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Soundtoys 「Phase Mistress」の特徴と使い方を解説!! そもそもフェイザーってどんなエフェクトなの?

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今日はSoundtoysのフェイザープラグイン、「Phase Mistress」をご紹介しましょう。

Phase Mistress – Soundtoys

フェイザーはギターやキーボードにかけるエフェクトとして、60年代〜70年代あたりから広く一般に知られるようになった機材です。

位相を変化させることによって、「ウワンウワン」とか「シュワシュワー」といったような音のうねりを作り出すことができます。

ちょっと言葉では伝わりづらいかもなので、動画でその効果をご確認ください。

こちらの動画では、BOSS「Phase Shifter PH-3」という機材でフェイザーをかけていますね。

Soundtoys「Phase Mistress」を使えば、ソフトならではの利便性で細かい部分までフェイズの設定をしたり、60個近くものビンテージ機材の挙動を再現することもできます。

プリセットも豊富なので、そんなに細かく設定するのはめんどくさい!という方は大量のプリセットの中から自分のお気に入りを見つけて使うこともできますよ。

それでは、Phase Mistressの詳細を見ていきましょう。

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そもそもフェイザーってどんなエフェクトなの?

フェイザーは位相によって音を変化させるエフェクトだと説明しましたが、Wikipediaでは以下のように解説されています。

フェイザー (Phaser)とは、リアルタイムの音と、位相を変えた音の2つの波の干渉を利用して音色の連続的な変化を人工的に作り出すエフェクター。 この原理から、かつては「フェイズシフター (フェイズ=位相をシフト=変えるもの)」とも呼ばれた。 効果の深さやサイクルは操作可能。

フェイザー (音響機器) – Wikipedia

そもそも位相って何?という方には、さっぱりわからない内容ですよね。

位相に関することはいろんな方が記事にされているので、ネットで調べてみましょう。

「ken1234」という方がnoteで説明されているこちらの記事は、ざっくりした位相の理解に役立ちますよ。

「位相」とは、何なのかを恐ろしいくらいザックリ話す記事 – note

位相は、全く知らないという方にとっては最初はイメージしづらい概念なので、なんとなくこんなもんなんだという理解ができればOKです。

実際にフェイザーを使う上で、どのパラメーターをいじればどんな風に音が変わるかということを理解できれば十分です。

スマホを使うのに、プログラミングや電波の知識などが必要がないのと同じですね。

Soundtoys 「Phase Mistress」の特徴と使い方を解説!!

Phase Mistressは、主に3つの黒いパネルごとにセクションが分かれています。

  • 般設定(左)
  • モジュレーション設定(中央)
  • インプット/アウトプット設定(右)

「STYLE EDIT」「TWEAK」ボタンを押して別画面を開くことで、さらにいろんな細かい設定をすることもできます。

まずは、この中でも最も基本的な設定を行う「一般設定」のパラメーターを解説していきましょう。

一般設定

左の黒いパネルには、4つのパラメーターを設定するノブがあります。

  • MIX – 原音とエフェクト音のバランスを調整する
  • FREQUENCY – どの周波数を中心にエフェクトをかけるか
  • RESONANCE – レゾナンスを加えることでエフェクトの効果を高める
  • MOD – エフェクトの量を決める

基本的にこれらのパラメーターを設定して音作りをしていくわけですが、なんせ位相というちょっとややこしいものを取り扱っているので、どこから手をつければよいのか分からないという方もいるでしょう。

そこでSoundtoysは、「この設定始めてみるといいよ」という基本的なパラメーターの推奨設定をマニュアルに提示してくれています。

それがこちら。

  • ・FREQUENCY – 12時
  • ・MOD – 11時
  • ・RATE(中央のパネル) – 7時

「RATE」というのは、中央パネルにあるセクションの「LFO」を選んだときに出てくるパラメーターです。

これは、時間をかけて少しづつ位相が変化していくという設定です。

右も左も分からないという方は、ここをスタートポイントにして設定を始めてみましょう

スタイルエディット

左のパネルにある「STYLE EDIT」というボタンを押すと、ビンテージ機材の音を再現できる「STYLE PRESETS」という画面が現れます。

かなりの数のプリセットがありますね。

これらは実際にSoundtoysのスタッフが、ビンテージ機材の挙動をもとに再現したプリセットで、それぞれが異なる特徴を持っています。

スタイルごとの違いをしっかり耳で聴いてチェックしてみたいという方は、Soundtoysが推奨しているこちらの設定に合わせてからプリセットをチェックしてみて下さい。

  • MIX – 50%(インサートで使う場合)
  • FREQUENCY – 12時
  • RESONANCE – 9時
  • MOD – 12時

Phase Mistressを使って、あからさまに「フェイザー使ってます!」的な音にする必要はありません。

このスタイルプリセットを使うだけで、音にアナログ感や時間的変化を与えることができるので、自分の音がどこか単調で物足りないと感じている方はぜひこの機能を使ってみましょう。

詳細設定(TWEAK)

右側の黒いパネルにある「TWEAK」ボタンを押せば、さらに細かい設定ができるようになります。

ここでは、LFOの周期やサチュレーション、モジュレーションなどの詳細設定ができます。

モジュレーションの種類ごとに設定できるパラメーターは違うので、より詳しく知りたいという方はこちらの公式マニュアルをみてみましょう。

Phase Mistress – 公式マニュアル

Soundtoys 「Phase Mistress」の特徴と使い方を解説!! そもそもフェイザーってどんなエフェクトなの? | まとめ

Soundtoysの中でもなかなか陽の当たらないプラグインかもしれませんが、長い年月をかけて再現されたビンテージフェイザーのモデリングなど、うまく利用すれば絶妙なアナログ感を与えたり音に変化を与えることができる素晴らしいプラグインです。

ぜひ、普段の制作でも活用してみてください。

Phase Mistress – Soundtoys

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?