Universal Audio「Verve Analog Machines」を試してみた

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今回、ユニバーサルオーディオ様に製品を提供いただき、この記事を書いています。

アナログモデリングの老舗であるUniversal Audioが、現代的なシンプルなノブコントロールを備えたアナログモデリングプラグインをリリースしました。

Verve Analog Machines – Plugin Boutique

Universal Audioといえば、1176LA-2Aなどの超超超有名な世界中のエンジニア御用達のアナログ機材を作っている会社ですが、アナログモデリングプラグインの精度もかなり高く、この分野のパイオニアとも呼ぶべき存在です。

ここ最近のプラグインのトレンドは、複雑なパラメーターを使って、最高級の音を作り上げる製品ではなく、親しみやすいビジュアルとシンプルなパラメーターを要し、かつ音が良い、という製品に移り変わりつつあります。例えばBaby Audioはシンプルで親しみやすいユーザインターフェースを持ちながらも、AIを駆使したリアルなアナログサウンドを提供し、人気を博していますね。

今回登場したUniversal AudioのVerveも、見た目の可愛らしさとシンプルな操作性だけではなく、これまでUniversal Audioが培ってきたアナログモデリングの技術をふんだんに取り入れた製品となっています。

Verveの特徴

Verveには、エッセンシャルとプレミアムの2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

  • Essential – 4つのユニークなマシン 細心の注意を払って作られた4つのテープ・マシンの独特の暖かみとキャラクター
  • Premium – 10種類の特徴的なマシン アナログ・テープのクラシックな暖かさから、象徴的な真空管やトランジスタの豊かなハーモニクスまで再現

エッセンシャルは4つのテープマシンに、シンプルなドライブパラメーターのみで構成されています。プレミアムはエッセンシャルに加えて、6つのアナログが追加され、合計10個のテープマシンや真空管トランジスタの音色を付与することができます。

10種類もあるとどのマシンを使えばいいのか迷ってしまうかもしれませんが、ドラム、キーボード、ギター、ベース等のプリセットが内蔵されているので、アナログテープや真空管に関する知識がない人でも、それらを参考に適切なマシンを選ぶことができます。

Verveを使ってみた感想

実際に使ってみた感想としては、以下の2点が挙げられます。

  1. ノブを回すだけで、アナログの歪みを誰でも簡単に得られる
  2. マシンによって変化が大きく異なるので、適切に使い分けることが重要

基本的に1つのマシンに対してパラメーターが2つしかないため、操作はかなりシンプルです。1つはドライブノブ、もう一つは音の揺れを調整する「Warble」または音の質感を調整する「Tone」になります。

ドライブノブを回すだけでその機材独特の質感が得られ、あまりにシンプルな操作でアナログマシンの歪みが得られることに驚きました。操作がシンプルなので誰でも簡単に使うことができますが、1つだけ注意することがあります。

それが「マシンによって変化が大きく異なるので、それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けるのが重要」ということです。

実際にドラムループに様々なマシンを試してみたのですが、音質の変化がかなりあったので、Plugin Doctorでどのくらい周波数特性が変化しているのかを調べてみました。

Universal Audio Verve Analog Machines

これはドライブノブを全くあげずに、マシンを挿しただけの状態ですが、挿すだけで周波数特性が大きく変化しているのがわかります。

この変化に気づかず使っていると、「知らない間に、原音と比べて音が大きく変化していた」ということもあり得るので、PluginDoctorで周波数特性を調べるか、この画像を参考にしていただき、周波数の特性をしっかり理解して使うようにすると良いと思います。

Universal Audioの過去の製品との違い

これまで、Universal Audioが出してきたプラグインはプロのエンジニアがスタジオで使っていた機材をそのままモデリングしていたので、音楽制作を始めたばかりのユーザーにとっては使いにくいものだったと思います。

現にコンプレッサー1つとってもスレッショルドがなく、InputとOutputでコンプのかかり具合を調整するような機材(1176)だったり、1から6までの番号を選ぶことでアタック/リリースを調整するような機材(Fairchild)だったりと、実際にモデリングされたアナログ機材に忠実に作られている分、素人が初見で使うのが難しく、マニュアルを読まないと理解できないプラグインも多くありました。

今回リリースされたVerveは、そんな障壁をとっぱらいつつも、初心者から上級者まで使える品質の高いプラグインに仕上がっていると思います。

Universal Audioの過去の製品と比較すると、より直感的に操作でき、アナログサウンドを手軽に導入できるようになっています。

一方で、各マシンの特徴を理解して使い分ける必要があるなど、奥深さも兼ね備えています。

おわりに

Verveはテープや真空管の歪みを手軽に手に入れたい人におすすめのプラグインです。特にヒップホップやダンスミュージックを作っている人に適していますが、ロックやポップスなど、様々なジャンルで活用できる汎用性の高いプラグインだと思います。

Universal Audioならではの高品質なアナログモデリングを、誰でも簡単に扱えるようにしたVerve。

アナログモデリングプラグインは操作が難しくあまり使っていなかった人、アナログモデリングを使ってみたかったけど今まで敬遠していた人は、ぜひ試してみてはいかがでしょう。

Verve Analog Machines – Plugin Boutique

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