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ミキシングに行き詰まった時の3つの対処法

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ミキシングに行き詰まった時の3つの対処法

今日は、僕がミキシング段階でいつも行っている3つのテクニックをお伝えします。

  • ミキシングが思い通りにできない
  • 家以外の場所で聴くと、自分がイメージしていたように再生されない
  • 次の日にあらためて聴くとバランスがめちゃくちゃ

こんなふうに悩んでいる人は、もしかすると今回の記事が参考になるかもしれません。

誰もが本格的なスタジオを持っているわけではないので、ベッドルームプロデューサーはいろんな工夫をしてプロの楽曲に近づけていく必要があると思います。

すぐに試せる方法ばかりなので、気になったものから取り入れてみてください。

ミキシングに行き詰まった時の3つの対処法

さっそく、順にみていきましょう。

1. アイデアを外に持ち出す

まずはミックスをバウンスして、いったん外に持ち出してみる方法。

これは僕も毎回行っていますが、外で歩きながら聴くと、1つ1つの音に集中できるんですよね。

人って視覚の情報に影響を受けやすいので、家でパソコンとにらめっこしながらミックスを聴いているよりも、次々と景色が変わる環境で聴いた方が、アイデアが湧いたりミックスのアラに気づきやすかったりするものです。

あと、外って雑音がけっこうありますが、それが意外と良くて、「雑音の中でも1つ1つの音がしっかり聴こえるか」というところを指標にしていたりもします。

ちなみに、外ではいつもApple「Airpods」を使ってミックス具合をチェックしています。

家のスピーカーやヘッドフォンの方が確実に音は良いのですが、今ほとんどの人はBluetoothイヤホンで音楽を聴きますからね。

Bluetoothイヤホンに合わせたミックスは大切だと思います。

2. マッチEQを使ってプロの曲と比較する

iZotope「Ozone」Fabfilter「Pro-Q」などのプラグインには、「マッチEQ」という機能があります。

これはある曲の周波数バランスを、自分の曲に取り入れることができる便利な機能なのですが・・・

この機能を使えば、

  • 自分の理想とするミックスと比べてどこが違うのか?
  • 自分のミックスにはどの周波数が足りていて、どの周波数が足りないのか?

といったことがわかります。

ただ、マッチEQで解析した周波数バランスをそのまま使う必要はありません

解析した結果を見て、

「この周波数に音が足りてないな」

「この周波数はいろんな楽器が密集しすぎているな」

というヒントを得るためだけに使っても良いのです。

これを普段から行なっていれば、自分の「ミックスのクセ」がわかってくるので、今後のミキシング技術の向上にもつながります!

3. ステムミキシングを試してみる

ステムミキシングというのは、例えばキック, スネア, ハイハットなどの楽器を「ドラムステム」として1つにまとめたり、いくつかのシンセパートを「シンセステム」としてまとめることによって、ミキシングをより簡単に行うための方法です。

まずはドラムパートだけをソロで聴き、ドラムステム内でミックスバランスをとってしまう、シンセも同じようにシンセステム内だけでバランスをとってしまう。

そこから、最後にステム同士のバランスを整えれば、一度にいろんな楽器にフォーカスしなくて良いので、かなりミキシングがやりやすくなるんですよね。

他にもステムミキシングが便利な点は、「ボーカルを目立たせたいけど、シンセがごちゃごちゃしててマスキングされてるな」という場面なら、シンセステムにEQを入れてボーカル帯域を少しカットすれば簡単にボーカルを目立たせることができたり・・・

「いくつかのシンセが主張し合ってまとまりがないな」と感じた時は、シンセステムにコンプレッサーを入れて整えたりと、ミキシングプロセスがより簡単に効果的に行えるようになるところです。

「どの楽器をまとめてステムにするか」に決まったルールはないので、いろいろ試行錯誤してやりやすい方法を見つけてみてください。

むかし見た記事で、「キック以外のパートを1つのステムにまとめて、キックを目立たせる処理をする」というやり方をしているEDMプロデューサーのインタビューがありましたが、このように「目立たせたいパートとそれ以外のパート」というふうにステム分けをするのも良いかもしれませんね。

あとステムミキシングの応用編ですが、

ステムごとに一度オーディオファイルとして書き出し、普段あまり使わないDAWで再ミキシングしてみる。

というのもおすすめの方法です。

いままでの曲作りの延長線上でミキシングを行なってしまうと、たくさんの「プラグイン」「オートメーション」「MIDIクリップ」などの情報が画面上にあることで、どうしても音にフォーカスづらくなるんですよね。

そんな時はオーディオファイルとしてすべて書き出して、新規プロジェクトを立ち上げ、まっさらな状態からミキシングをし直すというのがおすすめです。

あと、ここで普段あまり使わないDAWを使うと、気持ちがフレッシュな状態でミキシングに挑めるので、経験上納得のいく結果が出やすいですね。

まとめ

上には書きませんでしたが、ミックスを「モノラルで聴いてみる」というのも効果的なやり方です。

モノラルでミックスすると、左右の広がりはわかりにくくなりますが、より簡単にミックスバランスを整えることができます。

モノラルでバランスがとれていれば、ステレオで聴いた時も良いバランスになることがほとんどです。

iPhoneにはイヤホンの音をモノラルにする機能もあるので、外出先でモノラルにして自分のミックスを聴いてみるのも良いかもしれませんね。

参考: ミックスの質が上がる!DAWのマスターに必ず入れるべきたった1つのプラグイン – スタジオ翁

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?