本日から「GEAR SUNDAY」と称して、様々な海外アーティストの使用機材やスタジオに迫った海外記事や動画をご紹介していく新連載をはじめます。
あの有名アーティストはどんな機材を使っているのか、どんなスタジオで音楽制作をしているのか気になりますよね。
「Equipboard」でも各アーティストの機材を見ることができますが、このサイトには載っていないものも数多くあります。
僕は普段からアーティストのインタビュー記事や動画をよく見るのですが日本語の情報がほとんど無いので、海外記事や動画の簡単な説明, 気になったポイントなどをご紹介していきたいと思います。
それでは第一弾は、浮遊感やトランス感漂う幻想的なメロディを使った楽曲制作を得意とする、クロアチア出身のテクノアーティスト「Petar Dundov」です。
Petar Dundovのスタジオ機材に迫る
このおよそ1時間半ほどのライブセットを観てみると、彼がプレイする楽曲にはどれも浮遊感やトランス感などの「彼らしさ」があることが分かるでしょう。
この特徴的なメロディはどこからきているのか。
いろいろ見ていると、彼のスタジオギアをふんだんに紹介している記事がありました。
Petar Dundov is Totally Obsessed with Analogue Gear
記事タイトルは「アナログギアはPetar Dundovの心をつかんで離さない」といった感じでしょうか。
タイトルからも分かる通り、彼はアナログギアでの制作をメインにしているようです。
Petar Dundovの音を決定付けるビンテージシンセ「Roland System-100」とは
Most lead sounds in my tracks comes from Roland System 100.
インタビューの一文です。
「ほとんどのリードサウンドは、RolandのSystem-100で作っているよ」
System-100は、なんと1975年に発売されたシンセサイザーです。
先日原宿のビンテージ機材ショップ「Five G」で見かけましたが、フルセットで698,000円でした。笑
ヤフオクだと安くで入手できますが、かなり古い機材なのでちゃんとメンテナンスされたものを使いたいですね。
「そんな高いの買えないよ」という方には、お手頃な値段のシンセが販売されています。
実はRolandは、「System-1」というシンセでSystem-100を再現しているんです。
これは2014年に発売されたシンセで、「System-100」の他に「SH-101」などの名機もハードウェア上で再現できるPlug-Outという機能を搭載しています。
中古なら3万円ほどで購入が可能で、僕も試してみたことがあります。
デザインのダサさは少し気になりましたが、なかなかいい音が出ていました。
これだけ古いシンセの音色を完全に再現することは不可能でしょうが、本家であるRolandが開発し販売しているということで、クオリティに関してはある程度信頼できるのではないでしょうか。
ビンテージシンセが豊富なPetar Dundovのスタジオ
「System-100」の他にも彼のスタジオにはビンテージシンセやドラムマシンなどが豊富にあります。
中でも「Roland Jupitar-4」と「Prophet 600」はお気に入りのポリフォニックシンセのようで、これらはSystem-100ほどは高くないものの日本で購入しようと思うと10万円は軽く超えてきます。
音色はいかにもビンテージシンセって感じの、古くて味のあるサウンドですね。
ハードウェアのデジタルシンセは「JD-990」や「TG77」を使用しています。
両者ともいろんな音色が入った音源モジュールですが、Petar Dundovは主にパッドとして使用しているようです。彼のつくる独特な浮遊感は、このふたつの音源モジュールが生み出すパッドサウンドから来ているのかもしれません。
アルバムのすべての曲を贅沢に解説した良記事
こちらのPetar Dundovによるアルバム「AT THE TURN OF EQUILIBRIUM」の全曲の制作工程を、使用した機材などもふまえて贅沢に解説している記事がAttack Magazineに載っていました。
Petar Dundov breaks down the creation of his new full-length release.
コードやメロディにはどんな機材を使用したのか、どういうプロセスで制作を進めていったのかが具体的に書かれています。
すべてを翻訳することはできませんが、曲ごとに使用機材や制作方法などの詳細が載っているので気になる方は一読してみることをオススメします。
中にはユークリッドリズムという特殊なリズムを利用した楽曲の解説やその方法論などが書かれていて、4/4のリズムに飽きてしまったという方にはとても興味深い内容だと思います。
こちら記事にもしていますので、気になる方はぜひご覧ください。
まとめ
これほど制作機材について解説しているアーティストインタビューは少ないです。
彼のトラックのように浮遊感のあるトランス系テクノを作りたいという方は、ぜひ参考にしてみましょう。