オーディオケーブルって、ピンとかTRSとか種類がたくさんあってややこしすぎる… DTMに必要なケーブルだけサクッと覚えたいな。
今日はこんな人のために、DTMでよく使われるオーディオケーブルをまとめました。
僕も初心者のころは、ワケもわからずケーブルを買っては「なぜか音が出ない…」「必要なのはこのケーブルじゃなかった…」なんてことがよくあったんですよね。
同じケーブルにいくつも名前がついていて、ややこしそうに見えるんですが、実はDTMで使われるオーディオケーブルはそれほど多くありません。
今後、「どのケーブルを使うのが正解?」「この場合、どのケーブルを買えばいいんだろう…」といったケーブル問題に悩まされないよう、基本的なケーブルの種類や役割をしっかりマスターしておきましょう。
DTMで使われる5つのオーディオケーブル
オーディオケーブルとは音の情報を送るためのケーブルですが、なぜこんなに種類があるのかというと・・・
- 機器によって端子が違う
- 同じケーブルにいくつも呼び方があるので多く感じる
- 送れる音の数や種類に違いがある
といった理由があるから。
一見覚えるのが大変そうですが、実はDTMで使われる主なオーディオケーブルは5種類だけです。
- XLR(キャノン)
- TS/TRS(フォン)
- RCA(ピン)
- 3.5mm(ミニプラグ)
- MIDI
オーディオケーブル自体は他にもたくさんありますが、この5つ以外はDTMであまり使われないので、とりあえず覚える必要はありません。
ではさっそく、それぞれの仕組みや役割をみていきましょう。
1. XLR(キャノン)
「キャノン」「マイクケーブル」とも呼ばれます。
主に、マイクやスピーカーの接続に使用されるケーブルです。
上の画像の通り、XLRケーブルの端子には「オス」と「メス」があって・・・
- 左側 →「メス端子」
- 右側 →「オス端子」
となっています。
音の流れは「オス→メス」が基本です。
XLRケーブルはオスとメスがあるので、どっちがどっちか迷ってしまいがちですが、「オス端子」から出た音を「メス端子」で受けるという基本を理解しておきましょう。
例えば、マイクの音をミキサーに送る場合、マイクから出た音声をXLRケーブルのメス端子で受け、ミキサーにオス端子で送ります。
これをしっかり理解しておくことで、ケーブルを購入する際にオスとメスを間違えることはなくなるでしょう。
さて次に端子の内部を見てみると、3つの線(2本の導線と1本のグラウンド)に分かれていて、それぞれに呼び名がついています。
- ホット(プラス)
- コールド(マイナス)
- グラウンド(シールド)
なんで1つの音を送るのに、3つも線が必要なの?
これはバランス接続といって、外部のノイズをカットするための知恵なんじゃよ。
自宅での音楽制作くらいなら詳しく覚える必要はありませんが、「ホット/コールドという2つの線の組み合わせが外部のノイズをカットしてくれる」ということは覚えておきましょう。
「グラウンド」については、同じく外部のノイズを取り除いたり、機器間の電位差を揃えて音を整える役割などがあるのですが、詳しく知りたければこちらの記事がとても参考になりますよ。
参考: グランド・アース
2. TS/TRS(フォン)
「1/4インチ」「フォンケーブル」「モノラル(TS)」「ステレオ(TRS)」とも呼ばれます。
シンセ, ギター, エフェクターなど、さまざまな機器の接続で使用します。
上の画像の2本は、見た目は似ていますが上の画像の2本は、見た目は似ていますが「TS」と「TRS」という2つの異なるケーブルです。(上がTRS、下がTS)
中の配線が少し違っていて、オーディオインターフェースなどの機器によっては「TSフォンだと音が出ない」というタイプもあるので気をつけましょう。
ちなみに①〜④までの番号は、
① Sleeve(スリーブ)
② Ring(リング)
③ Tip(チップ)
④ 絶縁リング
と呼ばれています。
これはケーブルを自作したりしない限り覚えておく必要はありませんが、どっちが「TS」でどっちが「TRS」なのかは覚えておくと良いですね。
では、それぞれの特徴について見ていきます。
TRSフォン
TRSフォンの中身は、先ほどのXLRケーブルと同じです。(2本の導線と1本のグラウンド)
TRSの方が、TSと比べてノイズに強いのですが、これは位相を利用したノイズキャンセリングの仕組みを持っているから。
これについて詳しく知りたい人は、こちらの記事がとても参考になります。
参考: バランスとアンバランスって何? / オーディオ・ケーブルの種類との違い【今さら聞けない用語シリーズ】- Digiland
TRSは「ステレオケーブル」とも呼ばれるように、1本でLRの情報を送ることができます。
ただしその場合は「アンバランス接続」となり、ノイズの影響を受けやすくなるので注意しましょう。
TSフォン
TSフォンは、主にギターやシンセなどに使われます。
こちらの中身は、2本の線(1本の導線と1本のグラウンド)で構成されていて、ノイズキャンセリング用の線がないのでノイズには比較的弱いです。
ケーブルの距離が長くなればなるほどノイズの影響を受けやすくなるので、ギタリストがライブなどでPAに音を送る時は、「DIボックス」というバランス接続に変換できる機材を通すことがよくありますね。
ノイズを最小限に押さえたいなら、TSフォンは2m未満の長さのものを使いましょう。
3. RCA(ピン)
「ピン」とも呼ばれます。
オーディオ機器やDJ機器などで使用されますが、テレビやDVDプレイヤーなどでも使われている赤と白の端子なので、馴染みのある人も多いでしょう。
中身はTSケーブルと同じなので、長すぎるとノイズが発生してしまいます。
音質を気にするなら、なるべく短いケーブルを使うべきですね。
4. ミニプラグ(3.5mm)
「ミニプラグ」「1/8インチ」とも呼ばれます。
これは、スマホのイヤホンや音楽プレイヤーの端子によく使われていますね。
上の画像では、ミニプラグの反対側はRCA端子になっていますが、TSだったりその他の端子であることもあります。
黒い線が2本入っている「ステレオミニプラグ」は、よく低価格のシンセの出力端子としても使われていますね。
5. MIDIケーブル
「MIDIケーブル」は音そのものではなく、「音程」「音量」「鍵盤のオンオフやピッチベンドなどの情報」を送るためのケーブルです。
音楽制作をする人なら、MIDIの編集をすることがあるかと思いますが・・・
もともとMIDIケーブルは、このようなMIDIの情報を機器間で送受信するためのケーブルでした。
しかし最近はUSBケーブルでも同じことができるのでMIDIケーブルの出番はほとんどありませんが、たまに古い機材だとMIDIケーブルにしか対応していないものもあるので、覚えておくと役に立つかもしれません。
ラインレベルとマイクレベルについて
ここまで5つのオーディオケーブルについて見てきましたが、最後にケーブルを取り扱う上で欠かせない「ラインレベルとマイクレベルの違い」についても触れておきます。
これを間違えると音が出なかったり、いきなりスピーカーから爆音が出たりするので、ケーブルを取り扱うならぜひ覚えておきたい知識です。
ラインレベル
「ラインレベル」は、主にTS/TRS端子での接続に使用されるレベルで、一般的な信号レベルになります。
シンセサイザー, ドラムマシン, ギター, 音楽プレイヤーなどで扱う音量は、基本的にすべてラインレベルです。
マイクレベル
「マイクレベル」は、主にXLR端子での接続で使用されるレベルです。
マイクレベルという名前の通り、人の声を取り扱うためのレベルなんですが・・・
人の声というのは、シンセやギターといった楽器の音量と比べるとかなり小さいので、ミキサーやオーディオインターフェースを使ってラインレベルまで引き上げる必要があります。
アナログミキサーを持っている人はお気付きかもしれませんが、同じ音でもTS/TRS端子に入れるより、XLR端子に入れた方が遥はるかに音量が大きくなります。
これはミキサーのXLR端子が、人の声(マイクレベル)を前提に作られているからですね。
だからミキサーのXLR端子に間違えて楽器を接続してしまうと、とてつもなく大きな音量になったり、逆にマイクをTS/TRS端子に入れると、音が小さ過ぎて何も聴こえないということになったりするのです。
自宅のスピーカーで耳が壊れるほどの爆音が出てしまうことは滅多にありませんが、スピーカーの故障の原因にもなったりするので、接続の際は気をつけましょう。
まとめ
以上、音楽制作に必要なオーディオケーブルの種類と知識をまとめました。
アナログ機材をたくさん使い始めると、もっといろんなケーブルを取り扱うようになるかもしれませんが、ほとんどの人はこれだけ覚えれば、自宅での音楽制作くらいなら問題なくできるでしょう。
この記事が、少しでも「覚えるケーブルが多すぎてさっぱり分からないー!」という悩めるDTMerのお役に立てば嬉しいです。