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アーティスト支援サイト「Patreon」について解説する

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以前から海外ではわりと知名度のある、アーティスト支援プラットフォーム「Patreon(パトレオン)」をご存知でしょうか。

これは月額制でアーティストやクリエイターを支援するためのサービスなのですが、2020年のコロナウィルスの時期になってその登録者数を爆増させ、最近よりいっそう注目を浴びています。

アーティストというのはとても不安定な職業ですが、このような定期的に収入が得られる方法があると精神的にも大きな支えにもなりますよね。

この記事を読めば、以下のことが分かります。

  • Patreonの仕組み
  • アーティストが定期収入を得るための方法
  • アーティストをサポートするメリット

従来の「楽曲のリリース」や「ライブ活動」という方法でアーティストが稼ぎにくくなってきている今、このようなサービスの存在はより重要になってくるでしょう。

まずはPatreonがどのようなサービスなのか、具体的にみていきます!

Patreonとは?

Patreonは月額制のアーティスト支援プラットフォームで、アーティストは「5ドル」「20ドル」「150ドル」といったように、ひと月にファンに支援してほしい金額を決めることができます。

そしてその金額に応じて、例えば「月額5ドルの支援をしてくれるファンは限定コミュニティへの参加券が得られる」とか「月額150ドル支援してくれるファンにはマンツーマンの演奏レッスンを行ってくれる」など、アーティストは好きな金額と報酬(リワード)を決めることで定期収入が得られるという仕組みです。

ちなみにPatreonのサービス名は、「パトロン」という言葉にに由来するのですが・・・

  • レオナルド・ダ・ヴィンチ
  • ミケランジェロ
  • シェイクスピア

誰もが一度は名前を聞いたことがあるでしょう、これらの人々は、みんな「パトロン」という支援者を抱えていました。

パトロン(英: patron)とは、後援者、支援者、賛助者、奨励者、または特権を持つ人や財政支援をする人をいう。現代でのパトロンは、必ずしも金銭援助に限るわけではなく、パトロンの人脈や影響力によって貢献するケースもある。

パトロン – Wikipedia

昔のアーティストは特権階級の人々にえていたり支援者を抱えている人が多くいたそうで、この仕組みを現代に蘇らせようとしているのが「Patreon」というわけですね。

似たようなサービスで「クラウドファンディング」がありますが、これとは少し違っています。

クラウドファンディングとの違い

クラウドファンディングは上の動画でも紹介されているように、大規模なイベントや企画を成功させるのによく使われるサービスです。

例えばアーティストなら、「アルバムを作る」「全国ツアーをする」といった、ある程度まとまったお金が必要な目的のために使うことが多いですね。

一方のPatreonは、ブロガーやYouTuberのように定期的にファンにコンテンツを提供し、毎月一定額を支援してもらうというサービス。

サブスクリプションモデルなのでいきなり登録者がドッと減るということは少なく、ある程度一定の収入が見込めるのもメリットのひとつですね。

普段は「音楽活動+Patreon」で生計を立て、アルバムづくりは「クラウドファンディング」という使い方をしているアーティストも実際にいます。

Patreonでできること

Patreonでは実際どんなことができるのか?

アーティストと支援者の、2つのパターンをみてみましょう。

Patreonでできること – アーティスト

まずアーティストは、Patreonを使って次のようなことができます。

  • リワードを設定して定期収入を得る
  • アーティストページへの投稿
  • トラッキングツールの利用
  • Patreonスタッフによる個別アドバイス
  • グッズ販売のサポート

リワードを設定して月額収入が得られるというのは先ほどお話した通りですが、Patreonとしてもアーティストが収入を得られるようさまざまなサポートをしてくれます

アーティストはまず自分のページにSNSのように投稿できるのですが、「どれくらい閲覧数があるのか」「収益は毎月どのくらいで推移しているか」などの分析ツールも使うことができます。

他にも有料プランですが、Patreonのスタッフが「どうすれば収益を増やすことができるのか」「集客データの分析」などを、1対1で個別に行ってくれるというサービスもあります。

グッズ販売に関しても、Tシャツ, カップ, ポスター, ステッカーなどを安心して発注できる信頼のおける製造元を抱えていたり、グッズや配送コストなどを考慮して「どの金額のリワードでグッズ販売をすべきか?」というアドバイスがもらえたりと、サポートが充実しています。

その他、Patreonについてのより詳しい使い方を知りたい人は、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

参考: 【解説】Patreonの使い方ガイド – クリエイター編 – スタジオ翁

Patreonでできること – 支援者(ファン)

支援者がPatreonでできるのは、このようなことです。

  • ・好きなアーティストをサポートできる
  • ・支援額に応じた報酬(リワード)が受けられる
  • ・Patreonだけの特典がある
  • ・専用のスマホアプリが使える

好きなアーティストをサポートできるというのはもちろん、Patreonにしかない特別なリワードを受け取れるのはファンにとっても大きな魅力でしょう。

早割チケットがリワードとして設定されていたりチャットによるアーティストとの交流があったりと、日本でいうところの「ファンクラブ」が近い存在かもしれませんね。

ただ日本のファンクラブは事務所が運営していることがほとんどでしょうが、Patreonはアーティスト個人が運用していることが多いので、その分アーティストとの距離が近いというのも魅力のひとつだと思います。

Patreonを日本語化する方法

Patreonは、残念ながら日本語には対応していません

ただGoole Chromeの翻訳機能などを使えば、なんとなく意味が理解できるくらいには翻訳してくれるので、どうしても日本語で使いたいという人はぜひ活用してみましょう。

デスクトップ版の「Chrome」だと、ページを右クリックすれば「日本語に翻訳」という機能がでてきます。

これを使えば、ワンクリックでページを翻訳してくれるので、とても便利ですよ。

このウェブサイトが・・・

こんな感じになりました!

これを各ページで行っていけば、無理やり日本語化させることなんかもできます。

ただ、ファンやサポートスタッフとのやりとりも英語で行わなければいけないので、ページが翻訳できるからといって英語が全く話せない人がPatreonを使うのは少しハードルが高すぎるかなと感じます

Patreonで販売できるような特別な技術やスキルがあれば、ペラペラの英語が喋れるようになる必要は全くありませんが、最低限の読み書きができるくらいのレベルは必要でしょうね。

まとめ

以上、アーティスト支援プラットフォーム「Patreon」の紹介でした。

日本はストリートアーティストの文化があまりなく、こういったサービスが日本で普及するのは難しいのかなと感じていましたが、最近ネット上では「投げ銭」なども普及し始めているので、日本でもこのようなサービスや文化がより広まるといいですね。

海外でも通用するスキルを持っている人は、Patreonのような海外サービスを利用すれば、他の日本人アーティストよりも有利な立場で活動することができますよ

英語という武器を持っているアーティストには、かなりおすすめのサービスです。

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?