今日ご紹介するのは、Soundtoys の「Devil-Loc-Deluxe」です。
簡単にこのプラグインを説明すると、とにかく破壊的なコンプレッションをかけることのできるリミッターです
モデルとなっているのは「Shure Level-Loc」という1960年代に活躍したビンテージリミッターで、もともとはPAマイクの音量を揃えるためのリミッターだったといいます。
ある日どこかの狂ったエンジニアが、音を過剰に入力すると破壊的で独特な音の潰れ方をするということに気づき、音楽制作にも使いはじめました。
そしてSoundtoysはその音を再現するだけでなく、オリジナルにはない新たな機能を追加して、プラグインとして販売し始めるのです。
Soundtoys 「Devil-Loc-Deluxe」の特徴と使い方を解説!!
Devil-Loc-Deluxeはとてもシンプルなつくりになっており、5つのパラメーターで構成されています。
- CRUSH – インプットゲイン。ツッコむほどより強いコンプ感(ゲインリダクション)が得られる
- CRUNCH – アウトプットゲイン。ノブをを上げると音量だけでなく、より強いディストーションも得られる
- DARKNESS – ローパスフィルター
- MIX – 原音とエフェクト音のバランス
- RELEASE – リリースタイム。CRUSHで音をツッコむほどリリースタイムが長くなる
ドラムなどにかけてみると、音の変化がわかりやすいですね。
Devil-Loc-Deluxeは、CRUSHノブを回して音をツッコむとリリースタイムが長くなるという特徴を持っているので、過度にリミッティングをかけることでディストーションだけでなくリバーブがかかったような空間を作ることができます。
動画で、その効果を確認することができますよ。
1:22から、過度にリミッターをかけている様子を見ることができます。
これを観てわかるように効果が極端なため、かなり使いどころを選ぶプラグインであることがわかるでしょう。
ちなみにDevil-Loc-Deluxeのモデルになっている「Shure Level-Loc」は、FETというコンプレッサーの方式を採用していて、アタックタイムがかなり早いのが特徴です。
有名な機材だと「UREI 1176コンプレッサー」が、FET方式を採用していますね。
そしてDevil-Loc-Deluxeの大事な特徴が一つあって、このプラグイン挿すだけで低域が少し落ちます。
MIXノブを0にしていても、1.5kHzあたりからなだらかに減衰してしまうという特徴を持っているので、低音を扱うときは注意が必要です。
マニュアルはこちら。
Soundtoys「Devil-Loc」の特徴と使い方を解説。「Devil-Loc-Deluxe」との違いとは?
「CRUSH」と「CRUNCH」のみ付いた、Devil-Loc-Deluxeの簡易版ですね。
Deluxe版を使った方が音作りの幅が広がるので、あえてこのDevil-Locを使う必要はないでしょう。
Deluxe版にはMIXノブがついているので、パラレルコンプレッション的な使い方をすることができます。
パラレルコンプレッションとは原音に強くコンプレッションをかけたエフェクト音を少しだけ加えてミックスしてあげることで、原音のアタック感を残しつつ音圧を上げるというミキシングのテクニックです。
扱いが難しいDevil-Loc-Deluxeですが、パラレルコンプレッションをうまく使えばあらゆる楽器で原音の良さを残しつつ、迫力のある音を作ることができます。
Soundtoys 「Devil-Loc-Deluxe」の特徴と使い方を解説!! 1960年代生まれの名機を再現した破壊的なリミッタープラグイン | まとめ
今日は、簡単にSoundtoysの「Devil-Loc-Deluxe」をご紹介しました。
ミックス全体をまとめるリミッターとして使うのには向いていないですが、音をロックに激しく変化させたいということなら、このプラグインを使うことで手軽に破壊的なサウンドを得ることができます。
ミックスのアクセントとして、一部の楽器に使ってみるのもよいでしょう。
いろんな使い方を試してみて、自分だけの音を見つけてみてください。