今日は、おすすめのモニタースピーカー「Focal Shape」シリーズを紹介していきます。
2017年にフランスのFocal社から発売されたこのスピーカーは、日本でも大変話題になり大ヒットしましたね。
Focal Shapeシリーズが発売された当時、自宅で「Genelec 8030」という定番モニタースピーカーを使っていたのですが、Focal Shapeシリーズの魅力に取りつかれ、すぐに購入してしまいました。
今回は「Focal Shape」シリーズを実際に3年ほど使っている僕が、大定番モニタースピーカーである「Genelec」との比較なども交えつつ本製品を紹介していきます。
「Focal Shape」シリーズはモニタースピーカーの新しい選択肢
2020年、Focal Shapeシリーズはスタジオモニターの新定番になったと言ってもいいでしょう。
イギリスの有名雑誌「MusicTech」は、ウェブサイトでのレビューで「Focal Shape 65」に対し、10点満点中10点の評価をしています。
参考: Focal Shape 65 Review – The Finest Monitors Of 2017?
さらに「Gonno」, 「Sapphire Slows」, 「Wata Igarashi」, 「Sause81」という日本を代表する4人のトラックメーカーを集めて行ったモニタースピーカー聴き比べでも、Focal Shapeはかなりの高評価を得ていました。
参考: モニタースピーカーのススメ – Resident Adviser
Focal Shapeシリーズの特徴として、
「音量をそこまで出さなくても、比較的バランスの良い音でリスニングできる」
「癖のないクリアでフラットな特性のおかげで、さまざまなジャンルの音楽に対応できる」
といった点が挙げられます。
実際に僕も何年か使っていますが、いろんな場所で高評価を得ているのも納得できる素晴らしい仕上がりだと感じますね。
Focal Shapeシリーズは、ウーファーの大きさによって3つの種類に分かれています。
- Focal Shape 40 – 4インチ(税込み99,814円)
- Focal Shape 50 – 5インチ(税込み121,814円)
- Focal Shape 65 – 6.5インチ(税込み162,554円)
大きさによって結構値段が変わるのですが、
違いは「再生可能周波数」です。
大きなモニタースピーカーほど低い音まで再生することができ、音像も大きくなります。
クラブミュージックやヒップホップ, ベースミュージックなど、低音が大事な音楽を制作するなら最も低い周波数を再生できる「Focal Shape 65」をおすすめしますが、基本的にモニタースピーカーは部屋の広さに合わせて選びましょう。
具体的にどの大きさを選べばよいかは、後述します。
「Focal Shaple」は良いモニタースピーカーに必要な3つの条件を満たしている
モニタースピーカーは、音楽鑑賞のためのスピーカーではありません。
もちろんある程度は気持ちよく音楽を聴くことができますが、いい音楽を作るためのスピーカーと、いい音で音楽鑑賞するためのスピーカーは基本別だと思った方が良いでしょう。
僕がモニタースピーカーに求めることは、全部で3つあります。
- 周波数特性がフラットで、クセがないこと
- 再生可能周波数が広いこと
- 小音量でもフラットな特性のまま再生されること
1つづつ、見ていきましょう。
1. 周波数特性がフラットで、クセがないこと
音楽鑑賞のためのスピーカーの音は、色付けされていることがあります。
音楽を聴く場合は必ずしも原音に忠実な音が良いというわけではなく、高域のきらびやかさを強調したり低音を強調して迫力を出したりする方が、聴いていて楽しい音になることが多いわけですね。
聴いていて楽しい音というのはただ音楽鑑賞する分には良いですが、音楽制作の場合だと原音が忠実に再生されることが非常に重要なので、その点ではマイナスポイントになってしまいます。
クセのあるスピーカーで制作してミキシングすると、そのスピーカーで聴く分にはいい音ですが、別のスピーカーで聴いた時に「あれっ?」と感じる場面が多々出できます。
僕も以前はこの問題で悩んでいましたが、Focal Shapeに変えたことで自宅とスタジオ環境での聞こえ方のギャップが減り、どの環境でも思い通りの音で鳴ってくれる音楽が作れるようになりました。
リスナーはiPhoneや車のスピーカー, パソコン, ヘッドフォンなどいろんな媒体で音楽を聴くので、どこで再生してもいい音で聴こえるということが大切です。
2. 再生可能周波数が広いこと
再生可能周波数が狭いと、特に低域の処理に頭を悩まされることになります。
小さなスピーカーで聴こえないような低域も実際は曲の中に存在していて、それが原因で曲全体の音圧が出なかったりミックス全体がぼやけてしまうことがあるんですよね。
Focal Shapeシリーズは最大40Hzの超低域が再生でき、かつ35kHzという超高域にまで対応した非常にバランスのとれたスピーカーです。
低域の再生可能周波数は製品の大きさによるのですが、低域の再生可能周波数は製品の大きさによるのですが、「Focal Shape 65」の40Hzというのは同価格帯の他のスピーカーではなかなか再生できないので、超低域まできちんと再生したいという方にはかなりおすすめです。
高域も「全製品35kHzまで再生可能」と十分過ぎるスペックです。(人間の可聴範囲はおよそ20kHzまでなので、そこまで出る必要があるのかという意見もありますが…)
※部屋の大きさ的にFocal Shape 65は置けないという方は、スピーカーで聴こえない帯域はヘッドフォンで確認するという方法もあるので、必ずしも一番大きなサイズを選ぶ必要はありません。
3. 小音量でもフラットな特性のまま再生されること
日本の住宅環境だと、スピーカーの既定値まで音量を上げられないという場面が出てくるかもしれません。
一般的なスピーカーは規定音量まで上げないとそのスピーカーの性能を最大限発揮できないことが多いのですが、Focal Shapeシリーズなら小音量でも大音量でもある程度は同じような周波数特性で再生することができるので、あまり大きな音が出せない環境でも活躍してくれるでしょう。
大きさはどれを選ぶべき?「Focal Shape 40, 50, 65」それぞれの特徴とは
基本的には部屋の広さに合わせて、スピーカーの大きさを決めましょう。
Focalが勧めているスピーカーごとのリスニング距離と、推奨する部屋の広さは以下の通りです。
- Focal Shape 40 – リスニング距離:60cm, 5畳以下の部屋におすすめ
- Focal Shape 50 – リスニング距離:80cm, 6.5畳以下の部屋におすすめ
- Focal Shape 65 – リスニング距離:1m, 6.5畳より大きな部屋におすすめ
スピーカーは大きさに合った適正音量があり、ある程度音量を出さないと正確なリスニングが難しいです。
Focal Shapeがいくら小さな音量でもある程度フラットな音を出してくれるとはいえ、スピーカーが大きければその分大きな音を出した方が、より正確な音でリスニングできます。
なので、購入前には自宅でどのくらい音が出せるのかということも必ず考慮して、モニタースピーカーを選ぶようにしてください。
クラブミュージックを制作する方なら、ぜひとも一番大きな6.5インチウーファーを持つ「Focal Shape 65」を検討してみましょう。
「Focal Shape」と大定番スタジオモニター「Genelec」を比較してみた
Focal Shapeを購入する以前は、「Genelec 8030」というモニタースピーカーを使っていました。
Genelecはクラブミュージックを制作するアーティストに愛用者が多いスピーカーですが、実際使ってみて愛用者が多いのもうなずける鳴りの良さでした。
リバーブなどの細かい成分までよく見えるし、低域の鳴りもクラブ寄りで力強いです。
ではなぜFocal Shapeに乗り換えたのかと言うと、低域の鳴りがあまり好みではなかったから。
人によってはこのクラブっぽい鳴りが好きな方もいるでしょうが、もっとタイトな低音が好みだったので、僕はFocal Shapeに乗り換えました。
Focal Shapeを店頭で試聴して気づいたのは、Genelecの低音が気に入らないというよりはバスレフ構造のスピーカーが好きではなかったということ。
バスレフとは、スピーカー内部で発生した音をスピーカー側面に空いた穴から出すことで低域を増幅させる仕組みのことですが、Genelecのスピーカーはこの穴が後方についているため、少しもたついた低音になってしまうんですよね。
Focal Shapeシリーズはバスレフの代わりに「パッシブラジエーター」を採用しているので、これがタイトな低域を実現してくれます。
「Focal Shape 65」をモニタースピーカーの定番「Genelec」と比較してみた | まとめ
スピーカーは良いものが市場にたくさん出回っていて、上を見ればキリがありませんが、10万円台で買えるモニタースピーカーとして「Focal Shape」シリーズはコスパもよく非常に優秀なスピーカーです。
そろそろスピーカーの買い替えを考えているという方は、ぜひ検討してみて下さい。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。