今日はカセットテープの音を再現するプラグイン、WavesFactory「Cassette」を紹介します。
・WavesFactory「Cassette」- Plugin Boutique
シンプルな見た目ですが、実は細かい部分まで設定が可能で、「アナログっぽい温かみが欲しい」「Lo-Fiサウンドを作りたい」という人にぜひ使ってみてほしいプラグイン。
今までのカセットテープ系プラグインは、いまひとつ決め手に欠ける感じでしたが、Cassetteはデザインも美しく音の種類も豊富です。
今後、このジャンルの「定番プラグイン」として認知されていくかもしれません。
ではさっそく、詳しい内容について見ていきましょう。
WavesFactory「Cassette」とは?
デベロッパーであるWavesFactoryは、エンハンサーなどの音響系プラグインや、Kontakt用サンプル音源を販売している会社です。
今回紹介するCassetteは、その名の通りカセットテープのサウンドを再現するためのプラグインで、テープの「質感」「ひずみ」「コンプ感」「ワウフラッター」などを再現することができます。
「カセットテープ」は、CDよりも前に流行った数十年前のフォーマットなので、ぶっちゃけ音質は良くありません。
んじゃ、なんでわざわざカセットテープの音を再現するの?
最近はCDやMP3などいろんなデジタル技術が登場して、音がどんどんクリアで高品質になってきています。
ところがデジタル化によって音がクリアになりすぎたため、逆に、昔ながらの懐かしいローファイサウンドを求める人が増えてきているのです。
実際、Lo-Fi Hip Hop(ローファイヒップホップ)が、若者の間でもブームになっておるんじゃよ。
サーっというノイズが入っていたり、ドラムがぐちゃっと潰れて、どこか古くさかったり…
こういった「ちょっと古くさいけどカッコいい音」を作りたいなら、Cassetteはかなり役立ってくれるでしょう。
WavesFactory「Cassette」の3つの特徴
カセットテープのプラグインはいろいろありますが、その中でもWavesFactory「Cassette」が素晴らしい理由を3つ紹介します。
歴代テープのサウンドを再現
Cassetteでは合計4つのテープから、好みのサウンドを選ぶことができます。
1960〜1980年代までのカセットテープの質感を再現していて、周波数特性, サチュレーション, ノイズの量などがそれぞれ異なっています。
細かい部分までカセットテープの調整が可能
Cassetteは一見シンプルな見た目をしていますが、実は裏設定で細かい部分まで調整することができるんです。
ここでは「サチュレーションやコンプレッションのON/OFFを切り替える」「ワウフラッターの揺れ具合を細かく調整する」「ピッチをランダムに変化させる」といった、さまざまな細かい調整が可能。
Cassetteはインプットを上げれば上げるほど、ひずみやコンプレッションが深くかかる仕組みになっているのですが、音をなるべく変化させず、純粋にテープの質感だけを得たいと言う人は、ここら辺の設定をオフにしておくと良いでしょう。
美しいデザイン
これは好みの問題かもしれませんが、単純にデザインが素晴らしいです。
メイン画面はかなりシンプルにまとめられていて、必要なら裏設定にアクセスして細かな調整ができるというミニマルな感じがとても素敵だと思いますね。
「見た目」も、プラグインを選ぶ上で大切な要素です。
WavesFactory「Cassette」はどのような場面で使えるのか?
Cassetteを使うことで、サウンドは大胆に変化します。
なので楽曲をローファイに仕上げたいという人は、ミックスの最終段階に挿して、全体の雰囲気をガラっと変化させるような使い方ができるでしょう。
やはりこういう大胆な変化が得られるテーププラグインは、ヒップホップとの相性が抜群だと思います。
ドラムに使うだけでも、70〜80年代っぽい質感が簡単に得られますよ。
ちなみに僕はテープっぽい質感をあまり強調したくないので、少しデジタル臭が強いシンセなどにかけて全体との馴染なじみを良くしたり、全体的に柔やわらかい雰囲気を作りたい時に、こういったテーププラグインを使うことが多いですね。
WavesFactory「Cassette」でカセットテープの温かみを手に入れよう! | まとめ
今までにいくつものテープ系プラグインが販売されていますが、「これだ!」という決定的なカセットテープエミュレーターが無かったように思います。
僕は以前、カセットテープの音に興味があって「Tascam Portastudio 414 mk2」というテープミキサーが気になっていた時期がありました。(結局、買ってませんが…)
けっこう有名なテープミキサーだと思うのですが、ちょうどこのWavesFactory「Cassette」の「Proモード」というのが、Tascam 414のサウンドをモデルにしているみたいですね。
古くさいサウンドながら、ローエンドからハイエンドまで割としっかり出ているので、ダンスミュージックなんかにも十分対応できるでしょう。
唯一の欠点は、マニュアルが日本語に対応していないことくらいですかね。
参考: WavesFactory「Cassette」- マニュアル
まぁ、PDF版の英語マニュアルならあるので、「DeepL翻訳」にでもつっこんで翻訳すれば、英語が読めなくても全く問題ありません。
値段もそこまで高くないので、気になった人はデモ版から試してみるとよいでしょう。
・WavesFactory「Cassette」- Plugin Boutique