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ベースにステレオ感を与える5つの方法

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今回は、ベースギターやベースシンセにステレオ感を与える方法を紹介します。

ベースは必ずしもモノラルである必要はなく、多少のステレオ感があった方が楽曲とのなじみが良くなったり、サウンドに空間や立体感が生まれやすくなります。

ただ、ミックスの低域部分はモノラルにするのが基本なので、プラグインなどで単純にベースのステレオ感を広げてしまうと、再生環境によってはうまく鳴らなかったり位相の問題などが出てきやすいのも事実・・・

この記事ではベースにステレオ感を与える方法だけでなく、ベースをうまく処理するためのちょっとしたコツなども紹介していきます。

ベースのステレオ処理はセンド&リターンが基本

まずは、ベース処理の基本をおさえておきましょう。

ベースのステレオ処理の基本は、センド&リターン。

「センドリターンを使う」のは、ステレオエフェクト専用のAux(リターン)トラックを作り、100Hzあたりから下の周波数をEQでばっさりカットすることで、ベースの低域をモノラルに保ったままステレオ感を出すためです。

リターントラックにステレオエフェクトとEQを立ち上げて低域のモノラル感を保つ

シンセベースの中には、デフォルトでコーラスなどのエフェクトがベース全体にかかっていることがありますが、やはりセンドリターンを使って処理した方が、最終的にクリーンなミックスに仕上がることが多い気がしますね。

これによって、クラブやBluetoothスピーカーなどで再生した時に、低域のパワーを失わずに再生することができます。

これから紹介するステレオ感を与える方法も、基本的にはこのやり方を使って処理を行っていきます!

ベースにステレオ感を与える5つの方法

さて、ここからベースにステレオ感を与えるための5つの方法を紹介します。

どれもDAW内蔵のプラグインを使ってすぐに試せるテクニックばかりなので、ぜひ普段の制作に活用してみてください。

1. コーラスを使う

まずは、ボーカルなどの音像を広げるために使われる「コーラス」を使うテクニック。

コーラスとは、原音を複製したものにモジュレーションをかけることで厚みやステレオ感を出すためのエフェクトですが、これをベースに応用することで自然なステレオ感を出すことができます。

Disclosureの作曲テクニック解説

動画のように、イギリスのハウスデュオ「Disclosure」も、このテクニックを使ってベースにステレオ感を与えていますね。(11:11)

2. ハースエフェクトを使う

ハースエフェクトとは、左右の音をディレイによって微妙にずらして再生することで、ステレオ感を出すための方法。

ハース効果については、以前の記事でも紹介しています。

この記事でも紹介していますが、Soundtoys「Microshift」というプラグインを使えば、ビンテージ機材の質感も与えつつ、ハース効果によるステレオエフェクトをかけることができるのでかなりオススメですよ。

参考: MicroShift – Soundtoys

さらにこのプラグインのすごいところは、「Focus」ノブによって低域へのエフェクトのかかり具合を調整することができるので、より自分の求めるサウンドが作りやすいという点です。

「AMS」や「H3000」といった、名機の音を再現しているのも大きなポイントですね。

3. リバーブを使う

ベースにリバーブを使うと効果的な場合もあります。

特にベースギターなら、けっこう上の音域まで出ているので、リバーブをかけると立体感がわかりやすく出るでしょう。

逆に、テクノのような低域にフォーカスしたシンセベースだと、リバーブをかけても効果が出にくいことがあります。

音源次第なので、いろいろ実験してみてください。

4. ステレオイメージャーを使う

音像を自然なカタチで左右に広げてくれるステレオイメージャーは、市場に数多くリリースされています。

中でも、AIマスタリングツールで有名なiZotope社がリリースしている「Ozone Imager」は、高品質なのに無料で使えるので持っていて損はないプラグインです。

参考: Ozone Imager – iZotope

ただ、もともとのベースが完全にモノラルの場合は、このようなステレオツールを使ってもあまり効果がないので、最初に紹介した「コーラス」や「ハースエフェクト」などを使うほうが良いでしょう。

5. MS処理をする

最後は、どのDAWにも必ずついている「EQ」を使った方法です。

これも先ほどのステレオプラグインと同じように、モノラルのベースにはあまり効果がありませんが、もともと少しステレオ感のあるベースの音像をさらに広げるのには、かなり役立ちます。

DAW付属のEQについている「MID/SIDE EQ」を活用する

具体的には、ベースに直接挿したEQの「SIDE」を調整することで、ステレオ帯域を強調するというやり方なんですが・・・

この「SIDE」とは、音のステレオ部分だけが取り出されたもので、SIDEの低域をカットすれば低域だけをモノラルにできますし、SIDEの中高域をブーストすれば低域のステレオ感はそのままに、全体のステレオ感を高めることができるのです。

より深くMS処理を知りたいという人は、こちらの記事もチェックしてみてください。

参考: MS処理を使って「空間」をコントロールする方法 – スタジオ翁

ベースにステレオ感を与える5つの方法 | まとめ

以上、5つの方法を紹介しましたが、これらの方法はベースが「モノラル」なのか「ステレオ」によって、以下のように使い分けましょう。

  • モノラルベースをステレオ化する → 「コーラス」「ハースエフェクト」
  • ステレオベースの音像をさらに広げる → 「リバーブ」「ステレオツール」「MS処理」

僕はベースをモノラルで録音する機会が多いので、よくコーラスを使って音像を広げています。

「なんかベースだけ浮いてるな…」と感じた時に、コーラスでちょこっとステレオ感を与えるだけで、ミックスに馴染むことが多々あるんですよね。

今日は5つの方法を紹介しましたが、曲との相性やベースの種類によっても結果が変わってきます。

いろいろ試してみて、自分にしっくりくるものを見つけてみてください。

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?