今回は、いろんなDAWがある中でもAbleton Liveだけの特徴である「Max for Live」について触れていきましょう。
Max for Liveは、Cycling ’74というメーカーと共同開発された開発環境のことで、今までの講座でみてきた「インストゥルメント」「オーディオエフェクト」「MIDIエフェクト」といったものを、ユーザー自身が制作することができます。
とっつきにくそうなMax for Liveですが、誰かが作ったプラグイン使うだけなら難しいプログラミングの知識も全く必要なく、世界中の開発者が自作した多くのプラグインを無料で利用することができたりします。
本日のゴールはこちら。
・Max for Liveの基礎を理解する
・Max for Liveでできることを知る
では、早速詳しい内容を見ていくことにしましょう🙃
Max for Liveとは?
Iota – Max for Live Granular Looper
参考: Max for Live – Ableton.com
Max for Liveは冒頭で紹介したように、ユーザーがプログラミングによって自由にプラグインを作ることのできる開発環境のことです。
これによってオリジナルのシンセやエフェクトが作れるだけでなく、外部のハードウェアなどをコントロールしたり、音と映像を組み合わせたりするといったことも可能になります。
そして今までは、このMax for Liveを別途インストールする必要があったのですが、Ableton Live 10になってMax for Liveと完全統合しました。
Ableton Live 10をインストールすればすぐにMax for Liveが使えるようになり、CPU負荷も低くなって高速化したことで、さらにMax for Liveを使う魅力が増しましたね。
Max for Liveは「Suite」でのみ使える
Ableton Liveには、
・Intro
・Standard
・Suite
という3種類のエディションが用意されています。
Max for Liveは、この中でも最上位版である「Suite」でしか使えません。
「Intro」や「Standard」ではMax for Liveだけでなく、使えないインストゥルメントやエフェクトなども多くあるので、Ableton Liveを最大限に活用しようとすると、やっぱり「Suite」の購入は必須だと思いますね。
映像や外部ハードウェアとの連携も可能
Max for Live Connection Kit
Max for Liveを使えば、この動画のようにあらゆるデバイスをコントロールすることもできます。
他にも、
このようなセンサーやロボットなどと組み合わせてサウンドを作成したり、応用は無限大です。
中には、リアルタイムツイートと連動させる方法を紹介したりと、ユニークなアイデアを公表している人がたくさんいますね。
Using the Twitter Stream API with Max/MSP and Python
こういったメディアアート的なテクノロジーの利用に興味がある人にとっては、かなり価値の高いツールだと思います。
プログラミングスキルは必要なの?
How to Build a Max for Live Device: Part 1 – Introduction
Max for Liveの開発ツールでは、上の動画のようにあらかじめ用意されたモジュールをドラッグ&ドロップで組み合わせたりすることが多いので、例えばソフトウェアエンジニアなどが使っている、文字や数字だらけの複雑なプログラミング言語を使うといったスキルは必要ありません。
もしインストゥルメントやエフェクトの開発に興味がないという人でも、Max for Liveのコミュニティに行けば多くのプラグインを無料でダウンロードすることができますし、Abletonの公式サイトでも有料の高品質なMaxプラグインがダウンロードできるので、こういったプラグインを使って制作の幅を一気に広げることができるようになりますよ。
実際、僕もプログラミングには興味がありませんが、Maxのプラグインはたくさん使わせてもらっています。
Max for Liveのおすすめプラグイン5選
ここからは、Max for Liveのおすすめプラグインを5つ紹介していきます。
1. Granulator II (Free)
Max for Live: The Monolake Granulator
「GranulatorⅡ」は、モジュレーションやエンベロープシェイパーなどを使ってサンプルを加工し、新たなサウンドを作り出すグラニュラー合成エフェクトです。
パッドなどのアンビエントサウンドを作るのに適しています。
2. Euclidean Sequencer (€10)
Euclidean sequencer for max for live
ユークリッドリズムを比較的簡単に作り出せるのが、この「Euclidean Sequencer」です。
有料ですが、いろいろあるシーケンサーの中でも使い勝手がよく1,000円程度で購入できるので、楽曲にユークリッドリズムを取り入れてみたい人におすすめです。
参考: 【音楽理論】ユークリッドリズムをつかって音楽に不思議な魅力を生み出す方法 – スタジオ翁
3. Schwarzonator II (Free)
Henrik Schwarz on the Schwarzonator (Max for Live)
音楽理論が苦手という人は、Henrik Schwarzによって制作された「SchawarzonatorⅡ」を使ってみることをおすすめします。
彼自身はプロデューサー/DJですが、オーケストラと共演したりしているにも関わらずピアノなどの教育を受けたことがないそうです。
彼のように理論には詳しくないけど、良いメロディが作りたいといった人に、ぜひ使ってみてもらいたいプラグインです。
4. Ganz Graf Mod X (Free)
Gantz Graf Mod Max for Live
「Ganz Graf Mod X」は、音楽に合わせて映像を自動で生成してくれます。
いくつかのパラメーターをいじることによって、いろんな映像のパターンが作れるので、簡単なVJなどにも向いています。
5. Volume Compensator (free)
Make Better Production Decisions with Gain Compensation
これは、エフェクトプラグインの前後の音量を整えてくれるプラグインです。
例えば、コンプを入れて音が良くなったように感じていても、それは単にコンプを挿したことによって音量が上がっただけだった、という場合が結構あったりします。
この「Volume Compensator」をエフェクトプラグインの前後に挟めば、エフェクト後の音量をエフェクトがかかる前の音量に揃えてくれるので、純粋なエフェクトの効果がわかるというわけです。
単なるボリュームメーターではなく、「RMS」という人間の聴感と比較的近いと言われているメーターの数値を基準に音を揃えてくれるので、とても便利です。
今日のまとめ
今日はMax for Liveのいろんな魅力について見てきましたが、最上位版の「Suite」以外を買ってしまったという人もいると思います。
ただ、どのエディションを買っても、後から「Suite」にアップグレードできるので、そこは全く問題ありません。
むしろ「Suite」は初心者にはかなり高い買い物だと思うので、「Intro」や「Standard」で様子を見て、この先ずっと使っていけそうだなと手応えを感じてから購入しても決して遅くはないでしょう。
もしこの先興味がでてきたら、ぜひデモバージョンからでも試してみて下さいね😃
次の最終回は、「ミックスダウン」について紹介していきますよ\(^o^)/
それではまた次回。