今日は、僕が普段から行っている「楽曲解析」の方法をご紹介します。
楽曲解析は何のためにやるのかというと、「市販の曲がどのように作られているのか?」「どのようにミキシングやマスタリングの処理がされているのか?」といったことを知ることで、自分の音づくりのレベルを上げるためです。
楽曲解析をすることで・・・
- 周波数成分
- 音圧
- ダイナミクス
- ステレオの広がり
こういったことがわかるので、音楽制作の時に、目的を持ったEQやコンプの使い方ができるようになります。
ちなみにこれは「YouTube」だったり、「Spotify」や「Apple Music」といったストリーミングサービスを使ってもできる方法なので、
「この曲いいな。どんなミックスバランスなんだろう?」
と気になった時にすぐに解析することができるのが、今から紹介する方法の大きなメリットです。
さっそく、詳しい方法を見ていきいましょう。
楽曲解析に必要なソフト
楽曲解析に必要なのは、以下の2つだけです。
- アナライザー
- BlackHole
アナライザー
アナライザーと言ってもいろんなものがあるのですが、僕が使っているのはPlugin Alliance「MetricAB」とiZotope「Tonal Balance Control」です。
MetricABは周波数特性だけでなく、ステレオイメージ、ラウドネス、ダイナミクス、位相などいろんなことが知れるので、かなりおすすめです。

参考: Metric ABで理想のミックスバランスを手に入れよう – スタジオ翁
Tonal Balance Controlは、各ジャンルの音楽の平均的な周波数特性や低域のダイナミクスを比較できるツールで、シンプルですがとても便利なアナライザーの1つ。
楽曲解析だけでなく、ミキシングの最終段階やマスタリングにおいても大活躍します。

ちなみにこれらのプラグインを持っていなければ、DAWについているアナライザーを使っても全然OKです。
より詳しい楽曲分析をしたくなった時に購入してみると良いでしょう。
BlackHole
今回の楽曲解析で一番大切なのが、このBlackHoleというフリーソフト。
これ系のソフトだとSoundflowerの方が一般的にはよく知られていますが、BlackHoleもSoundflowerと同じくパソコン内部のオーディオ経路をルーティングするためのソフトです。
最近はM1 Macが主流になってきたことでSoundflowerが使えなくなってきているので、今から使うならBlackHoleをおすすめします。
参考: 【mac】BlackHoleのインストールと使い方と注意点 – 脳内イメージだけは無限大
Macの設定方法
BlackHoleの使い方については、いろんなサイトで紹介されているのでここでは詳しく解説しません。
BlackHoleがインストールされている前提で、ここからMacの設定方法について解説していきます。
全体像としては、こんな感じです。
- 複数出力装置を設定して、オーディオインターフェースとBlackHoleに音を送る
- パソコンの出力を複数出力装置に設定する
- DAWの入力をBlackHoleに設定する
- DAWに入力された音をアナライズソフトで解析する
これを設定するだけで、パソコン内のあらゆるソフトから再生される音楽を解析できるようになります。
複数出力装置を設定する
Macでは、2つ以上の出力装置から音を出すことができるので、「スピーカー用」と「DAWに音を送る用」の2つの出力を設定します。
まずは、Launchpadから「Audio MIDI設定」を開きましょう。
参考: MacでLaunchpadを使ってアプリケーションを表示する/開く – Apple
すると、このように「オーディオ装置」の画面が表示されるので、左下のプラスボタンを押して、「複数出力装置」を作成します。

次に、自分が使っているオーディオインターフェースとBlackHoleにチェックを入れます。

これで「複数出力装置」という新たな出力先を設定することができました。
パソコンの出力を設定する
次に「システム環境設定」の「サウンド」から出力先を「複数出力装置」に設定します。

これで、パソコンのブラウザから再生される曲やSpotifyなどのストリーミングソフトで再生される音が、オーディオインターフェースとBlackHoleに送られるようになりました。
DAWを開いて入力を設定する
ここまで来れば、あと少しで設定完了です。
DAWは何でもいいのですが、ここではAbleton Liveを使います。
入力を「BlackHole」に設定しましょう。

この時点で、例えばYouTubeで音楽を再生してみると、インプットの1,2chに音が入力されているはずです。
アナライズソフトを使って解析する
これで、音が入力されているチャンネルにMetricABなどのアナライズソフトを入れれば、YouTubeやSpotifyの音を解析することができます。
いろんな楽曲を解析して研究してみてください。
ちなみに複数入力装置を設定しているため、Abletonの出力はミュートにしておかないと、音が二重で再生されてしまうので気をつけてください。
最初に出力を「複数出力装置」ではなく「BlackHoleのみ」にすればAbletonをミュートする必要はなくなるのですが、解析用のDAWを開いたり閉じたりするたびにパソコンの出力先を変更するのが面倒なので、僕はこのようなルーティングにしています。
まとめ

今回はBlackHoleと複数出力装置を使う方法をご紹介しましたが、要はYouTubeやSpotifyの音をDAWに送れるようなルーティングが組めればよいので、他にも方法はいろいろ考えられます。
有料ですが、「Loopback」というソフトはBlackHoleと同じくパソコン内部の音をルーティングできる便利なソフトで、これを使えば複数出力装置を設定することなく簡単にルーティングを組むことができます。
参考: Mac上のサウンドルーティングを自在にコントロール「Loopback」- SleepFreaks
ちなみに今日ご紹介したルーティングを使えば、DAWに直接YouTubeやSpotifyの音を録音することもできるので、サンプリングにも活用できますよ。
内部ルーティングの方法をマスターして、いろんな場面で活用してみてください。