我が家のオーディオインターフェースを入れ替えたので、久々に機材レビューを書きます。
今回は購入したのは、Antelope社の「Zen Quadro」。

ANTELOPE AUDIO Zen Quadro Synergy Core USB
ここ数年は、同じくAntelope社の「Orion Studio 2017」を使っていたのですが、10万円ほどのZen Quadroに乗り換えました。Orion Studio 2017の定価が30万円ほどなので、一見、グレードダウンに見えるかもしれませんが、実はこれは大きなグレードアップなのです。
両者を比較しながら、「なぜ乗り換えたのか」「どんな違いがあるのか」「どんな人におすすめなのか」といったことを解説していきます!
なぜAntelope Zen Quadroを選んだのか
先ほどお伝えした通り、Orion Studio 2017が約30万円に対し、Zen Quadroは約10万円です。しかしZen Quadroは、この価格差を感じさせないほどの性能を持っているのです。
Zen Quadroは、Antelopeのフラグシップモデル「Galaxy」と同じ130dBという優れたダイナミックレンジを持っており、音の解像度においてはOrion Studio 2017を上回るクオリティを実現しています。入出力の数に問題なければ、間違いなくZen Quadroを選ぶべきでしょう。

ちなみにAntelopeからは、これまでにも「Zen Q」や「Zen Go」のような似たようなオーディオインターフェースがいくつか登場していますが、これらの製品は値段こそ近いものの、全くの別物と考えてください。それくらい「フラグシップ機であるGalaxyと同じD/Aコンバーターを積んでいる」ことのメリットは大きいのです。
USB-C給電ということもあり、若干、音の密度や低音に物足りなさを感じることもありますが、それでもD/Aコンバーターがかなり優秀なので、クセの少ない解像度の高いサウンドを楽しむことができます。
超高級機と比べると、若干の物足りなさはあるが・・・
オーディオインターフェース買い換えの際、Lynx Mesaなど数十万円クラスのオーディオインターフェースの購入も考えていたのですが、10万円でこの音質を実現されてしまうと、わざわざ数十万円出すのがバカらしくなってしまいました。
もちろん80万円クラスのAntelope Galaxyと比べれば、音の差はあります。でも、もし音質をさらに向上させたいなら、Lynx Hilo 2などの高品質D/Aコンバーターを導入し、出力はそちらに任せるという方法もあります。Hilo 2は70万円ほどしますが、デジタル出力を使ってZen Quadroと併用できるので、まずはZen Quadroをメイン機として使いこみ、音質を向上させたい!となった段階で、Hilo 2などのD/Aコンバーターに追加投資すると良いのです。

以前に、渋谷のRockoN Companyで「Zen Quadro」と「Lynx Hilo 2」の比較視聴をしたことがあります。流石に10万円と70万円では音の違いがあるものの、音の方向性や解像度の高さにはあまり違いが見られず、60万円の差を感じないほどZen Quadroのクオリティが高くてびっくりした記憶があります。
音質の差から言うと、Zen Quadroは20万円してもおかしくないくらいのクオリティだと思います。これは誇張ではなく、実際に聞いてみると納得してもらえるでしょう。
Orion Studio 2017に比べて、入力が少なくなるのも少し悩みどころでしたが、現在はマイクとシンセサイザー程度しか接続していないので、現状のZen Quadroで十分と判断しました。もし入力を増やしたい場合は、アナログミキサーを追加するか、ADATを使って入力を増やすという選択肢もあるので、これからシンセサイザーが増えても特に問題はありません。
10万円前後のオーディオインターフェースの中ではトップクラス
10万円前後のオーディオインターフェースを検討している方は、Universal AudioやRMEなども候補に入っているかと思いますが、過去にApolloやBabyfaceを使ってきた僕からすると、ダントツでZen Quadroがおすすめです。
みんな大好き「RME Babyface Pro」は音が良いことで有名なのですが、僕にはどうも高音にクセがあるように感じられ、素直な出音だとは思えないのです。
これは人にもよるのでしょうが、Zen Quadroの方が断然フラットでクセのないサウンドです。Lynx Hilo 2やAurora(n)などと比較視聴しても、これらとZen Quadroの音の傾向はかなり似ていたので、Babyfaceが特にクセのあるサウンドであることは間違いないと思います。
携帯性と使い勝手
Zen QuadroはUSB-C電源供給にも対応しているため、持ち運びにも適しています。ライブパフォーマンスや外出先での録音には、これ一台を持ち運び、自宅でじっくり作業する際には、Hilo 2などのD/Aコンバーターを接続して、じっくりスピーカーで聴くといった使い分けができるのも大きなメリットです。
あと、iPadやiPhone入力にも対応する2つ目のUSB端子が付いているので、「配信」「ポン出し」「iPadを使った音楽制作」などにも対応しているのも魅力の一つ。こんな音の良い機材を配信だけに使うなんて少しもったいない気もしますが、そういったあらゆる用途にも対応しているのも、Zen Quadroのすごいところですね。
Antelopeブランドについて
Antelopeを検討する際、以前あったカスタマーサポートや位相のトラブルなどの問題を気にする人も多いでしょう。しかし、同社の技術力の高さや最近の製品開発スピードを考えると、多少の欠点があったとしても、Antelopeを選ばない理由にはならないと僕は思っています。
Antelopeはクセのあるメーカーで、楽器屋や代理店ですら敬遠するほどの厄介者であることは事実でしょうが、技術力が高いことは疑いようがないので、僕はどうしてもAntelopeを選んでしまいます。。
最近は徐々に使いやすくなってきているのと、トラブルも少なくなってきているので、以前のトラブルがあまり気にならない人は、購入しても全然問題ないと思いますね。
まとめ

音が良いオーディオインターフェースが欲しい!という理由で、入出力がいくつも付いた数十万円クラスのオーディオインターフェースを検討している方もいるかと思います。でも、もし大量の入出力が必要でない場合、50万円のオーディオインターフェースを購入するよりも、Zen Quadroを購入し、残ったお金を別の機材に投資するのもありだと思います。
いやー、言っても10万円クラスでしょ?と思っているプロの方にもぜひ聴いてもらいたい!
とにかく、10万円クラスでこれほど素晴らしい製品が登場するとは、、、と久々に衝撃を受けました。
音質、機能、携帯性、コストパフォーマンスのどれをとっても、Zen Quadroは現時点で最高の選択肢の一つと言えるでしょう。