今日は「UADプラグイン」についてご紹介しましょう。
UADは有名アーティストの愛用者も多く、グラミー賞受賞エンジニアも使っているくらい高品質でプロ仕様のプラグインエフェクトとして有名です。
なぜこれほどUADが愛されているのか、どんなメリットがありどんな人に向いているのかなど、普段からUADプラグインを愛用している僕なりにいろいろと探っていきたいと思います。
UADって何?どんなことができるの?
UADプラグイン = DSPベースで動作する、アナログ機材の定番やプロが好む名機を再現したプラグイン
「DSP」とは、UADプラグインを動作させるための内蔵プロセッサーです。
UADプラグインはすべてDSPベースで動作するため、基本的にはどれだけ使用してもパソコンのCPUに影響しません。
なので、CPUが低いパソコンで大量のUADプラグインを使っても、それによってパソコンの動きが遅くなったりフリーズしたりしないというところは、DSPの大きなメリットですね。
ただしUADプラグインを使うには、DSPが内蔵された機材を購入する必要があります。
例えば、このようなDSPが内蔵されたオーディオインターフェースがあれば、UADプラグインを使うことができます。
なのでUADは決して初心者向けの機材ではありませんが、最初に言ったように多くの有名アーティストやエンジニアが使用しているので、本気で音楽制作に取り組みたいという人にとっては、かなり信頼できるパートナーになるでしょう。
ここで、DSPについて簡単にまとめてみます。
- UADプラグインはDSPパワーのみを消費する(CPUを消費しない)
- DSP容量は機材によって異なる
- DSP容量以上のプラグインを使用することはできない
- DSP容量は増やせる
1のパソコンのCPUに影響を与えないというのは、先ほどお話したとおりです。
2はDSP専用の機材からオーディオインターフェイス一体型までいろんなものがあり、その中でもDSPの容量ごとに値段が違ってくるというもの。
Universal Audioがリリースしているオーディオインターフェースなら、すべてUADプラグインが使えるようになっていますが、その他のオーディオインターフェースを使っている人も「UADを使うためのDSPのみを搭載した機材」が販売されているので、そちらを使ってUADプラグインを使うことができます。
3は結構重要で、プラグインごとに使用するDSP容量は全く異なります。
DSP容量を超えない限りいくつでもプラグインを挿すことができますが、中にはとんでもなくDSPを消費してしまうプラグインもあり、DSP容量の少ないものを買ってしまうとプラグインを一つ挿して終わりということもあり得ます。
あとから機材を追加購入することでDSPは増やせますが、初めからDSP容量が大きめのものを買っておいたほうがお得でしょう。
【2022年】UAD Sparkの登場により、一部、DSPの購入が必要なくなった
と、ここまで「UADを使用するにはDSPが必要」だとお話しましたが、2022年に「UAD Spark」というサブスク型のサービスが登場し、これに含まれるプラグインはDSP(ハードウェア)を追加購入せず使えるようになりました。
UAD Sparkで使えるプラグインは以下の通りです。
- 1176 Classic Limiter Collection
- API 2500 Bus Compressor
- API Vision Channel Strip
- Brigade Chorus Pedal
- Century Tube Channel Strip
- Galaxy Tapte Echo
- Hitsville EQ Collection
- Hitsville Reverb Chambers
- Teletronix® LA-2A Leveler Collection
- Lexicon 224 Digital Reverb
- Moog Minimoog
- Opal Morphing Synth
- PolyMAX Synth
- Pultec EQ Collection
- Pure Plate Reverb
- Ravel Grand Piano
- Studer A800 Tape Recorder
- Studio D Chorus
- Waterfall Rotary Speaker
- Waterfall B3 Organ
これらはCPUベースで動くので、パソコンさえあれば動作し、従来のDSPベースのプラグインと変わりはないとのこと。
実際に使ってみましたが、今はパソコンの性能が上がってきていて、専用DSPがなくてもサクサク快適に使うことができるので、もはやこの時代にDSPで動作するプラグインは古くなってきているんじゃないかなと感じました。
早いとこ、全てのプラグインがCPUベースで動くようになって欲しいですね。
UAD製品は、Plugin Boutiqueでも取り扱いが始まり、UADプラグインを購入し、ハードウェアなしで使用できるようになりました。
UAD Sparkの登場から数ヶ月ほど様子を見ていますが、今のところ、すべてのUADプラグインを一気にCPUベースに切り替える様子はなさそうです。すべてのUADプラグインを使いたいなら、DSPを買うことも検討してみましょう。
UADプラグインはビンテージのアナログ機材を再現する
UADはオリジナルのハードウェアを忠実に再現していて、その再現度や音質の良さなどから多くのアーティストが愛用しています。
ビンテージ機材やスタジオの定番機材を再現しているプラグインというのはたくさん出回っていますが、UADはその中でも最高峰だと感じていますし実際そのような評価も多いですね。
そのクオリティの高さゆえ、一つ一つのプラグインの値段が高かったりDSPを購入しないといけないといったデメリットもあるのですが…
でもいい音にするためには、やっぱり投資が必要だと思うんですよね。
音を良くするプラグインというのは最近増えてきていますが、やっぱりプロの曲はスタジオのアナログ機材を使って作られていることが多いです。
いい音というのは、そういったスタジオにある名機ありきだということを「watanabemitsutoshi.com」さんが書かれていますが、とても共感できる記事だったのでここにリンクを貼っておきます。
・ほとんどの人が宅録環境でプロ並みの音源にできない理由とUAD-2
僕も最近はシンセ一つ買うときでも、クローンではなく本物のアナログ機材を買うようにしていますが、やっぱり本物は音が違います。
ただ、スタジオに入っている名機を個人で買い集めようとすると家が買えてしまうので、ソフトウェアの中でも出来る限りリアルに再現されている「UAD」を使うというのは理にかなっていると思いますね。
おすすめのUADプラグイン5選
ここで、おすすめのUADプラグインを5つご紹介します。
素晴らしいプラグインはもっとたくさんあるのですが、ここでは紹介しきれないのでまた別の機会にということで。
それではみていきましょう。
Neve 1073 – マイクプリ
・NEVE® 1073 PREAMP & EQ COLLECTION
Neve 1073は、UADの中でも一番人気のプラグインではないでしょうか。
ボーカルなどに通すことで、リッチなサウンドに仕上げることができる魔法のプラグインです。
DSPの消費量が半端じゃないのが少し扱いづらい部分ではありますが、プリアンプを上げていったときの気持ちの良い倍音と低音のリッチな感じがたまりません。
EMT140/250 – プレートリバーブ
・EMT® 140 CLASSIC PLATE REVERBERATOR
・EMT® 250 CLASSIC ELECTRONIC REVERB
EMT140/250といったプレートリバーブを再現したものですが、一台数百キロの重さがあるのでいくら本物が欲しいと言ったところで現実的ではありませんよね。
「Soundtoys」からもEMT140のプラグインが出ていますが、個人的にはUADの方が音が好みで細かい設定が出来るので重宝しています。
参考: Soundtoys 「Little Plate」の特徴と使い方を解説!! UADプラグイン「EMT140」との違いは?
EMT250は、非常に密度の濃い残響音が得られることで有名です。
LA-2A – コンプレッサー/リミッター
・TELETRONIX® LA-2A CLASSIC LEVELER COLLECTION
LA-2Aは、スタジオの大定番コンプレッサーですね。
アタックが遅いので基本的にはボーカルなどに適していますが、UADでは3種類の異なる特性を持ったLA-2Aコンプを使用できるので、僕はドラムなどにも使用しています。
パッツンパッツンのロックサウンドがあまり好きではないので、LA-2Aの自然なかかり具合がちょうどいいんですよね。
ドラムに使うなら、グレーのLA-2Aがおすすめです。
ATR-102 – テープサチュレーション
・AMPEX® ATR-102 MASTERING TAPE RECORDER
テープの中古は金額も高く扱いづらそうなので、本物を購入するのは難しいでしょう。
テープによって得られる独特の雰囲気とサチュレーションによって、曲に適度なアナログ感を与えてくれます。
プラグインでも十分そのテープの恩恵を受けることができるので、UADの中でもかなり金額は高めですが個人的にイチオシのプラグインです。
Galaxy Tape Echo – テープエコー
「RE-201 SPACE ECHO」という、本当にファンの多いエコーをモデリングしたプラグインです。
これに関しては実機を購入することもできますが、テープの処理などが大変そうなのでプラグインで済ませています。
UADプラグインを使用している有名アーティストは?
UADを使っているアーティストを上げればキリがありませんが、サッと調べるだけでもこれくらい出てきます。
- Daft Punk
- Beyonce
- Calvin Harris
- Ed Sheeran
- Diplo
- Deadmau5
- Olafur Arnalds
- Eric Prydz
- Recondite
- Hot Since 82
- Christian Loffler
UADが、いかに多くの有名なアーティストに愛用されているのかが分かりますね。
こちらのDaft Punkのエンジニアによるインタビュー記事も、UADプラグインの素晴らしさがよく伝わってきますよ。
・Universal Audio : Mick Guzauski が語る、Daft Punk “Random Access Memories” におけるミックス秘話
買うならいつ?UADプラグインのセールについて
UADは不定期にセールをしていますが、ブラックフライデーや年末の時期は最大60%の割引率になるプラグインもあるので、買うなら11月〜12月のタイミングがおすすめです。
定価で買うと財布にかなりのダメージを与えてしまうため、よっぽど今すぐ必要だという状況でなければセールの時期を狙いましょう。
UADは、DSP内蔵の機材や「Apollo Twin」などのインターフェースを購入すると全てのプラグインが2週間試せるようになるので、セール期間以外でじっくり使い込んで欲しいものを絞っておくことが大切です。
UAD専用のDAW「LUNA」について
LUNAの登場によって、UADデバイスを持っている人は、DAWすら買う必要がなくなりました。
2020年4月に解禁された「LUNA」は、UAD対応のオーディオインターフェースと連携する高品質のDAWです。
これはUADを使っているMacユーザーなら誰でも無料で利用することができる上に、他のDAWにはないユニークな機能を搭載した、まさにUniversal Audioらしいソフトに仕上がっています。
・LUNA Recording System – Universal Audio
UADって何? – 5年以上UADを愛用する僕がおすすめプラグインと共に解説していく | まとめ
いかがでしたでしょう。
UADは、自分の曲をさらに高みに持っていきたい中級者〜上級者におすすめのプラグインです。
はじめは少し手を出しづらいかもしれませんが、フリープラグインや性能が分からないようなものを大量に買って消耗するくらいなら、UADで揃える方が間違いないと思います。
これからDTMに本腰を入れていきたい方は、ぜひこのUADの感動を体験してみてください。