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DJはなぜレコードをかけるのか -レコードを使う意味とその音質について-

世の中には、いろんなスタイルのDJがいますよね。

・パソコンを使ってDJをするPCDJ

・CDやUSBを使うDJ

・レコードのみを使うDJ

・いろんな機材を駆使するハイブリットDJ

・カセットのみを使うDJ

昔はレコードが主流だったので、DJはレコード屋へ行っては音源を買ってクラブやイベントでプレイしていました。

現代では楽曲の大半はインターネットで購入できますし、レコードのように傷がついたりノイズが入って音質が劣化することもなく、イベントに行くたびに重たいレコードバッグを持ち運ぶこともありません。

ではデータやCDのような便利なものが世の中にあるにもかかわらず、未だにレコードを使うDJが存在しているのはなぜなのでしょうか?

今日はレコードが未だに多くのDJに愛される理由や、その音質面などについてお話しようと思います。

DJがなぜレコードをかけるのか – その5つの理由

こちらが、「DJがレコードをかける5つの理由」です。

1. 深みのあるアナログサウンド

2. DJする楽しみ

3. 常に変化するテンポ

4. レコードでしか販売していない曲がある

5. 言葉では言い表せない何か

これらはすべてデータでにはない、レコードだけの特徴です。

それでは、順にみていきましょう。

深みのあるサウンド

レコードの音はデータと比べると、なぜだかサウンドに深みを感じます。

なぜ同じ曲でも、レコードとデータではこれほど違いがでるのでしょうか?

レコードにデジタル音源では出せない独特の味があるのは、データ音源が0と1で構成される「離散的」な音であるのに対し、アナログ音源は切れ目のない「連続的」な音であることが大きな理由です。

娘
急に難しい話になっちゃったよ…
翁
デジタル時計とアナログ時計を考えると分かりやすいぞ。

例えば、デジタル時計は10:00から10:01に変わる時、一瞬で数字が変化しますよね。その境目は、はっきりしていて離散的です。

一方、アナログ時計は針が連続的に動いているので、10:00と10:01に明確な境目がありません。

デジタルの世界はその特性上、不必要な部分を排除しているので、時計でいうとコンマ何秒などという細かい部分が表示されません。

同じように現実世界の音というのは切れ目のない連続的なものであるのに、デジタルの世界の基準である0か1かに無理やり当てはめることによって、細かい音の再現性が失われているのです

アナログレコードを使うDJは、この「音」にこだわりを持ってプレイしているということがひとつ挙げられます。

DJする楽しみ

レコードはデータのように、何小節目のこの部分に印をつけておきそこから再生する波形をみて曲の展開を把握できる自動で曲のテンポを解析して合わせてくれるというような機能がありません。

2つの異なる楽曲をうまくミックスできるかどうかは、完全にDJの腕次第です。

時にはギャラをもらってプレイしているとは思えないような、とんでもない失敗を犯すDJもいます。

データでDJするならならそんなミスも減るでしょうが、それでもレコードを使います。

うまく繋げられた時は爽快ですし、そこにDJの楽しさがあるんですね。

(金もらってるんなら、そんなミスしないでくれよ…と思うことも多々ありますが)

常に変化するテンポ

レコードプレイヤーは再生中、常にテンポが変わっています。

針にほこりがついていれば一瞬レコードの回転が遅れるでしょうし、ターンテーブルの精度によってもそのズレ具合は変わってきます。

これはミックスする上でかなりのデメリットで、レコードでのミックスをさらに難しくしている要因でもあります。

データならテンポは常に一定で、変わることはありません。

ただ、このズレがフロアのお客さんを飽きさせない一因になっていることもありますし、「アナログらしさ」「人間味がある」という意見もあります。

レコードでしか販売していない曲がある

単純にデータでは販売していないという場合もあります。

レコードのみで販売しているというのは珍しいことではなく、昨今のレコードブームもありいまだにデータでのリリースをしない、もしくはかなり時期を送らせてデータでの販売を行うレーベルもあります。

あとレコードはデータのように、誰でも容易にリリース出来るわけではありません。

物理的なフォーマットなので、レコード本体やカッティング、流通にお金がかかります。採算のとれそうにない低レベルの楽曲は販売できないわけです。

なのでレコードでリリースされるような曲は、ある程度クオリティの面でも保証されているということが言えるかもしれません。

言葉では言い表せない何か

アナログの良さというのは言葉では言い表せないもの、もしくはまだ解明されていない非科学的な何かがあるのかもしれない。

そう感じさせてくれる実験を、とある著名DJが行っていました。

クラブで同じ曲のデータ版とレコード版をかけてお客さんの反応を見るという実験で、レコードでかけた時の方がお客さんが踊っていた、またはフロアに残っていた。

これは時間帯だとか、他の要因によってたまたま起きたことなのかもしれませんが、もしかしたらレコードの魔法があるのかもしれないというお話です。

クラブにおけるレコードの音質

クラブでレコードをプレイすると、どうなるのでしょう。

まずクラブというのは低音が鳴り響いていますので、少なからずその音をターンテーブルの針先が拾っています。

つまり一度再生した音を、もう一度拾っているということですね

それがひどくなるとハウリング(フィードバック)と呼ばれる現象がおき、低音がやたらブオンブオン鳴り響くことになります。

そこらへんはクラブで対策がされている場合がほとんどですが、DJが持ちこんだ針を使用すると低音が強調されていて、いつもはしないはずのハウリングが起こるということは稀にあります。

ハウリングは基本的に設備や準備の段階で、ソルボセインなどの吸音ゴムを使用して取り除くのが基本ですが、本番直前または本番中に起こってしまうとエンジニアがEQで切るしか方法がありません

EQの使用はわずかでも位相や音のバランスを崩してしまうので、音質の劣化に繋がる一因になります。

参考: 【体験談】ハウリング対策は世界標準の「Isonoe Isolation Feet」がおすすめ – レコードプレーヤーのハウリングの原因と対策を考えてみる – スタジオ翁

つまり大きなクラブになればなるほど、本来のレコードの魅力を引き出すのは難しいので、一概にレコードは音質が良いといえない部分もあります。

 

一方レコードのメリットは、データと比べて角がとれた丸い音、よく言えば暖みのあるアナログなサウンドと音の深みにあります。

レコードの音が好きな人もいるでしょうし、物足りない人もいるでしょう。

レコードでのプレイはプレイヤーや針、音響システム、あとは曲のジャンルによってずいぶん音質が変わってくるので、レコードでのプレイが向いている場所もあれば向いていない場所もあります。

レコードの音質というのは環境に大きく左右されるため、一概に音が良い悪いということは言えないんですね。

DJはリハーサルで音をチェックしてから、レコードをプレイするかどうか判断するのが良いでしょう。

レコードよりデータが優れている5つの理由

データをUSBに入れてCDJなどでプレイするのが現代DJの基本スタイルですが、データでのDJプレイは具体的に何が優れているのでしょうか?

5つの理由を挙げてみました。

・安い

・購入が簡単

・管理や持ち運びが簡単

・DJするのが簡単

・音質が劣化しない

これも順に見ていきましょう。

安い

レコードは、制作から流通の段階で多くの費用がかかります。

先程も言ったようにレコード本体の費用、マスタリングエンジニア、流通業者、レコード屋など多くの中間業者が入る分、値段は必然的に高くなります。

データならネットで誰でも購入できるので、流通業者やレコード屋も必要なく価格が抑えられます。

マスタリングひとつとってもレコードのマスタリング方法は特殊なので、専門のエンジニアでないと出来ませんが、データで販売するなら制作者みずからがマスタリングをすることもできるので、その分リリースの費用を抑えることもできます。

購入が簡単

データなら、楽曲をわざわざレコード屋に買いに行く必要はありません。

パソコンさえあれば、好きな時間に好きなだけ購入できます。

最近はBandcampが盛り上がっていて、個人で簡単に楽曲を販売できるようになりましたね。

参考: Bandcampの使い方とそのメリット – 大手ダウンロードサイトBeatportとの違いとは – スタジオ翁

管理や持ち運びが簡単

ひと昔前のDJなら、レコードバッグを山のように現場に持っていくというのが当たり前だったでしょう。

今はUSB一本がポケットに入っていれば、現場でプレイすることが可能です。

管理もパソコンで行えるので、この部分から再生したいというポイントを打つこともできますし、プレイリストの作成も簡単です。

DJするのが簡単

DJ中は波形が見れるので、どこからブレイクに入るのか、あと何秒で曲が終わるかということも分かります。

曲が終わりそうなら、ループして曲を無理やり引き延ばすこともできますし、オートシンク機能で曲のテンポを自動で合わせれば簡単にミックスができます

ミックスが得意でなくてもDJができてしまうのは、このような便利な機能のおかげですね。

音質が劣化しない

レコードは持ち運んだりプレイする回数が増えると、盤面が汚れてノイズが入ったり音が劣化してきます。

CDも同様の理由で劣化してしまいますが、データなら年月が経っても音質が変わることはありません。

DJがクラブでレコードをプレイするときに気をつけるべき事とは

レコードの鳴りは、環境に大きく左右されます。

なのでリハーサルが可能な場所なら、なるべく本番前のリハーサルに参加するようにしましょう。

レコードがどのような鳴りをするのか、自分で針を持ち込むなら自前の針かお店の針ではどちらの方が環境に合っているのか、データと併用してDJするならレコードの音質とはどのように違うのかなどデータより繊細な分、気にすべきことはたくさんあります。

レコードはデータに比べて不便でミックスもかなり難しいですが、レコード独特の音や存在感、ミックスする楽しさなどいろんなメリットもあります。

レコードのメリットとデメリット、注意点などを把握した上で、自分のスタイルに合ったフォーマット選びを行うようにしましょう。

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