最近まで数ヶ月にわたって映画の整音作業をしていたのですが、その中で活躍してくれたのがこちらのSoothe2です。
一時期、話題になったので知っている人も多いかと思いますが、Soothe2は「ダイナミック・レゾナンス・サプレッサー」といって、問題のあるレゾナンス周波数を特定し、自動でカットしてくれるプラグインです。
今回の整音作業では、AIによる自動EQプラグイン「Gullfoss」とともに大活躍してくれました。
やはり時代はAIプラグインですね。圧倒的に作業が速い!
とても洗練されたUI、かつシンプルな使い心地なので、マニュアルを読まずともサクッと使えてしまうのも魅力的なところです。
今日は、そんなSoothe2の概要、使い心地、魅力、どのような場面で使えるのか?といった部分をお伝えしていきます。
Soothe 2の概要
Soothe2の使い方はとても簡単で、EQのようなバンドを使って取り除きたいレゾナンス周波数を指定します。
通常のEQだと、特定の周波数をブーストすると音量が上がりますが、Soothe2では特定の帯域をブーストすることによって、より多くのレゾナンスを取り除くことができます。
ちなみに「レゾナンス」というのは、部屋の共鳴や楽器の特性などにより、不必要に特定の帯域がブーストされた状態のこと。これを取り除くことで、その音がもつ「本来の音色」をしっかり聴かせることができます。
Soothe2は、特にダイナミクスの大きいパートである「ボーカル」を制御するのにもってこいですが、他にもハイハットの耳障りな高音を取ったり、打楽器やベースのこもった中低域を取り除いてクリアにしたりと、さまざまな場面で使うことができます。
ボーカルの高域にピンポイントでかければ「ディエッサー」のような働きもしますし、シンセにかければEQを使わず自然に音を柔らかくこともできますよ。
ただディエッサーに関しては、僕はいつもFabfilter「Pro-DS」を使っています。
Soothe2のディエッサーでも良いのですが、やはりPro-DSは専用プラグインだけあって、どの歯擦音に反応しているのかがわかりやすく精度も良いので、快適に素早く作業を行うことができるというのが理由です。
Pro-DSを持っていない人は、Soothe2をディエッサーとして使うのも全然アリだと思いますね。
Soothe2もうまく設定すれば、確実に歯擦音を切ることができますので。
oeksoundのホームページには、シチュエーションごとのSoothe2の使い方がサンプル音源付きで紹介されています。
「Soothe2で何ができるのかイマイチわからない」「気になるけど、どんな時に使えるんだろう…」と気になった方は、まずこちらで「Soothe2がどんな場面で効果を発揮するのか」をこちらのページでチェックしておくと良いでしょう。
Soothe2はなぜ良いのか?
Soothe2の魅力は、何よりもダイナミック(動的)なプロセッシングが簡単にできる点にあります。
EQだと、例えば「耳障りな音が鳴ったタイミングだけ特定の周波数をカットする」ということが容易にできません。
もちろんダイナミックEQなら可能なのですが、これも一部の周波数に耳障りな音が固まっているならまだ良いですが、幅広い周波数にわたってレゾナンスが存在している場合、何箇所もダイナミックEQを使ってポイントを指定していく必要があり、とても面倒なんですよね・・・
ところがSoothe2なら、下の写真のような細かい周波数ポイントを自動で一気にカットしてくれるので、作業効率がグンと上がります。
ただし、必要なところまでカットされてしまうのを防ぐため、各パラメーターを使った若干の調整は必要になるでしょう。
なんとなく触っていればパラメーターは理解できるかと思いますが、僕もたまに参考にしているSageさんのこちらのYouTubeに詳しい使い方が紹介されているので、より深く理解したい人はこちらも観てみると良いかもしれません。
まとめ
最近はiZotopeの「RX」「Ozone」、Soundtheoryの「Gullfoss」、そしてこの「Soothe2」といったAIプラグインの登場で、格段にミックス作業が楽になっています。
もう、こういったプラグインなしでは生きていけないくらいにまでなりつつありますね。
今のところAIプラグインはミキシング・マスタリング系の製品しか試していないのですが、そろそろ音楽制作系のAIプラグインも攻めてみようかと思っています。
最近だと「Orb Producer」というプラグインを買って試しているのですが、基本となるコード進行を作るにはかなり良くて、ここから自分なりにアレンジしていくことで、より簡単に楽曲が作れそうな気がしています。
とにかく片っ端から試していって、良いものがあれば紹介していきますのでお楽しみに。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。