Plugin Boutiqueからリリースされている、「Scaler 2」というコード進行補助ツールをご存知でしょうか?
僕は、前から名前だけ聞いたことがあったのですが、
「また似たようなプラグインが現れたか…」
「同じようなプラグインはいくらでもあるし、試すまでもないだろう…」
と、今まで完全にスルーしていました。
でもふとしたきっかけで「Scaler 2」を試してみたところ、今まで僕がやりたかったことがあまりにも簡単にできてしまうので、即刻このプラグインを制作に取り入れることになりました。
いやー、なんで今まで使っていなかったんだろう…
ちょっとバカにしていたのを後悔しています。
そんなわけで、
- Scaler 2のスゴイところ
- Scaler 2の使い方
- Scaler 2はどんな人におすすめなのか?
今日はこのようなことを解説していきます。
「音楽経験があまり無いからコード進行がうまく作れない」人や、「これからもっと作曲の幅を広げていきたい」人には、きっと役立つツールとなるでしょう。
「Scaler 2」とは?
「Scale 2」とはMIDIやオーディオを解析し、楽曲のスケールやキーを把握するためのツールです。代替コードの提案, プロアーティストによるプリセット機能, ドラッグ&ドロップによる簡単操作は、直感的でスピーディーな音楽制作を可能にしてくれます。
「2」という名前の通り「Scaler」の後継プラグインで、2020年に新たにバージョン2がリリースされました。
販売しているPlugin Boutiqueは、もともといろんなメーカーを取り扱うプラグインの総合サイトですが、この「Scaler 2」に関してはPlugin Boutiqueがディベロッパーとして販売をしていますね。
参考: 「Plugin Boutique」でのDTMプラグインの買い方 – スタジオ翁
ここで、公式ページで紹介されているScaler 2の特徴を見てみましょう。
- 音楽からキーを見つけ、代替スケールやコードを探る
- Carl Cox, MJ Cole, The Temper Trapなどのアーティストコードセットが200以上
- チル、ドラム&ベース、ジャズ、シネマティック、EDM、プログレッシブなど、200を超えるジャンルとムードベースのコードセット
- ドラッグアンドドロップでMIDIをDAWにエクスポート
- Scaler 2でお気に入りのシンセを制御
- MIDIバインド機能を使用して、1本の指でコードとメロディーを再生および録音が可能
- DAWと同期したアルペジオ機能
Scale 2は単にスケールやコードを操るだけでなく、かなり機能の豊富な「アルペジエーター」を備えていたり、「ヒューマナイズ」といって人間らしいズレやグルーブを再現するための機能があったりと、コード進行アシストソフトの枠に留まらずかなり色んなことができるようになっています。
「Scaler 2」でできる3つのこと
ここからはScaler 2の機能の中でも、特に素晴らしいと感じた3つの機能を紹介していきます。
スケールの解析
Scaler 2を使って、楽曲のスケールを解析する方法は2つあります。
- 一音づつ鍵盤で打ち込む
- 楽曲をまるごと取り込んで、自動解析
まずびっくりしたのは、自分の好きな楽曲をまるごと取り込んで解析してくれる機能。
精度は完璧ではないですが、コードやキーがはっきりしている楽曲なら高い精度で「スケール」「使われているコード」などを割り出してくれます。
自分の耳で聴いても、使われているコードがわからないことはよくあるので、これはめちゃくちゃ良い機能だと感じました。
1の方法は、自動解析ではないですが一番確実な方法です。
一音づつ鍵盤で入力していくと、Scaler 2が「その音が使われているスケール」の候補をいくつも提示してくれます。
僕は今までスケールを解析するときは、「Scale Finder」というサイトを使ってキーを入力していました。
これが、正直かなり面倒くさかったんですよね・・・
Scaler 2を使えば、ものすごく早くスケールの解析ができる上、そのスケールで使えるコードをドラッグ&ドロップで簡単にMIDIデータとして取り扱うことができるので、個人的にはこれが一番嬉しい機能でした。
ジャンルやアーティストごとのプリセットが使える
これはいろんなジャンルを作曲する人にとっては、かなり便利な機能でしょう。
このように、豊富なジャンルのコードプリセットが揃っています。
あまり馴染みのないジャンルの曲でも、こういったプリセットを使えば簡単に雰囲気を出すことができますよね。
あとはアーティストプリセットといって、さまざまな有名アーティストの雰囲気を出すためのコードプリセットも用意されています。
結構ダンスミュージック系のアーティストが多いので、エレクトロやダンスミュージック系の製作者には嬉しい機能でしょう。
初心者でも簡単にスケールが扱える
「Perform機能」を使えば、あらゆるスケールを白鍵のみで演奏することができます。
これがやりたいがために数年前、「NI Komplete Kontrol Sシリーズ」を購入したのですが、
あれ、Scaler 2があれば別に買わなくても良かったんじゃ・・・
と、Scaler 2を見つけた時はちょっぴり悲しい気持ちになりましたね。
参考: 「Komplete Kontrol Sシリーズ」は音楽理論を不要にする最強のMIDIキーボードだった – スタジオ翁
ピアノが弾けない人にとって、白鍵だけでいろんなスケールが弾けるのはかなり魅力的な機能だと思います。
もちろんこういう機能はDAWにも付いていることも多いですが、Scaler 2はキーの判別も使いやすいし瞬時にダイアトニックコードの提示までしてくれる。
特にジャズや民族系の音楽を作りたいならスケールの扱いが重要になってくるので、その時はScaler 2が大活躍してくれるでしょう。
「Scaler 2」の使い方
Scaler 2の使い方は、動画で観ないとイメージが湧きにくいと思うので、参考になったいくつかの動画を紹介していきます。
まず日本語のチュートリアルなら、間違いなくSleep FreaksさんのYouTubeが参考になります。
ここでは「メロディーにコードをつけていく」「コードアシストを使ってアイデアを広げる」といったことが学べます。
Plugin Boutiqueの公式YouTubeで学ぶなら、以下の2つの動画がおすすめ。
Scaler 2の概要を、ひと通り理解することができます。
実際にScaler 2を使って曲を作っている様子を観てみたいなら、こちらの動画もおすすめですね。
これらの動画を観れば、ある程度Scaler 2の概要や使い方は理解できるかと思います。
「Scaler 2」はどんな人におすすめなのか?
Scaler 2は、こんな人におすすめのツールです。
- コード進行を簡単に作りたい
- いろんなジャンルの作曲をしたい
- 好きな曲に使われているスケールやコードを知りたい
- 音楽理論の基礎をなんとなくは理解している
まず前提となるのは、音楽理論の基礎は軽く理解しているということ。
あくまでScale 2は、コード進行の作成をお手伝いしてくれるツールなので、「Cmって何?」みたいな人は、まず音楽理論の基礎だけでも数時間ほど勉強してから導入するようにしましょう。
とはいえ、決して難しい理論を覚える必要はないので、基礎さえ分かっていれば「ジャンルプリセットを使っていろんなジャンルの曲を作る」「好きな曲のコードを真似して作曲する」といった色んな使い方ができます。
初心者や普段から楽器を弾かない人にはもちろんのこと、コード進行が毎回単調になってしまうので、コードの制作をサポートしてくれるツールを探している中級者〜上級者の人にもおすすめできるツールですね。
Plugin Boutique「Scaler 2」を導入しました | まとめ
僕は楽器が弾けないので、こういった便利なプラグインをいつも探しています。
「Scaler」の存在は知っていたんですが、今まで使ってこなかったのは正直もったいなかったですね・・・
MIDIシーケンサーやアルペジエーターは他にも結構いいものがありますが、Scaler 2のようにスケールやコードを解析してくれたり、簡単にコード進行をつくれるツールはなかなか無いような気がします。
値段もあまり高くないので、「コード進行」や「曲の雰囲気づくり」に悩んでいるという人は、ぜひ取り入れてみることをおすすめします。