いたい音源があったり、EastWestのサウンドが好きだという人向けです。

老舗だけあって、音は素晴らしいので、気になる方は1ヶ月のトライアルを試してみるのが良いでしょう。

あと一つ代替品を挙げるとすれば、UVIから出ている「World Suite 2」です。

UVI World Suite 2

UVIのサブスクを使って何ヶ月か使っていたことがありますが、管楽器や弦楽器系の音色がとても良く、気に入って使っていました。

パーカッション系はそんなに充実していなかった印象ですが、とにかくフルートやギター系の音が素晴らしい。

値段的にもEthno World 6と迷ってしまうかもしれませんが、収録楽器が微妙に違ったりするので、自分の気になる楽器が多く収録されている方を選ぶのが良いと思います。

どんな人が購入すべきか?

特定の楽器の音源ライブラリはいろんなメーカーから出ていますが、わざわざいろんなライブラリを横断して、自分の目当ての音を探すのは相当なストレスだと思います。

なので、普段からいろんな民族楽器を使って作曲したいという方にとっては、Ethno World 6が1つあれば、かなりストレスを減らせるんじゃないかなと思います。

先ほども書きましたが、特化系の音源ライブラリの方が音が良かったり使いやすかったりすることもあるので、もし特定の楽器の音だけが欲しいのであれば、そちらを購入する方が良いかもしれません。

たとえば、「KOTO 20」のような琴の音色だけで数万円するような製品は、やはり表現力や音色が素晴らしいのも事実。

でも、普段から琴を使った音楽を頻繁に作らない人にとっては、1つの楽器に数万円使うのはかなり無駄ですよね・・・

そういった意味で、いろんな民族楽器を使って音楽制作を楽しみたい方にとっては、Ethno World 6のような包括的なライブラリがとても役に立つでしょう。

Ethno World 6 Complete – Best Service

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