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Soundtoys 「PrimalTap」の特徴と使い方を解説!! 1979年発売のLexiconの名機「Prime Time」を再現

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Issey
作曲家、音響エンジニア
23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

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Soundtoysのディレイプラグイン「PrimalTap」を紹介します。

PrimalTap – Soundtoys

「PrimalTap」は、1979年にLexiconから発売されたデジタルディレイマシン「PrimeTime」をモデリングしたレトロディレイプラグインです。

レトロディレイプラグインという名の通り、Lexicon PrimeTimeの独特なレトロサウンドが再現されています。

このプラグインで何ができるのか知りたい方は、こちらの動画を見てみてください。

その一風変わったディレイサウンドはブライアンイーノやデビットバーンなど多くの著名アーティストに愛されており、ディレイプラグインの変わり種を求めている人にはぴったりのプラグインとなっています。

それでは早速みていきましょう。

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Soundtoys 「PrimalTap」の最大の特徴とは?

PrimalTapの最大の特徴は、なんといっても「MULTIPLY」というパラメーターでしょう。

現代のデジタルディレイと違って、昔のデジタル機材は機能的にさまざまな制約があったのですが、その制約があったからこそ生まれた機能が今もプラグインとして再現され、愛され続けている理由でもあります。

Lexicon Prime Timeの「MULTIPLY」はディレイタイムを2倍, 4倍, 8倍と長くする機能ですが、当時の機材ではメモリに限界があったため、より長いディレイタイムを得るためにサンプルレートを下げる処理をほどこし音質を犠牲にしていました。

しかし現代もLexicon PrimeTimeを愛するアーティストは、その独特のサウンドの劣化をいい意味でディレイマシンのキャラクターとして音作りに活用しています。

このPrimalTapも同様に、ディレイタイムを長くするにつれて以下のように再生可能な周波数帯域が狭まっていきます。

  • 1倍 – 帯域幅 12kHz
  • 2倍 – 帯域幅 6kHz
  • 4倍 – 帯域幅 3kHz
  • 8倍 – 帯域幅 1.5kHz

8倍にもなるとだいぶ荒めのディレイ音になりますが、この音こそがPrimalTapの良さでもあります。

うまく使うことで、音にレトロ感やアナログ感を加えることができるでしょう。

もう一つの特徴は、「FREEZE」機能です。

Lexicon PrimeTimeと同様、サンプルを切り取ってループ再生する「FREEZE」機能がついています。

こちらの動画を見ていただくと、この機能のクリエイティブな応用例を見ることができますよ。

フリーズさせたサンプルのピッチやディレイ音を変化させて、いろんな音作りのバリエーションを楽しんでみましょう。

Soundtoys 「PrimalTap」の使い方を解説!!

PrimalTapの使い方は、それほど複雑ではありません。

まずは基本的なパラメーターの意味を見ていきましょう。

  • TIME – ディレイタイムを決める(タイムorテンポ同期)
  • ADJUST – ディレイタイムを最大1/2にする
  • RATE – LFOのレートを決める
  • DAPTH – モジュレーションの量を決める
  • FEEDBACK – ディレイフィードバックの量を決める
  • OUTPUT – ディレイの音量とDRY/WETバランスを決める

この中でいくつか重要なものをピックアップして解説していきますね。

より詳しい使い方は、公式マニュアルをチェックしましょう。

PrimalTap – 公式マニュアル

TIME

PrimalTapには、二つの独立したディレイが搭載されています。

「TWEAK」で設定画面を開くことで、パンニングやフェイズといったさらに細かい設定をすることもできますよ。

「TIME」「BEATS」の二つのモードがあり、自分でディレイタイムを設定するかDAWのテンポに合わせるかの設定を行うことができます。

ADJUST

ADJUSTノブを右に回していくことで、ディレイタイムを最大1/2にできます。

このセクションをうまく利用することでフランジャーやフェイザー、コーラスなどの効果を得ることもできます

プリセットにもこれらの効果を出せるものがあるので、いろいろ試してみましょう。

FEEDBACK

このFEEDBACKセクションでは、AとBそれぞれのディレイをもう一度PrimalTapのインプットに戻すことでより大きなフィードバックを得ることができます。

ちなみに「IN」フェーダーを大胆に上げることによって、強烈なフィードバックによるサチュレーション効果も得ることができますよ。

積極的な音作りがしたいという方は、このフェーダーをうまく活用すると良いですね。

結構過激に変化するので、くれぐれもツッコみすぎには注意しましょう。

Soundtoys 「PrimalTap」のモデルになったLexiconの名機「Prime Time」とは?

実機のPrimeTimeは1979年に発売されましたが、現在でも多くのアーティストがプラグインではなく実機を使っていますね。

ギタリストに多い印象ですが、僕の好きなアーティストである「Olafur Arnalds」も使っています。

中古品は10万円ちょっとで購入できるので、高すぎて手が届かないほどの機材でもないでしょう。

ディレイユニットに10万円はかなり勇気のいる決断ですが…

Soundtoys 「PrimalTap」の特徴と使い方を解説!! 1979年発売のLexiconの名機「Prime Time」を再現 | まとめ

Soundtoysからは「EchoBoy」という汎用性の高いディレイプラグインも出ていますが、「PrimalTap」はいろんな用途で使えるというよりは、ビンテージサウンドや一味違ったディレイサウンドが欲しいここぞという時に使うべきプラグインだと感じます。

制作用途によってこれらのプラグインを使い分けることにより、さらにクオリティの高い曲作りができるようになるでしょう。

PrimalTapはもちろんプリセットも豊富なので、いろいろ試してみて使い方の参考にしてみてくださいね。

PrimalTap – Soundtoys

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?