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「アナログシンセ」と「ソフトシンセ」初心者はどっちを買うべき?

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シンセを購入したいんだけど、「アナログシンセ」と「ソフトシンセ」どっちを選べばいいんだろう…

今日はこんな疑問に答えます!

アナログシンセの方が音が太いとか、ソフトシンセの方が安くて便利とかいろいろ言われていますが、これは自分が何を重視するかによって変わってくるので難しいところ・・・

「どちらが正解」ということはなく、プロのアーティストでもソフトシンセ中心に作曲する人もいれば、アナログ機材を中心に作曲する人もいるのが現状です。

この記事では、「アナログ派」と「ソフト派」の両者のメリットやデメリットを考えつつ、あなたに合ったスタイルを見つけるお手伝いをしていこうと思います。

まずは、アナログシンセから見ていきましょう。

アナログシンセの特徴

アナログシンセは高価なので手が出しにくいですが、音楽制作を続けていくとどうしても気になってくる機材だと思います。

お金に余裕があるなら、一度は自分の手で触ってみて、アナログの魅力を知っておくのもよいかもしれませんね。

まずは、そんなアナログシンセのメリットから見ていきます。

メリット

アナログシンセのメリットは、主に以下の3つです。

  • ソフトシンセでは再現できないサウンド
  • ツマミをいじって音をつくれる
  • 作曲のアイデアが浮かびやすい

ソフトシンセが最近かなりの進化を遂げているといっても、やはりまだまだアナログシンセにしか出せないサウンドというのは存在します。

ただ、ソフトシンセをうまく使えばかなり近いサウンドまで持っていくことができるのも事実です。

2つ目の「ツマミをいじって音作りができる」という点は、指先を動かしたり、見慣れたパソコンの画面から離れて音作りができるということから、「アイデアが浮かびやすくなる」というメリットにもつながります。

「指は第二の脳」と言われるように、指先を使うことは脳を活発にしてくれるので、実際に指先を動かして作業をすることで、いつもと違ったアイデアが出てくることもあります。

ずっと座ってパソコンの前でマウスを操作しているのは、身体にも悪いですからね。

デメリット

アナログシンセのデメリットは以下の3つです。

  • 値段が高い
  • プリセットが保存できない(ものがある)、プリセットの数が少ない
  • 壊れる

アナログシンセのデメリットはやはり「値段の高さ」でしょう。

ソフトシンセのようにデモ版で試すこともできないので、買ってから後悔してしまうこともしばしば・・・

しかしアナログシンセは安く買う方法がいくつかあるので、気になっている人はこちらの記事でその方法を知っておくと良いでしょう。

2つ目の「壊れることがある」はビンテージものによくあるのですが、キーボードが壊れたり故障して音が出なくなることがあります。

さすがに新品で購入したものは何年も故障せず使うことができますが、それでもやはり故障などのリスクはありますね。

3つ目の「プリセットが保存できない」というのも、古いアナログシンセに多いのですが、これは逆に「自分の音作りに集中できる」「いったん録音すると音色が後から変更できないので、作曲に迷いがなくなる」といったメリットにもなり得ます。

アナログシンセに手を出す人が、あえてプリセットのないシンセを選ぶのにはこういった理由もあるのです。

ソフトシンセの特徴

次は、ソフトシンセについて見ていきましょう。

ソフトシンセは値段的にも初心者が手を出しやすく、音質も近年かなり良くなってきているので、多くのアーティストが使っています。

メリットとデメリットをしっかり理解して、購入を検討しましょう。

メリット

ソフトシンセのメリットは以下の3つです。

  • 安い
  • プリセットが豊富
  • 細かい設定ができる

ソフトシンセの魅力は「とにかく安い」ということ。

一般的にプリセットもアナログシンセより豊富で、リバーブやディレイ, コーラスなどの基本的なエフェクトがついているものが数多くあります。

実際のアナログシンセを再現したモデルも販売されていますが、ソフトシンセ版だと実機にはない機能も追加されていて、より細かい調整ができるものが多いですね。

音質面でも、u-he「Re-pro1」やSpectrasonics「Omnisphere」など質の高いソフトシンセを使えば、パソコンへの負荷は高いですが、ハードシンセに匹敵するほどの素晴らしい音が出ます。

とにかくお得感いっぱいなのが、ソフトシンセの大きな魅力です。

デメリット

続いて、ソフトシンセのデメリットです。

  • ソフトシンセでは再現できない音がある
  • マウス作業による疲れ、クリエイティビティの低下
  • 設定項目やプリセットが膨大すぎる

アナログシンセ並に音が良いソフトシンセものもたくさんありますが、ビンテージ系アナログシンセや数十万円クラスの音は、ソフトシンセではなかなか再現しきれないのが現状です。

ソフトシンセを多用しているアーティストも、プラグインを使ってアナログ味を与えているという人は多いですね。

アナログシンセが欲しいけど、金銭面から仕方なくソフトシンセを使っているという人は、このようにプラグインなどを使ってアナログ感を出す方法もあるので、気になる人は見てみてください。

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あとソフトシンセはアイデア面で、アナログシンセより不利な場合がありますね。

あまりこの部分は気にならないという人もいますが、細かい部分まで設定できたりプリセットが山のようにあるというメリットのせいで、逆に作曲に迷いが出たりなかなか完成にまで至らないことも・・・

アナログシンセのメリットのところで挙げた、手や指先を動かすことで活発なアイデアが得られるというメリットも、ソフトシンセでは味わいにくいです。

結局アナログシンセとソフトシンセのどちらを選ぶべきなのか?

ここまでアナログシンセとソフトシンセの特徴を見てきましたが、「結局どちらを選べばいいの?」という人のために、結論をまとめておきました。

参考にしてみてください。

アナログシンセを選ぶべき人

まず、アナログシンセを選ぶべき人は、こんな人です。

  • 音にこだわる人
  • 音楽をつくる喜びを味わいたい人
  • パソコンばかり見て音楽をつくるのがイヤな人

順に見ていきましょう。

音にこだわる人

「とにかく自分の納得できるいい音が欲しい!」という人は、アナログシンセを購入しましょう。

「MS-20」「SH-101」といったビンテージ系の名シンセや、「Jupitar-Xm」「Subsequent 37」などの現代的なシンセはとてもいい音色を出してくれるのでおすすめですね。

音楽をつくる楽しみを味わいたい人

ノブやフェーダーをいじって音作りをすると作曲のアイデアが湧きやすくなりますし、何より音楽を作るのが楽しくなります。

作っていて楽しいと、音楽制作も長続きしやすいですね。

作曲は地味で短調な作業が多いので、こういった部分も重要だったりします。

パソコンばかり見て音楽をつくるのがイヤな人

ひたすらパソコンを見てマウスを動かす作業は、想像以上に疲れるもの。

これはプラグインばかりで音楽を作っているとわかりますが、けっこう重要なポイントです。

ソフトシンセを選ぶべき人

続いて、ソフトシンセを選ぶべきなのはこんな人です。

  • 主にシンセのプリセットで音楽を作っている人
  • とにかく安く済ませたい人
  • いろんなタイプのシンセが欲しい人

こちらも順にみていきます。

主にシンセのプリセットで音楽を作っている人

アナログシンセはツマミやフェーダーを使っての音作りがしやすいですが、ソフトシンセに内蔵されている膨大なプリセットから音楽をつくるなら、アナログシンセを買う必要はないかもしれません。

プリセットなら、ソフトシンセのほうが豊富ですからね。

とにかく安く済ませたい人

ソフトシンセはとにかく安いです!

そして製品さえ間違わなければ、音も素晴らしい。

おすすめのソフトシンセは、この記事を参考にしてみてください。

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音楽にそれほどお金をかけられないという人は、まずソフトシンセから始めると良いでしょう。

いろんなタイプのシンセが欲しい人

アナログシンセだと値段が高い上、特定のサウンドに特化した製品も多いです。

ソフトシンセは一台でたくさんの名アナログシンセを再現していたり、さまざまなジャンルの音を出せるものが多いので、いろんなタイプのサウンドやシンセの質感を求める人にはぴったりです。

アナログシンセより遥かに安いので、いろいろ買って楽しむこともできますね。

「アナログシンセ」と「ソフトシンセ」初心者はどっちを買うべき? | まとめ

僕も音楽を作り始めたころは、「ソフトシンセの方が安いし音もいいからこれで十分!」と、ソフトを買いまくっていました。

ところが最近は、「やっぱりアナログは音がいいし、触ってて楽しいな」とアナログ機材をいろいろあさっています。

どちらを使っても、結局いい作品を作るのは道具ではなくアーティストの感性です。

道具選びに没頭しすぎて、本来の「音楽をつくる」という目的を見失わないよう気をつけましょう。

この記事が、みなさんの参考になれば嬉しいです。

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この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?