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【レビュー】初心者こそXfer「Serum」を使うべき3つの理由

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今回はXfer Records社のソフトシンセ「Serum」を紹介します。

発売からたった数年経った今、DTMの定番シンセとしての地位を確立しつつあるので、知っている人も多いことでしょう。

音がいいのでプロにも愛用者が多いのですが、僕はこのシンセをあえて「DTMを始めたばかりの超初心者」におすすめしたいです。

全くの初心者なら「Synth1」や「フリーなのに上質なVSTソフトシンセサイザー5選」で紹介しているような、無料のものから始めたほうがいいんじゃないの?とツッコミを受けてしまいそうですが・・・

もちろん音楽制作に興味を持ったばかりの頃は、無料のプラグインを使ってノーリスクで始めるのが良いと思います。

ただ、無料のものを使っていく中で、「もうちょっとレベルアップしたいな」とか「本格的にDTMはじめてみたいな」となった時、ぜひ検討してみてほしいのがこの「Serum」なんです

なぜ僕が、こんなにSerumを勧めるのか?

その理由をお話していきます。

初心者こそXfer「Serum」を使うべき3つの理由

① Xfer Serumはシンセの新しい定番

Serumがリリースされるまでにも、ソフトシンセの定番はいくつか存在していました。

「Massive」「Sylenth1」「Nexus2」「SynthMaster」「Spire」・・・

これらは今でも人気のあるプラグインですが、ここにSerumが加わったことで「Serum一台あれば他のシンセ必要なくね?」という風に考え始める人が出てきます。

これは直感的なサウンドデザインができて音作りの幅も広い、その上音質も素晴らしいということが大きな理由だと思いますが、「プロだけではなく初心者にとってもかなり扱いやすい」ということも、ソフトシンセの新定番になったもう一つの理由だと感じます。

② 初心者でも音作りしやすい画期的なデザイン

初心者でもなぜ扱いやすいのかというと、「リアルタイムで波形が動く様子が見えるので、ひとつひとつのパラメーターの効果を理解しやすい」というのが一番の理由です。

この動画を観てみるとわかりますが、音に合わせて波形やフィルターがリアルタイムで動いていることが分かります。

Serum以外で、これほど分かりやすくリアルタイムに波形が動くシンセは見たことがありません。

(ちなみに動画内で多用しているシーケンサーは、同じくXferからリリースされている「Cthulhu」です)

参考: 指一本でコード生成できるXferRecordsの『Cthulhu』はアルペジエーターとしても超優秀 – スタジオ翁

おそらく今までのソフトシンセだと処理速度の関係で、リアルタイムにパラメーターの変化を波形に反映させるということができなかったんじゃないかな〜と思います。

最近のパソコンは処理速度も上がってきていますし、Serum自体もたくさんの処理をしているようでCPU負荷自体もそこまで高くないというのも画期的ですよね。

僕はぶっちゃけSerumを使うまでは、「フィルターをエンベロープでコントロールする」「LFOをオシレーターに適用する」というような細かいシンセサイザーでの音作りを理解しきれていなかったのですが、このシンセを使うことで、シンセの仕組みがばっちりイメージとして理解できるようになりました

③ 使えるプリセットが豊富

「Lead」「Bass」「Pad」「Pluck」などの基本的なプリセットが入っているのはもちろん、いろんなジャンルのプリセットが販売されているのも大きな魅力ですね。

詳しくは下の別記事でまとめていますが、エレクトロ系はもちろんアンビエントやレトロサウンド, メロディックテクノなんかで使えるのも素敵です。

プリセットを研究することで、音作りの勉強にもなりますからね。

参考: 【厳選】Xfer Records「Serum」の有料プリセットをジャンル別に紹介してみる – スタジオ翁

Xfer Serumにデメリットはあるの?

Serumは基本的にエレクトロ系の音楽に適したソフトシンセなので、アナログっぽい柔らかいサウンドは苦手です。

Serumはいい意味でも悪い意味でも角が立った目立つサウンドなので、どうしてもデジタルっぽいハキハキした音になってしまいます。

もしそういった音が好みではない、もしくはエレクトロにも使えるしアナログっぽい音も出せる万能シンセが欲しいという人は、別のものを選んだほうがいいかと思います

開発者の「Steve Duda」も、「Deadmau5」や「Skrillex」といったエレクトロ・ダブステップ方面のプロデューサーとかなり親しいようなので、音の傾向としてそちら方面のクリアでパキッとした音になるのは当然なんでしょう。

参考: 【インタビュー】ソフトシンセSERUM開発者Steve Duda来日直撃、デッドマウスとの意外な関係 – BARKS

もしアナログに特化したサウンドが欲しいなら、ソフトシンセだとu-heというブランドの「Diva」が一番のおすすめですが、他にもこちらの記事でいくつかおすすめのシンセを紹介しているので、興味がある方はどうぞ。

初心者こそXfer「Serum」を使うべき3つの理由 | まとめ

音がいいのは当たり前!とタイトルにもありますが、最近のソフトシンセで音が悪いものなんて滅多に見かけません。

どれも技術の進歩によって素晴らしいクオリティになっていますが、操作性や扱いやすさはソフトによって全然違うんですよね・・・

ジャンルによる向き・不向きもありますが、もしあなたの作りたい音楽にSerumの音色が合うようなら、このシンセは抜群の使いやすさと音質の良さを兼ね備えているので、ぜひ使ってみてください。

ちなみに、Serumは「Splice」のサブスクでも利用することができます。

気になる方は、こちらからどうぞ。

Serum – Xfer Records

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?