今日は、アーティストやミュージシャンがクリエイター支援プラットフォーム「Patreon」をどのように活用していけばよいのかご紹介していきます。
Patreonがどのようなサービスなのかについては、こちらで詳しく紹介しているのでご覧ください。
アーティストは作品をリリースしたりライブでお客さんを集めたりして収入を確保するのが一般的ですが、Patreonを使えばリリースやライブの頻度に関わらず安定した収入を得ることができます。
これは作品の売れ行きや人気度に、収入を大きく左右されるアーティストにとってはとても嬉しい話ですよね。
Patreonは海外のサービスなので簡単な英語の読み書きは必要になってきますが、国境に関係なく世界に通用するような才能を持っている人は、ぜひこのようなサービスを使ってアーティストとして稼ぐ道を見つけてみて下さい。
この記事を読めば、以下のことがわかります。
- ・Patreonのメリットとデメリット
- ・Patreonの登録方法
- ・Patreonで人気のジャンルやトップクリエイターの収入
- ・Patreonの活用法
それでは早速みていきましょう!
Patreonにアーティストが登録すべき3つの理由
アーティストがPatreonに登録すると、どんな良いことがあるのでしょう。
ここでは3つの代表的なPatreonのメリットについて紹介していきます。
① 安定的な収益が得られる
Patreonという名前の由来は「パトロン」から来ています。
パトロンとはその昔、芸術家を支援していた資産家などの呼び名ですが、現代でいえばアイドルの卵や若い女の子を支援する「パパ活のおっちゃん」がパトロンのような役割を果たしていると考えれば理解しやすいでしょうか?
パトロンはお金に見合った対価を求めるというよりは、「この人を応援してあげたい!」といって支援してくれるイメージですね。
ただ、完全に無償で支援してもらうというのは難しいので、支援金額に応じてアーティストはリターンを提供する必要があります。
Patreonはサブスクリプション制なので、パトロンに登録してもらえばアーティストは定期的に収入を得られるという仕組みです。
② ファンに還元するリワードの種類を自分で決められる
ファン(パトロン)へのリターンを、Patreonでは「Reward(リワード)」といいます。
リワードはアーティスト自身が好きなように決められるので、毎月500円支援してくれる人には「限定コミュニティに参加する権利」、毎月2,000円支援してくれる人には「ライブの割引チケットの販売」といったように自由度が高いのが特徴です。
他のアーティストがどんなリワードを設定しているのかについて、こちらの記事で詳しく解説しています。
③ アーティストとして大きく稼げる可能性がある
Patreonでは、月の支援額を1〜10ドル(100〜1,000円程度)くらいで設定しているアーティストが多く、「そんなんじゃ飯代すら稼げないんじゃ・・・」と思ってしまうかもしれませんね。
しかし実際はそんなことはなく、Patreonで月数百万円以上稼いでいる人もいるくらい夢のある世界なんです。
Patreonでどのくらいの金額を稼いでいるかは、「Graphtreon」というサイトでチェックすることができるのですが、音楽ジャンルのトップクリエイターだと、1本の音楽ビデオを作成するごとに約300万円の利益を得ています。
さらに全体で一番稼いでいるクリエイターは、ポッドキャスト配信をしている「Chapo Trap House」なのですが、1ヶ月2,000万円近くの利益を上げています。
さすがにこれは個人で行っているものではないようですが、このような仕組みが当たり前に成り立ってお金が集まるサービスには夢がありますよね。
参考: Top Patreon Creators – Graphtreon
Patreonの登録方法
さて、ここからPatreonの基本的な登録方法について解説していきましょう。
まずは右上の「Create on Patreon」から、新しいアカウントを作ります。
GoogleでもFacebookでも、好きなもので登録して構いません。
他のサービスと連携させたくない人は、名前とメールアドレス, パスワードを入力して次に進みましょう。
次の画面では、あなたのコンテンツがどのジャンルに分類されるかを選びます。
「音楽」「ポッドキャスト」「写真」などいろんなジャンルがあるので、当てはまるものを選びましょう。(どこにもなければ「Other」を選択します)
ここではあなたのサイトが、アダルトコンテンツを含んでいるかを確認しています。
Patreonでは、アダルトコンテンツが禁止されているわけではありません。
誰かが意図せずアダルトコンテンツにアクセスしてしまわないように、Patreon側が把握しておく必要があるというだけです。
次に通貨を選びますが、日本円はないので無難にUSドルを選んでおけばOKです。
この画面では、アカウント認証のためにSNSへの連携を行います。
この設定を行うことで、あなたのPatreonページのカスタムURLが設定できるようになります。
これでPatreonへの登録は終わりです。
あとはプロフィールを充実させたり、リワードを決める必要があります。
「Tiers(ランク)」と呼ばれているものが、ファンにとってのリワードにあたります。
これはTierのテンプレートですが、このようなテンプレから作ってもいいしイチから月額やリワードの内容を書き込むこともできます。
どんなリワードにすべきか分からなければ、先ほども紹介しましたが、こちらのリワードに関する記事を参考にしてみて下さい。
Patreonを活用するアーティストたち
Patreonを活用するアーティストはたくさんいますが、中でも特に気になった2人を紹介させて下さい。
どちらも音楽愛にあふれ、常に新しいことにチャレンジし続ける2人です。
ジェイコブ・コリアー
ジェイコブは少し前にネットでもトレンドになっていたので、知っている人もいるかもしれません。
動画のようにひとりで合唱したり楽器を演奏したりして曲を完成させてしまう彼は、日本での知名度はそこまで高くはありませんが、ハービー・ハンコックやクインシー・ジョーンズとの交流があったり、過去にはグラミー賞にもノミネートされたりとかなりワールドワイドに活躍しています。
そんな彼のPatreonページには、毎月5ドルの支援をしてくれるファンが600人以上います。(2020年4月現在)
つまり彼のもとには、音楽制作やライブとは別に、毎月30万円ほどの定期収入が入ってくるというわけですね。
参考: 歌も演奏もすべて自分、ジェイコブ・コリアーとは何者か? 来日迫るニュー・タイプの音楽家がYouTube発のサクセスを語る
アマンダ・パーマー
アマンダは「ドレスデン・ドールズ」というバンドのメンバーで、過去には来日してフジロックにも出演しています。
TEDに参加したり本を出したりと、音楽以外にも多岐にわたって活躍していますね。
Patreonページでは1ドルから250ドルまでさまざまなTierがあり、ファンも15,000人ほどいるので、このサイトだけでかなりの金額を稼いでいることが予想できます。アルバムもクラウドファンディングを使って制作したようで、音楽家としてだけでなく起業家的一面も持ったおもしろい方です。
新時代のアーティストとしてどうやってファンとの関係を築いていくべきかといったことが、こちらの彼女の本を読めば、何かヒントが得られるかもしれませんよ。
Patreonで人気なのはどんなジャンル?
Patreonで人気のジャンルTOP5は、以下の通りです。
- ポッドキャスト
- 動画
- ゲーム
- コスプレ
- マンガ
1位がポッドキャストで4位にコスプレが入っているというのは、ちょっと意外ではないでしょうか。
ちなみに、6位〜10位まではすべてアダルトコンテンツです。
音楽のようにいろんな方法で収入を得ることができるジャンルと違って、アダルトコンテンツやニッチコンテンツは公にもしづらいし、どこでも稼ぐことができるわけではないので、このようなクローズドなコミュニティに人が集まるのでしょう。
日本のアニメやマンガに興味を持っている人は世界にもたくさんいるので、こういうジャンルで攻められそうな人はぜひ試してみましょう。
日本人は英語が喋れないというのは世界の共通認識なので、英語が多少苦手でも許されるかもしれませんね。
どのようなジャンルが稼げるのか知りたい人は、以下のページも参考にしてみてください。
Patreonのデメリットについて
最後に、Patreonのデメリットについていくつかみてみましょう。
- 英語が必要
- 人気のジャンルにかたよりがある
- 日本での知名度がない
一番のデメリットは、日本語対応していないことでしょうね。
日本での知名度もほとんどないため、ほとんどのアーティストは海外のファンを相手にするしかありません。
音楽ジャンルはサイト内でもある程度の人気を保っていて、わりと名のあるアーティストもPatreonを使っていたりするので、言語に関係なく世界にアピールできるスキルを持っているという人には、多少英語が苦手でもぜひ使ってみてもらいたいです。
まとめ
以上、アーティストがPatreonを活用するための基本的な方法をご紹介しました。
これからの時代、このようなツールを使ってコンスタントに稼いでいくアーティストと、従来の方法でしか稼げない貧乏アーティストに真っ二つに分かれていくような気がしています。
アーティストはこういったテクノロジーに関しても敏感にアンテナを張って、常にファンとの新しいコミュニケーション方法を模索していく必要があるでしょう。
この記事が、これからのアーティスト戦略を考えていく上でのきっかけになれば嬉しいです。