MENU
「週刊 スタジオ翁」ニュースレターの登録はこちら

【厳選】マスタリングにおすすめのEQプラグイン7選

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今日は、マスタリングに使えるEQプラグインを7つ紹介していきます。

DAW付属のイコライザーを使っても良いのですが、マスタリング専用のVSTプラグインを使うことで、音楽的な色味を与えたり楽曲全体のより細かな調整ができるようになります

マスタリングは専門のエンジニアに投げてしまうのが一番確実なんですが、「自分でも挑戦してみたい!」「理想の音を追求したい!」という人は、ぜひこれらのプラグインを試してみて下さい。

それでは、まず「マスタリングEQ」の特徴から解説していきましょう。

マスタリング用と普通のEQは何が違う?

マスタリング用EQの特徴は、以下の2つです。

  • より自然な音質変化
  • 音楽的な響きを与える

マスタリングに使えるEQは、音質の変化を最小限に抑えつつ不要な帯域をカットしたり、音を濁らせずに欲しい帯域をブーストしたりといった、DAW付属のEQなどではなかなか実現できないようなメリットを持っています。

音楽的な美しい響きを与えられるのもマスタリングEQの大きな特徴ですが、多くはアナログ機器(アウトボード)に2ミックスを通し、アナログ独自の温かみや歪みなどを加えることによって得られます。

とはいえ、マスタリング用のアナログ機材だと数十万〜数百万円もするので、とても一般人が買えるようなものではないんですよね・・・

参考: Manley Labs Massive Passive Stereo Tube Equalizer – Reverb

ところが「UAD」に代表されるようなビンテージアナログ機器を再現したプラグインを使えば、僕たち一般のDTMユーザーでもこういった音楽的な響きを手軽に手に入れることができるんです。

有名なアウトボードの特性を再現したプラグインの中には、実際にプロのエンジニアにも使われるような高品質な製品もたくさんあります

こういったプラグインをうまく使いこなせれば、個人でも理想の音により近づくことができるでしょう。

マスタリングに使えるEQプラグイン7選

それでは、ここからマスタリングに使えるEQプラグインを7つ見ていきます。

1. Fabfilter「Pro-Q 3」

Fabfiler「Pro-Q 3」- Plugin Boutique

Fabfilter「Pro-Q 3」は、通常のミキシングにも使える高性能EQプラグインです。

色付けというよりフラットで自然なEQが売りのPro-Q 3は、最大24バンドのEQ, 9種類のフィルタータイプ, ゼロレイテンシーモード, M/S処理, サラウンドなど、あらゆる場面に対応する万能EQプラグイン。

有料で高品質なEQといえば、まずFabfilter「Pro-Q」を思い浮かべるという人も多いと思います。

プロのアーティストでもこのプラグインを使っている人は、本当に多いですね。

2. DMG Audio「EQUILIBRIUM」

DMG Audio「EQUILIBRIUM」

こちらはあまりメジャーではないかもしれませんが、「知る人ぞ知る」高品質EQプラグインです。

味付けのないナチュラル志向なデジタルEQかと思いきや、SSL, API, Neve, Harrisonといった名作ビンテージEQのカーブをモデリングしているハイブリッドなイコライザー。

カスタマイズ機能も豊富で初心者向けではありませんが、最高級のデジタルEQをひとつ持っておきたいという人は試してみましょう。

この辺りの記事が、参考になりますよ。

参考: DMG Audio EQuilibriumについて – 音楽のブログ

参考: EQuilibrium未導入の方へのススメ – 中川統雄のみみにっき

3. Plugin Alliance「Brainworx bx_digital V3」

Brainworx「bx_digital V3」- Plugin Alliance

色付けのないサウンドという点で、キャラクター的には「Fabfilter Pro-Q 3」と似ていますが、こちらの「bx_digital V3」は、よりマスタリングに特化したプラグインです

  • 不要な帯域を特定してカットする
  • MS処理による最終調整
  • ベースをモノラルにする機能

このような機能から分かるように、曲の最終段階で行う細かな作業にとても向いていますね。

プラグインによる色付けは最小限に抑えられていますが、「Proportional Q Mode」というモードを使った時のみ、有名なアナログEQである「API」の挙動をエミュレートするようです。

Plugin Allianceというプラグインメーカーから販売されていますが、ここはサブスクによるプラグイン使い放題のサービスもあるので、マスタリングが必要なときだけ登録して使うといったこともできますよ。

参考: Plugin Allianceの個人的なおすすめプラグイン8選 – スタジオ翁

4. iZotope「Ozone」

iZotope「Ozone 11」- Plugin Boutique

iZotope「Ozone 11」は、マスタリングの定番プラグインですね。

EQだけでなくコンプ, ステレオイメージャー, マキシマイザーなどのマスタリングに必要な一通りの機能を備えています。

最近はAIマスタリング機能を搭載するなど、かなりイケイケなアップデートを重ねていて、「マスタリングを一つのプラグインに集約したい」「AIによる自動マスタリングを試してみたい」という人におすすめのプラグインです。

5. Chandler Limited「Curve Bender Mastering EQ」

Chandler Limited’s「Curve Bender Mastering EQ」- Plugin Boutique

このEQは、アビーロードスタジオのビンテージデスク「EMI TG12345」をもとに作られたプラグインです。

太いローエンド、アグレッシブなミッド、スムーズなハイエンドが特徴で、クリーンなサウンドというよりは独特なアナログの風味や味付けをするのに向いています。

6. UA「Manley Massive Passive」

「Manley Massive Passive」- UA

「Manley Massive Passive」は、あえて帯域同士のEQが干渉し合うよう設計された独特なイコライザーで、アウトボードの世界でもとても知名度の高い製品です。

こういった高品質なEQは、過度にブーストしても歯擦しさつおん(Sibilant)が目立ったりすることなく、楽曲に音楽的な響きを与えてくれます。

7. UAD「Dangerous Music BAX EQ」

Dangerous Music「BAX EQ」- UAD

こちらもアウトボードとしてよく見かけるEQで、「音楽的な響き」が売りの製品。

ローエンドを整えてヘッドルームを増やしたり、MS処理によって広がりや奥行きを出したりといった使い方もできますよ。

マスタリングに使えるEQプラグイン7選 | まとめ

以上、マスタリングに使えるEQプラグインの紹介でした。

マスタリングのテクニックについては、ネットにいろんなTIPSが落ちていたりするので、それらを参考にいろいろ試してみるのが良いでしょう。

参考: マスタリングEQのタメになるTips10選

そして最近は、MAAT「thEQorange」, Knif Audio「Soma」, UAD「HITSVILLE EQ COLLECTION」など質の高いマスタリングEQがたくさん出てきていますね。

今日ご紹介したのはどちらかというと「みんな知ってる定番EQ」という位置付けなので、「もっとこういう色付けが欲しいな」「こういうEQのかかり方をするプラグインはないかな?」と耳が肥えてこれば、他にもデモ版をいろいろ試して使ってみると良いでしょう。

もちろん無料やDAW付属でも質の高いイコライザーはたくさんありますが、より楽曲のクオリティを高めたいと思っている人は、こういったプラグインも使ってさらなるステップアップを目指してみてはいかがでしょうか。

サービス・書籍について

<ニュースレター>

週刊「スタジオ翁」beehiiv版

毎週、音楽制作やAIに関する話題、世界の音楽ニュースなどを紹介しています。

<著書>

AI時代の作曲術 – AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

 

この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?