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おすすめのディストーション&サチュレーションプラグイン7選

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今日は、歪み系エフェクト「ディストーション」について解説します。

ギターを弾く人にとっては馴染みのあるエフェクトだと思いますが、ディストーションはDTMでもいろんな場面で使える便利なツール。

ギターを使わない人でも、次のようなシーンでディストーションが活躍してくれます。

  • シンセやドラムをもっと攻撃的な音にしたい
  • 積極的に音作りをしたい
  • ソフト特有のデジタル臭さを消したい
  • アナログっぽい温かみのあるサウンドが欲しい
  • マスタリングに使える音を良くするプラグインが知りたい

ディストーションを使えば、音を激しく歪ませることで攻撃的なサウンドを作ったり、マスタリング段階でテープのひずみやアナログっぽい温かみを与えることができます。(この場合サチュレーションと呼ぶことが多いです。後ほど解説)

世の中にはたくさんのディストーションプラグインがありますが、今回はおすすめを7つに厳選してご紹介します。

どれも有名で、プロのアーティストやエンジニアにも愛用者が多いものばかりです。

プラグインごとにそれぞれ特徴があるので、自分の使用目的に合わせて選んでみて下さい。

そもそもディストーションって何?

ディストーションについては、こちらの記事が分かりやすいです。

参考: エレキギターの音をわざと歪ませるエフェクト「ディストーション」の歴史とは? – GIGAZINE

要は、アンプなどに音を思いっ切り入力して負荷をかけることで、その負荷が歪み音として現れるんですね。歪んだ音というと普通はあまり心地よいものではないのですが、昔の人はギターの音を歪ませるととても心地よいサウンドになることを発見しました。

そのうちアンプの歪みを再現するための専用エフェクターが登場し、さらに手軽に細かな設定ができるプラグイン版のディストーションも登場するようになったのです。

サチュレーションとは何が違うの?

「サチュレーション」はディストーションのような激しい歪みではなく、音に微妙なニュアンスを与えるためのエフェクトと考えましょう。

昔スタジオで使われていたような「テープマシン」を通すことで発生する歪み(サチュレーション)は、アナログっぽい温かみや独特なキャラクターを生み出すことができます。さらにテープマシンによる微量のノイズやコンプレッションによって、曲全体のまとまりが良くなるといった効果もあります。

なのでディストーションのように積極的な音作りに使うというよりは、マスタリングなどの最終段階で質感を調整するために使用されることが多いのが特徴です。

参考: 音楽制作におけるサチュレーションの理解を深める。- SOUNDEVOTEE.NET

この記事ではサチュレーションプラグインも多く解説していますが、サウンドの細部にまでこだわりたいという人にはとてもおすすめですよ。

また、こちらの記事でも「倍音」や「サチュレーション」を取り上げているので参考にしてみてください。

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それでは順に、おすすめのディストーション&サチュレーションプラグインをみていきましょう。

1. Fabfilter Saturn 2

EQプラグイン「Pro-Q」でおなじみのFabfilterからリリースされている「Saturn 2」です。

いきなり高機能なプラグインですが、このSaturn 2はマルチバンドディストーションになっているので、自分の好きな帯域のみに歪みエフェクトを与えることができます。

さらには帯域のクロスオーバーやいろんなパラメーターに「モジュレーション」をかけることでサウンドに動きを与えたり、サチュレーションのような微妙なニュアンスを与えることもできるという超万能ディストーションプラグインなんです。

プリセットも豊富なので、初めてのディストーションとしてもおすすめですよ。

Fabfilter「Saturn 2」- Plugin Boutique

2. iZotope Trash2

iZotopeといえばAIマスタリングソフト「Ozone」が有名ですね。

「Trash2」はFabfilter Saturnよりも荒々しく攻撃的なイメージで、積極的に原音を変化させたいという人にはうってつけのディストーションプラグインです。

Saturnと同じくマルチバンドで歪みを与えることができる上、その他の細かい設定も可能。こちらのプロダクション動画では、実際に「Eelke Klein」というハウスアーティストがTrash2をシンセに使っている様子をみることができます。

Trash2 / iZotope – Plugin Boutique

3. Soundtoys Decapitator

「Decapitator」は、Soundtoysからリリースされているかなり有名なサチュレーションプラグインです。

5つのビンテージ機材の回路を再現しており、シンプルなインターフェースから手軽にアナログらしい歪みサウンドを得ることができます。この動画ではドラムに使用していますね。

このプラグインはサチュレーションですが、マスターに挿すというよりはシンセやドラムに挿して積極的な音作りをするのに向いています。

僕も普段からよく使っているプラグインで、過去の記事でも紹介しているので、より詳しいレビューが見たい人はこちらもチェックしてみて下さい。

参考: Soundtoys 「Decapitator」の特徴と使い方を解説!! 愛用している著名アーティストは? – スタジオ翁

Decapitator / Soundtoys – Plugin Boutique

4. PSP Vintage Warmer

ここからは、マスタリング用途でも使えるサチュレーションプラグインの紹介です。

「PSP Vintage Warmer」は、アナログらしい温かみを与えつつ曲全体の音圧を上げられるプラグインとして、一時期大流行しました。

ちょっと音圧が足りないなというシンセなどの楽器パートに、単独で挿して使うといった方法もおすすめです。

PSP Audioware「Vintage Warmer 2」- 公式ページ

5. Vertigo VSM-3

最近、僕がよく使っている高機能なサチュレーションプラグインです。

あるアーティスト/エンジニアがマスタリングで使っていたのですが、マスタリングのような繊細な作業でも使えるし、ミキシング段階で派手に音を潰すこともできるので使い勝手がよく重宝しています。

最近のPlugin Allianceは、本当に良い製品を次々に出していて好印象ですね。

これは実機をもとにしたプラグインなのですが、実機の音がとても気になります・・・

Vertigo「VSM-3」- Plugin Alliance

参考: Vertigo「VSM-3」| 音づくりからマスタリングまで使える便利なサチュレーションプラグイン – スタジオ翁

6. Oxford Inflator

「Inflator」は、自然に全体の音圧を上げることのできる「魔法のプラグイン」として有名ですね。

かなり前からある定番サチュレーションプラグインで、挿すだけで音が良くなるチートプラグインだという評判もあるくらいです。アコギなんかにも挿してサクッと調整するだけで、明瞭度が上がって「いい音」になります。

昔は価格も高く手が出にくいプラグインだったのですが、最近は半額セールなども結構な頻度で行っているので、セールを狙って買ってみるのもよいでしょう。

Oxford Inflator V3 / Sonnox – Plugin Boutique

7. UAD AMPEX ATR-102

これはマスタリング用のプラグインです。

実際のテープマシンを再現していて、テープのノイズやコンプレッションなどが再現されています。UADプラグインなので高価ですが、あらゆるアーティストやエンジニアが絶賛していることもあってなかなか良いプラグインだと思います。

スターに挿すと、アナログ感のあるマスタリング後のような音になりますね。

本当に信頼できるマスタリング用のサチュレーションプラグインが欲しいという人は、ぜひ検討してみて下さい。

Ampex「ATR-102」- UAD

おすすめのディストーション(サチュレーション)プラグイン7選 | まとめ

今回は音を大胆に変化させて積極的な音作りを行うディストーションから、マスタリングなどの最終仕上げで使えるサチュレーションまでいろんなプラグインをご紹介しました。

サチュレーションはEQの代わりに使って、音のカドをとったり低域を強調したりといったことにも使えます。

EQ処理でうまく楽曲に馴染まなくても、ちょっと歪みを与えて丸くしてあげるとフィットすることもあるんですよね。

今日紹介したプラグインはそれぞれ用途によって使い方も変わってくるので、自分が「歪み」によって得たい効果を明確にしてプラグインを選ぶようにしましょう。

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?