今日は「Decimort 2」という、D16 Groupからリリースされているビットクラッシャープラグインを紹介します。
Decimort 2は高品質なビットクラッシャーであり、歴代の名サンプラー「ASR-10」などのクラシックサウンドを再現するためのツール。
Lo-Fiヒップホップを制作している人や、キレイすぎるソフトシンセの音色に「荒々しさ」や「ビンテージの質感」を加えたいという人はぜひチェックしてみてください。
それではさっそく、詳しい内容について見ていきましょう。
D16 Group「Decimort 2」の特徴
Decimort 2はただのビットクラッシャーではなく、以下の2つの点で他のプラグインと大きく異なっています。
- 音響的な響きを追求している
- ダウンサンプリング時に生じる「ひずみ」などを細かくコントロールできる
実存するサンプラーやAD/DAコンバーターをもとに作られているので、DAW付属のビットクラッシャーに比べてリアルな響きを追求することができます。
パラメーターを使って、「ジッター」や「アンチエイリアスフィルター」などの数値を細かく調整できる一方、プリセットもかなり豊富なので、難しいことは気にせず気に入った音色をサクッと選んで使用することもできます。
なので「難しいことはよくわからないよ…」という人でも、安心して使うことができるでしょう。
D16 Group「Decimort 2」の使い方
ここでは、Decimort 2の使い方を簡単に紹介します。
「PREAMP」や「DRY/WET」などの細かい機能をのぞくと、全部で3つのセクションに分けることができます。
- QUANTIZER
- RESAMPLER
- FILTER
それぞれ、順に見ていきましょう。
QUANTIZER
QUANTIZER(クオンタイザー)セクションでは、サウンドのビット数を決定します。
まずは「RESOLUTION」を上下にドラッグして、ビット数を調整してみましょう。
「DITHERING」は、ビット数が下がる時に発生するノイズを防ぐためのもので、MAXにするとディザリングによって発生する機械的なノイズを、音楽的なノイズでマスクすることができます。
RESAMPLER
「RESAMPLER」セクションは、Decimort 2のメイン部分です。
真ん中の「FREQUENCY」ノブを下げて、リサンプリング周波数を決定しましょう。
最大値でCD音質の44.1kHzですが、ここからノブを下げていくと、ビットクラッシャー特有の劣化と金属的なノイズが加わるのがわかるでしょう。
「JITTER」は、リサンプリング時に起こる「ばらつき」を調整します。
両サイドにある2つのフィルターは、リサンプリング時のエイリアスノイズ(折り返し雑音)を防ぐためのもの。
ここらへんはホームページに詳しい内容が載っているので、興味のある人は覗いてみると良いでしょう。
FILTER
最後に、シンプルなフィルター機能がついています。
ローパス・ハイパス・バンドパスなどから選ぶことができ、「Pre」「Post」を使って、リサンプリングの前にフィルターをかけるのか、後にかけるのかを選択することもできます。
D16 Group「Decimort 2」を使っているアーティスト
Decimort 2は、先日YouTubeで紹介したDisclosureのスタジオ動画にも登場しています。
彼はベースにDecimort 2をかけることで、音に存在感を出していますね。
他にも「Herobust」「Alan Walker」「San Holo」「Mat Zo」など、いろんなアーティストがこのプラグインを愛用しています。
D16 Group「Decimort 2」を解説 | まとめ
Decimort 2をお気に入りアナログシンセ「MS-20」に挿してみたのですが、わざとらしくないビンテージ感が加わってかなりいい感じでした。
最近ビンテージ感やテープの質感を出すためのプラグインをかなり多く見かけますが、その中でもDecimort 2はとても自然で心地よいビンテージ感を出してくれますね。
正直、Decimort 2はややこしいパラメーターが多く初心者には使いづらいので、プリセットの中から好みのビンテージエミュレーションを選ぶという使い方がおすすめです。
そしてD16 Groupというメーカーはあまり目立ちませんが、Decimort 2以外にも優れたエフェクトやシンセをたくさんリリースしているので、他のプラグインもぜひチェックみてください。