ミキシング

MS処理を使って「空間」をコントロールする方法

こんにちは、スタジオ翁のIssey(@studiookina)です。

今日は、ミキシング手法のひとつである「MS処理」について紹介していきます。

MS処理を使うと、どんなことができるのかと言うと・・・

・キックやベースをタイトにする

・ボーカルにきらびやかさを与える

・他の楽器のためのスペースをつくる

・ミックスのにごりを取り除く

このようなこともできますし、応用次第では他にもいろんな使い方ができるでしょう。

もちろん、通常のEQやコンプを使っても似たようなことはできますが、MS処理を使えばより細かいミックスの調整が可能になります

使いどころが少し難しいかもしれませんが、覚えておいて損のないテクニックなので、その使い方や応用方法、MS処理に使えるプラグインなどを一緒にみていきましょう\(^o^)/

MS処理とは?

MS処理とは、ステレオ信号を「Mid(中央)」と「Side(サイド)」という2つの信号に分けて別々に処理するミキシング手法です。Midには、左右のチャンネルに共通する情報だけが含まれ、Sideには、左右のチャンネル間で異なるすべての情報が含まれています。

娘
えっと、つまりどういうこと…?

これは「LR(左右)」とは、少し違った考え方なのですが・・・

イメージとしては、こんな感じ。

真ん中から聞こえる音(Mid)と、左右に広がっている音(Side)をいったん分離して、それぞれEQやらコンプを使って個別に調整することで、

・Midを上げて音の芯をつくる

・Sideだけを強調して音に広がりを出す

こういったことが簡単にできるようになるわけですね。

 

そもそも僕たちの耳は、左右のスピーカーから全く同じ音が出ていれば「音が正面から聞こえている」ように感じ、同じ音でも左右で「タイミング」や「位相」が少しでもずれていれば「音が左右に広がっている」ように感じる仕組みになっています。

翁
「モノラル」音源は、左右のスピーカーから出ている音の成分や音量が全く同じだから、正面から聞こえるというわけじゃな。

さて、この音をMidとSideに分ける処理は、専用のプラグインを使えば簡単に行うことができます。

ここからはMS処理に使えるプラグインを、無料と有料でそれぞれ紹介していきますよ!

MS処理に使えるプラグイン(無料あり)

MS処理は、主にEQやコンプレッサーを使って行います。

まずは、無料のプラグインからみていきましょう。

Voxengo「MSED」(無料)

Voxengo「MSED」

「MSED」は、完全に無料で使うことができます。

これをチャンネルに挿せばMid/Sideの情報を「L/R」として扱えるので、それぞれのチャンネルに好きなプラグインを挿して、音の調整ができるというスグレモノ。

EQやコンプだけでなく、あらゆるプラグインを使ってMid/Sideごとに細かい処理をしたいという人に向いています。

こちらの記事に詳しい使い方が解説されていたので、気になる人は参考にしてみるとよいでしょう。

参考: 【Tips】M/S処理について – Studio Greenfield Diary

DAW付属のEQ

ほとんどのDAWには、Mid/Side機能のついたイコライザーがついています

翁
DAWさえ持っていれば、特に新しいプラグインを買わなくてもMS処理ができるというわけじゃな。

もちろんEQのかかり方や性能はプラグインによって違うので、より高性能・多機能なものを求める人は、有料のものを検討しても良いですね。

Fabfilter「Pro-Q」「Pro-C」

Fabfiler「Pro-Q」「Pro-C」

Fabfilterの「Pro-Q」は、有料EQプラグインの大定番です。

かなり多機能で使い勝手がよく、もちろんMS処理にも対応しています。

 

同じくFabfilterの「Pro-C」というコンプレッサーもMS処理に対応しているのですが、DAW付属のコンプではMS処理にまで対応していないことが多いので、Mid成分やSide成分のみコンプで処理したいという人には、こちらがおすすめですね。

iZotope「Ozone」

iZotope「Ozone 9」

「Ozone」はマスタリング用ソフトなので、EQやコンプだけでなくあらゆるマスタリングツールが一つのプラグインに入った便利なツールです。

EQとコンプはどちらもMS処理に対応していて、コンプに関しては「マルチバンドコンプレッサー」という複数の周波数を別々にいじれるタイプなので、「高域○○kHzのSide成分だけにコンプをかける」といったかなり細かい調整まで可能となっています

Fabfilterがミキシングの定番ツールなら、iZotopeの「Ozone」はマスタリングの大定番ソフトでして、最近ではAIによる自動マスタリング機能なんかもついているので、高機能なマスタリング用プラグインを探しているという人は、ぜひ試してみてください。

waves「Center」

waves「Center」

「Center」はシンプルなパラメーターで、誰でも手軽にMS処理ができるプラグインです。

値段も安いので、「MS処理で音の広がりをコントロールしたいけど、なんか難しそうだな…」と感じている人は、試してみる価値があるでしょう。

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MS処理を応用する5つのアイデア

さてここでは、MS処理を使ってワンランク上のミキシングをするための5つのアイデアを紹介します。

気になるアイデアが見つかれば、実際にやってみてその効果を試してみてください。

ボーカルのスペースをつくる

ボーカルが他の楽器に埋もれているなら、問題はボーカルチャンネル以外にあるかもしれません

その場合、ボーカルのメインとなっているおいしい帯域を特定してから、他の楽器のMidチャンネルでその帯域をカットしてみましょう。

ボーカルを無理やりブーストするよりも、良い結果になることがあります。

キックをタイトにする

キック、特にダンスミュージックのキックは、ステレオではなくモノラルであることがほとんどです

キックに余分なステレオ帯域があると音に締まりがなくなるので、キックをタイトにするためにも、100Hz以下のSide成分はバッサリとカットしても良いかもしれませんね。

ミックスの濁りを取り除く

ステレオで聴くといい感じなのに、モノラルで聴くとミックスが少し濁って聴こえるという場合は、ステレオ成分が多すぎる可能性があります

低域のSide成分のみをカットしてみるか、中高域のリバーブ成分が目立ちすぎている帯域のMid成分のみにEQを適用させると、いい結果が得られるかもしれません。

ドラムのオーバーヘッドに使う

ドラムのオーバーヘッドに適度な部屋鳴りをプラスしたいなら、Mid成分の高域のみをブーストしましょう。

単に高域をブーストするよりも、自然に広がりや空間を意識させることができますよ。

ダイナミックEQを使ってMS処理を行う

これは、wavesのブログで紹介されていた方法です。

「F6」というプラグインを使って、ボーカルが再生されている間だけ他の楽器のMid成分のみをダッキングさせると、ミックスのステレオ感に影響を与えることなくボーカルを目立たせることができるというもの。

ちょっと上級者向けですが、気になる人はこちらの動画を観てみて下さい。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

MS処理はミキシングに必ず必要なテクニックではありませんが、ミックスの低域を整えたり高域の空間の広がりをコントロールしたりするのには、かなり使える便利なテクニックだと思います。

もし「どうしても狙った音にならないな…」「もっと自然なカタチで音を調整したい!」という場面があれば、ぜひ「MS処理」のことを思い出してみて下さい😃

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