サンプルパック販売はアーティストの不労所得になるかもしれない

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今回は、サンプルパックの「使い方」ではなく「つくり方」についての記事です。

海外のアーティストは、よく自身のサンプルパックを販売しているのを見かけたりするのですが、あまり日本ではそのような風潮は見られません。

最近は、個人でオリジナルのビートを販売できる「BeatStars」というサイトを使って、日本人でもビートを販売してお金にしている人もちょいちょい見かけますが、アーティストはせっかく何かをつくり出す技術があるので、それをお金に変える方法をもっと知っておいても良いんじゃないかと思います。

ということで、アーティストがサンプルパックを販売することのメリットや、サンプルパック作りのポイントなどについて解説していくので、「音楽で稼ぐこと」に興味がある人はぜひ最後までご覧になって下さい🙃

サンプルパックって何?

サンプルパックとは、ギター, シンセ, ドラムなど素材としての音やフレーズを集めたパックのことですが、著作権フリーなので自分の作品にそのまま使用したり、切り貼りしてアイデアを膨らませたりといった使い方ができるというもの。

この記事にもまとめておるぞ。
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こういうのってメーカーが制作・販売していることもあれば、著名アーティストが個人のサイトで販売していることなんかもあって、海外では結構活発なマーケットとして存在しているんですよね。

僕は、サンプルパックの販売は、楽曲のリリースとは少し違った種類のビジネスになると思っています。

まずは、なぜアーティストがサンプルパックを販売すべきなのか、そのメリットをみていきましょう。

アーティストがサンプルパックを販売する3つのメリット

例えば、僕の大好きなハウスレーベル「KEINEMUSIK」のホームページでは、いくつかのサンプルパックが販売されています。

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彼らはハウスミュージック界隈ではかなりの売れっ子なので、「音楽が売れないから仕方なくサンプルパックを売っている」という訳でもないでしょう。

ではいったいどんなメリットがあって、アーティストはサンプルパックという商品を作って販売しているのか?

これから紹介する、3つのメリットから考えていきます。

お金と知名度が得られる

ある程度売れているアーティストであれば、さらなるお金と知名度が得られます

テクノやハウスなどの音楽シーンだと、ファン自身も音楽を作っているという場合が多いので、大好きなアーティストが作った音を自分の曲に取り入れられるということであれば、喜んでお金を支払いますよね。

また、そのサンプルパックのクオリティが高ければ、アーティストに対する評価もグンと上がるでしょう。

資産になる

楽曲リリースとの大きな違いは、サンプルパックはアーティストにとって「資産」になるということです。

音楽だって同じ曲が何年も売れ続ければ、資産になるんじゃない?

こう言われると確かにそうかもしれませんが、楽曲にはたいてい賞味期限がありますよね。

その曲が流行れば流行るほど、飽きられるスピードも早くなります。

 

一方、サンプルパックならアーティストが定期的に新曲を発表したり、ライブをしたりして活動している限りは売れ続けます。(もちろんそれなりに質が高くないとダメですが)

また、別の曲が売れれば、以前作ったサンプルパックも再注目されるでしょう。

サンプルパックなら、楽曲のように聴き古されるということもないからのぉ。

このように一度作ってしまえば手を加える必要がなく、しっかり活動していれば定期的に売れてくれる商品としてのサンプルパックは、ある意味アーティストにとっての不労所得と言えるかもしれません。

コストがかからない

サンプルパック制作には、コストがほとんどかかりません

なにせ自分が普段音楽を作っている環境で、楽器のフレーズを録音したり加工すればいいだけなので、ミキシングやマスタリングなどの難しい作業は必要ないのです。

必要なのは「時間」くらいだね。

これまでに楽曲をリリースしているのなら、おそらくSNSでファンともつながっているので、それを利用すれば簡単に宣伝もできるでしょう。

音楽制作に比べれば面倒な作業が少ない分、制作のハードルもかなり低く、気軽に始められるというのも大きなメリットです。

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サンプルパックの制作で注意すべき3つのポイント

さて、サンプルパックを作ること自体はあまりハードルが高くないのですが、アーティストはどんなことに気をつけて商品を作っていけば良いのでしょう?

ここでは、大切な3つのポイントを挙げてみました。

オリジナリティ

オリジナルであるということは、一番大切な要素です。

サンプルパックは、基本的に「著作権フリーだから誰でも好きなように使っていいよー!」というルールのもと販売されています。

なので、自分でドラムを録音したり、ボーカルを録ったりするのはOKですが、古いレコードをサンプリングしたものをサンプルパックに入れたりするのは、少し問題になるかもしれません

どこかで聴いたことのあるフレーズを使うのも危険じゃな。

あとで面倒な著作権問題に巻き込まれないようにするためにも、ここはきちんと意識しておきましょう。

フォーマット

サンプルパックのフォーマットは、「44.1kHz, 24bit」のWAVかAIFFがもっとも一般的だということを覚えておきましょう。

仮に、意図してLo-Fiサンプルを作ったとしても、フォーマットは他のサンプルと揃えた方がいいですね。

 

あとサンプルは、大きく「ループ」と「ワンショット」に分かれています

例えば、4小節の「ループ素材」を録るのか、『パーン』というスネアを「ワンショット」として録音するのか・・・

サンプルパックにはどちらも入っていることが多いですが、ループ素材なら、

・テンポ情報

・キー情報

このような情報も、ファイル名に入れてあげると親切かもしれません。

使いやすさ

先ほどの「テンポ情報」や「キー情報」があればとても使いやすいですし、音量もバラバラではなく0dBに近い音量で揃えてあげると、購入者としても嬉しいですね。

せっかくいい感じのサンプルを作ったのに、音量やフォーマットが整っていないというのはもったいないので、購入者のことも考えた「使いやすさ」を意識するのも大切です。

人間は音量が大きい方を「良い音」と感じる性質があるので、しっかり0dB近くまで上げてあげることは、アーティスト自身のメリットにもなりますよ。

どうやって販売するのか?

苦労して作ったサンプルパックも、売れなければ意味がありませんよね。

ここでは、個人で作ったサンプルパックを販売する方法を3つ紹介していきます。

海外のサンプルパックサイトで売る

まずは、海外サイトで販売するという方法。

日本のマーケットより市場が大きいのですが、大手サンプルパックメーカーからはなかなか個人の商品を販売することはできません

ただ、いくつか販売できるサイトがあって・・・

こういうサイトなら、個人でも販売できるよ。

「Splice」は日本でも結構人気のサブスク型音源サービスなので、知っているという人も多いのではないでしょうか?

審査がありますが、大きなプラットフォームから販売してみたいという人は、トライしてみてもいいかもしれませんね。

 

「BeatStars」はアメリカのサービスなので、ヒップホップやトラップ寄りのサンプルが中心です。

こちらは誰でも登録できるので、ヒップホップ系のビートを作るのが得意だという人にはおすすめですよ。

個人ECサイトで販売する

次に、個人でECサイトを立ち上げて販売するという方法。

例えば、「Base」は誰でもオンラインショップが持てるサービスですが、要はちゃんとした決済システムがあるサービスなら、どこでもサンプルパックを販売することができます

ファイルをダウンロードしてもらうだけなので、お金の問題がクリアできるなら何を使っても良いというわけですね。

「note」の有料コンテンツ販売を利用するとか、海外のBase的プラットフォーム「Shopify」を使うとか、ここはいろんな方法が考えられそうです。

無料配布してプロモーションする

お金の問題がなければ、オンラインショップなどを使う必要すらありません

「Google Drive」「WeTransfer」「Gigafile」「Dropbox」などのサービスを使っても良いですし、自分のホームページやブログがあればそこにダウンロードリンクを貼り付けておいてもよいでしょう。

Facebookで「いいね」ボタンを押してくれれば、無料ダウンロードができるというサービスもありますね。(最近はないのかな…?)

サンプルパックは、プロモーションや話題作りにも使えるので、戦略によってはこういう方法をとるのもアリだと思います。

まとめ

いかがでしたでしょう。

日本だとサンプルパックの使い方を紹介するページはたくさんあっても、サンプルパックを販売する方法についてはあまり情報がなかったので、自分なりにまとめてみました。

誰でも著作権フリーの楽曲を販売できる「AuidoStock」というサイトが日本にもありますが、曲となるとどうしてもハードルが上がってしまうので、「曲作りは苦手だけど音作りには自信がある」という人なんかも、サンプルパック制作にチャレンジしてみる価値があると思います

今回の記事が、新しいビジネスモデルを模索している、アーティストのみなさんの参考になれば嬉しいです\(^o^)/

参考: How to make a sample pack – Native Instruments

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