XLN Audio「RC-20」は、音に「レトロな質感」を与えるためのエフェクトプラグインです。
レコード, ビデオテープ, カセットテープ, テープレコーダーといった古い機材のサウンドを手軽に再現できるので、「レトロハウス」や「Lo-Fiヒップホップ」などを作りたい人にピッタリなプラグイン。
この記事では、XLN Audio「RC-20」の特徴や使用アーティスト、RC-20はどんな人におすすめなのか?といったことを紹介していきます。
・RC-20 Retro Color – XLN Audio
XLN Audio「RC-20」の特徴とメリット
まずdは、RC-20の特徴やメリットについて紹介していきます。
RC-20の特徴・機能
上の動画を観れば、RC-20を使って何ができるのかがよくわかります。
プロモ動画なのでエフェクトがちょっと過激ですが、各エフェクトのかかり具合は細かく調整できるので、もっと自然なカタチでレトロ感を与えることもできます。
RC-20で使えるエフェクトは、以下の6つとなっています。
- NOISE – レコードやアナログ機材のノイズを再現
- WOBBLE – アナログ機材の再生ピッチのゆがみを再現
- DISTORT – ディストーション、サチュレーション
- DIGITAL – ビットクラッシャー、Lo-Fiエフェクト
- SPACE – リバーブ
- MAGNETIC – アナログ機器の音量のゆらぎを再現
これらを組み合わせることで、レトロな質感を再現します。
ちなみに僕らは何をもって「この音はレトロだな」と感じるかというと・・・
- アナログ機器の劣化音
- 不規則なピッチや音量のゆらぎ
- わずかな音のゆがみ<
こういったデジタルにはない、ある種の「不完全さ」をアナログっぽいと認識します。
そしてRC-20を使えば、こういった「不完全さ」を簡単に再現できます。
レトロ感が欲しいからといって何十万円もするアナログ機材を買うわけにもいかないので、こういったプラグインはとても重宝しますね。
次に、RC-20のメリットについてみていきます。
メリット1: シンプルな機能で初心者にも扱いやすい
RC-20はパラメーターが少なく、とてもシンプルなつくりです。
そのうえプリセットも内蔵されているので、初心者でも手軽にレトロサウンドを演出することができます。
メリット2: 6つのレトロ系エフェクトがひとまとめに
ディストーションやノイズエフェクトなど、RC-20には合計6つのエフェクトが入っています。
これを別々のプラグインとして購入すればお金もかかりますし、パソコンのCPU負荷もかなりかかってしまうでしょう。
もちろんそれぞれ専用のプラグインを使えば、RC-20よりできることの幅は広がりますが、そのぶん音作りも難しくなってしまいます。
レトロな質感を出したいということに特化するなら、RC-20でサクッと調整した方が効率良くレトロなサウンドを得ることができるでしょう。
XLN Audio「RC-20」のデメリット
ここまでRC-20のいろんなメリットが理解できたかと思いますが、デメリットについてもいくつか挙げておきます。
細かくパラメーターを設定したい人には物足りないかも…
先ほど言ったように、ディストーションならディストーションプラグイン、リバーブならリバーブプラグインと、専用のプラグインを使った方が細かい音作りがしやすくなります。
なので、あれこれ細かく調整したいという人には向かないかもしれませんが、手軽にレトロ感を出したいという人にはとてもおすすめです。
「レトロな質感」に興味のない人には向いていない
RC-20にはディストーションやリバーブなどが付いていますが、「ディストーションを使って荒々しく音を変化させたい」「ボーカルやドラムなどいろんな楽器にリバーブを使いたい」といった幅広い用途で使いたいなら、専用プラグインを買った方が良いでしょう。
たとえば、音を過激に変化させたいなら「iZotope Trash 2」、いろんなシチュエーションで使えるリバーブが欲しいなら「Valhalla Room」がおすすめです。
あくまでRC-20は手軽にレトロ感を演出するためのプラグインなので、専用プラグインに比べると、使えるシチュエーションは限定されてしまいます。
XLN Audio「RC-20」の使用アーティスト
RC-20は、世界中のいろんなアーティストに使用されています。
ここでは、その一部を紹介しましょう!
大沢伸一
Mondo Grossoの大沢伸一さんが、下記インタビューでRC-20について語っています。
参考: 大沢伸一に訊く! – XLN Audio プロダクトインプレッション –
かなりの曲にRC-20を使っているようで、過度にかけるとワザとらしさがでてしまうものの、うまく扱えば生楽器系プラグインやシンセのリアリティが増して、いい感じになるとのこと。
Retro Colorに関しては説明が難しいですね…ただ、Retro Colorがあるのとないのとではリアリティ、現実味が違うんです。プラグインの音源でもピアノといえばピアノの音なんですけど、Retro Colorを挿すと、「どこのスタジオで録ったの?」っていう音になるんです。ポイントはその違いのテイストの問題で、楽器が変わっちゃうというか、僕にとっては劇的なんですけど、ただめちゃくちゃ音色を変えるエフェクターとは違うんですよね。
大沢伸一
アリアナ・グランデ
アリアナ・グランデのプロデューサーが、彼女のヒット曲「Thank U」の作曲秘話について語っています。
1:45あたりで、RC-20の話題に触れていますね。
Chris Lake
DJ/プロデューサー「Chris Lake」のスタジオ動画です。
RC-20を使って、ボイスサンプルにディストーションを与えています。
Throttle
DJ/Producerの「Throttle」はこの動画で、ストリングの耳に痛い部分をやわらげるためにRC-20を使っています。
RC-20のようなLo-Fiプラグインを使えば、EQではなく自然なカタチで高域を和らげることもできます。
XLN Audio「RC-20」- 手軽にLo-Fiサウンドが得られる汚し系プラグイン | まとめ
以上をまとめると、RC-20は「手軽に」「レトロな質感を出したい」という人におすすめのプラグインです。
パラメーターもシンプルで初心者にも使いやすいですが、使用アーティストを見ての通り、決して初心者用の低品質なプラグインではないことがわかると思います。
「自分の作っている曲がクリアすぎてリアリティがない」
「デジタル感が強く出過ぎてつまらなく聴こえる」
と日頃から悩んでいる人は、ぜひRC-20でアナログのレトロな質感を加えてみてはいかがでしょうか?
・XNL Audio「RC-20」- Plugin Boutique